冷蔵庫をまず開けて。白央流「献立を決められない日」の必殺技

「献立が浮かばない、決められない」ときって、体のSOSだと私は思っています。そういうときは、作らないのも手。それは手抜きでも逃げでもないんです。
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「日々の献立を決めるのが大変」


前回に引き続き、今月もこのことを考えてみたいのです。毎月ほぼ必ず寄せられる、同様のお悩み。これ、私もしょっちゅう。大変というか、もう何も浮かんできません。「ピー……」という変な音が聞こえてくるかのような。「プス、プスプスプス…」みたいな音とか。

余裕があるときは冷蔵庫のありものを考えて、メインは○○にして、汁ものは○○で……と建設的に考えられるところが、思考が停止してしまう。

献立が思いつかないというより、日々の疲れが溜まって脳が家事炊飯に対して拒否モードに入ってしまう、というのが「献立が決められない」という状態の正確なところではないか、と私は思っています。

だからそういうときに必要なのは「とりあえず家にある肉、またはツナ缶とかソーセージなんかをあまり野菜で炒めればさ、ほらメインが完成」「残ってる野菜は何? それを味噌汁かコンソメで煮ればもうスープができる!」みたいなアドバイスじゃないんですよね。

そんなの分かってるよ、と。

ですから、家のごはん作り担当の人が「献立が浮かばない」という状態になってたら、周囲は「あ、きょうは外食しよう」とか「弁当買ってこよう、何がいい?」という対応が正解です。もしくは「何もしなくていいから寝てな」とか。

「それは理想的だけど」という声が聞こえてきました。ええ、そうもいかないんですよね。休めたら一番いいけど、作らざるを得ない。自分が作らなきゃどうしようもない、ということは現実多々起こります。でもメニューが思い浮かばない……ってなときの私の対応策を、次に書いてみます。

冷蔵庫の中にある、一番「量」のある調味料は何か探してみてください。

ケチャップ、マヨネーズ、焼肉のたれ、ポン酢、めんつゆ、あるいは味噌。「それを味つけのベースにするなら何だろう」と考えて、献立を決めています。

量じゃなくてもいいですよ。「買ってから一番日にちの経っている調味料は何だろう」でもOK。要はたっぷり使えるか、使い切りたい調味料を探して、主菜の味のベースにしようという話で。

ケチャップならチキンライスやナポリタン、マヨネーズなら魚の切り身にぬって焼きつけるとそれでもう味つけ要らずの一品になりますし、焼肉のたれは炒めものの味つけが一発で決まる。お刺身にかけて丼にするのもおすすめ。

ポン酢だったらオニオンスライス(カット野菜で)と一緒に豚しゃぶはもちろん、バターと一緒に肉野菜炒めの味つけにする。めんつゆの用途はかなり広いですが、私がよーくやるのは糸こんにゃくたっぷり入れた肉豆腐(牛でなく豚こま切れでもおいしい!)。味噌だったら麻婆豆腐か、みりんで溶いて肉野菜炒めの味つけにする……などなど。

決まらないときって、なんでもいいから「とっかかり」が欲しくないですか? 

私はこのやり方、メニューが決まるのと同時に使い切りたい調味料が減って、スッキリするんです。とはいえ先にも書きましたが、「献立が浮かばない、決められない」ときって、体のSOSだと私は思っています。そういうときは、作らないのも手。それは手抜きでも逃げでもないんです。

「ダメだ、献立考えるどころか夕飯の時間が迫ってくるのがつらい」なんて感じたとき、私は早々に「作る」からシフトチェンジして、「そのときスーパーで一番お得なレトルトを主菜にする」とか「新作の冷凍食品をチェックがてら味わう日にする」などの日に切り替えます。

作らない機会を定期的に設けないと、作ろうという気持ちはキープできないもの。私は、そう考えています。

※引き続き、日々の自炊、食事の用意に関してつらいこと、悩んでいること、大変に感じていること、こちらから自由にお送りください。お名前(ハンドルネーム可)、年齢、できればお住まいの地域もご記入ください。

白央篤司(はくおうあつし)

1975年生まれ。「暮らしと食」、郷土料理やローカルフードがメインテーマのフードライター。CREA WEB、Hot Pepper、サイゾーウーマン、hitotemaなどで連載中。主な著書に『にっぽんのおにぎり』『ジャパめし』『自炊力』『たまごかけご飯だって、立派な自炊です。』など。家では炊事全般と平日の洗濯、猫2匹の世話を担当。Twitterブログ

(編集:笹川かおり

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