「なぜ日本語で話しかけたのに、英語で返事をするの?」外国人が日常生活で感じる5つの“バイアス”

外国出身で日本に暮らす人々に話を聞くと、「無意識のバイアス」に気付かされました。

「外人だ!」

アメリカ出身の友人と公園を散歩していた時、突然知らない人からそう言われて驚いたことがあります。何かおかしなことをしていたわけではありません。ただ、歩いていただけです。

隣にいた日本人の私でさえ、「外人だ!」と言われて疎外感がありました。きっと「悪気のない」一言だったのでしょう。でも、こうした何気ない言葉を日々向けられている外国出身の友人たちは、私が想像する以上の「バリア」を感じているのでは……。

外国出身で日本に暮らす人々が日常生活でどんな時にバイアスを感じているのか?聞いてみました。

もちろん、全ての人に当てはまるわけではないことを前提に、5つのエピソードをご紹介します。

外国人の名前だと、お店の予約ができない

グルメなカナダ出身のAさんから、「お寿司屋さんに行きたいから、予約してくれないか」と頼まれたことがあります。「良いけど、どうして自分でしないの?」と聞くと、「外国人の名前を出すと予約できないことが多いから」と言うのです。

「電話で、最初は普通に日時や人数の話をしていたのに、最後に名前と電話番号を聞かれて答えると、急に『やっぱり混んでいて予約できません』と言われたことが何度もあります。日本人の名前だと予約できたのに…」

もちろん全てのお店がそんな対応をするわけではないし、彼も「東京は美味しいものがたくさんあって大好き!」だそう。差別的な対応をするお店がなくなってほしいです。

名前に関連して、インターネットで会員登録や申し込みをする時、入力フォームの名前の欄に自分の名前が入力できないこともあるそうです。

「英語で入力できなかったり、カタカナで入力しようとしても苗字と名前それぞれ6文字までしか入力できなかったりして、不便なこともあります」

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SDI Productions via Getty Images

「箸の使い方が上手!」と言われても…

アメリカ出身の友人Cさんは食事をしていると、「箸の使い方が上手!日本人みたい!」と言われて、違和感があったと言います。

「箸って、アジアの他の国でも使いますし、日本だけのものじゃないですよね。アメリカにいた時から箸は使えたし、アメリカにいる友人も使えます。それを『日本人みたい』と褒められると、少し変な感じです」

もちろん、褒められて嬉しいと感じる外国出身の人もいるかもしれません。しかし、言われてみれば確かに、中国や韓国、ベトナムやタイでも箸は使います。無意識に「箸=日本の難しいことの一つ=外国人は使えないはずだ」と思い込んでいませんか?

Malte Mueller via Getty Images

日本語で話しかけたのに、英語で返される

日本語が堪能なカナダ出身のEさんは、日本語で話しかけても英語で返されることが度々あって戸惑う、と話します。

「私が白人の見た目をしているから、英語で返事をするのでしょうか?日本語で返してくれたらスムーズなのに…と思ってしまうこともあります」

また、見た目だけでは英語を話す人かどうか分かりません。英語が得意じゃない人がいることも頭の片隅に入れておくといいかもしれません。

日本語で話しかけられたら日本語で返す。相手が不便そうならば、「他に話しやすい言語はありますか?」とコミュニケーションしてみる。このように、決めつけずに相手と向き合うことが肝要ではないでしょうか。

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よく職務質問される

実は、これが一番外国出身の人々からよく聞くエピソードです。普通に歩いているだけなのに、よく警察に職務質問をされるそうです。

「夜遅くに出歩いているわけでもなければ、怪しい行動をしているわけでもない。自宅から駅に向かうだけで、よく警察に呼び止められ、バッグの中身を検査されます。周りの外国出身の友人たちも同じような体験をしています」とアメリカ出身のDさん。

人種や肌の色、国籍、言語など特定の属性であることを根拠に、警察などが個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることは「レイシャル・プロファイリング」と呼ばれます。

在日アメリカ大使館は2021年12月、レイシャル・プロファイリングの疑いがある職務質問などが報告されたとして、在日アメリカ人に警告のツイートをしました。ハフポスト日本版が実施した人種差別的な職務質問に関するアンケートには、職務質問の際に人権侵害だと感じたり、嫌だと思ったりした体験が多数寄せられました

A-Digit via Getty Images

「良い外国人だね」と言われる

アメリカ出身のFさんは、「君は礼儀正しくて良い外国人だね!」と言われて困惑することがしばしばあるといいます。なぜならその後に「〇〇人(他の民族)とは違うね」と言われるから……。

「他の国の人を貶して褒められても嬉しくないです。その人の嫌いな国の悪口を言うために利用された気分です」

また、見た目が「日本人っぽい」けれど英語しか話せないGさんは、「日本語が話せないと分かった途端、見下されることが多い」と話します。

「見た目が“外国人っぽい”人が日本語を話せないと分かっても何も言わないのに、見た目が“日本人っぽい”人が日本語を話せないと『なぜ話せないの?』と言われます」

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いかがでしたか?

いずれも私の知り合いの事例でしたが、想像以上に日常生活の中で様々な「バイアス」に遭遇しているのだと驚きました。こうした小さな積み重ねが、「生きづらさ」につながるのでは、と改めて思います。

「悪気がなかった」としても、差別的な言動や行動は許されません。日本で暮らす外国出身者の「バリア」を知り、私たちの「無意識の偏見」を見つめ直すきっかけになれば嬉しいです。

2月のハフライブでは、外国人技能実習生を入り口に、「日本で働く『外国人』と2030年の日本社会」について考えました。

私たちが今日食べた野菜や魚も、着ている洋服も、住んでいる家やオフィスの建築もーー。実は私たちの暮らしや仕事に、深く関わっている技能実習生。

日本の少子高齢化に伴う深刻な人手不足を背景に、技能実習生が欠かせない存在になっている産業もある一方、暴行や妊娠・出産の制限、賃金の未払いなどさまざまな問題が指摘され続けています。

人権の保障も、国や人種間の平等も、経済成長も、同時に目指すのがSDGs。ビジネスが、個人が、そして何より政治がやるべきことは何か。人権とビジネスのジレンマを可視化しながら、日本の未来について話し合いました。

番組のアーカイブは無料でご覧いただけます。

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