伊藤詩織さん「新たな加害が行われている」/山口敬之さん「嘘と思い込みで社会的に殺された」【法廷で語られたこと】

控訴審の判決は2022年1月25日に言い渡されます。
閉廷後、囲み取材に応じる伊藤詩織さん(2021年9月21日)
閉廷後、囲み取材に応じる伊藤詩織さん(2021年9月21日)
Jun Tsuboike / HuffPost Japan

ジャーナリストの伊藤詩織さんが、元TBS記者の山口敬之さんから性暴力被害にあったとして1100万円の損害賠償を求めた民事訴訟の控訴審が9月21日、東京高裁で結審した。判決は2022年1月25日に言い渡される。

意見陳述で何が語られたのか

この日は双方が出廷し、意見陳述した。

伊藤さんは、事件と向き合うことは「精神的に痛めつけられ、攻撃されることの繰り返しだった」と振り返った。その上で、裁判を通じて「性被害や被害者バッシングという二次被害が決して許されないものだというメッセージが広がり、被害者が泣き寝入りしなくてよい社会になってほしい」などと訴えた。

裁判ではこれまで非公開で準備書面手続きが進められてきたが、伊藤さんは、山口さん側から書面が届くたびに、「新たな加害が行われているように感じた」という。「これ以上『真の被害者』という勝手なステレオタイプによって、誰かを貶める出来事が起きないよう願っています」と語った。

一方、意見陳述に立った山口さんは、伊藤さんの訴えに「明らかな嘘や矛盾がある」などと主張し、改めて性暴行を否定した。伊藤さんについて、「悪酔し記憶も飛んだ単なる酔っ払いです」などと主張。伊藤さんの公表を通して「デートレイプドラッグ」という存在を初めて知ったと述べ、「証拠を示してください」と訴えた。

さらに、伊藤さんに向けて、「なぜ館内電話で助けを求めなかったんですか?」「なぜ(ホテルの)フロントに被害を訴え出なかったんですか?」などと問いかけ、「あなたの嘘と思い込みで社会的に殺された」と主張した。

閉廷後、報道陣の囲み取材に応じた伊藤さんは、「彼が申し上げたことに対してはショックが大きい」とコメントした。

一審判決は

この裁判で伊藤さんは、2015年4月に就職相談のため食事をした山口さんから性暴力を受け、肉体的・精神的苦痛を被ったとして、慰謝料1100万円の損害賠償を求めている。

一方、山口さんは、会見や著書の公表などを通して伊藤さんから名誉を毀損されたなどとして、慰謝料1億3000万円や謝罪広告の掲載を求めて反訴している。

2019年12月18日の一審判決では、東京地裁は伊藤さんの主張を認め、性行為に合意がなかったと認定。 山口さんに慰謝料など約330万円の支払いを命じた。また、山口さん側の請求は棄却した。

2020年1月、山口さんは東京地裁の判決を不服として控訴した。

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