「買い物は未来への投票」 サステナブルな消費をするために気を付けたい4つのポイント【専門家アドバイス】

覚えておきたい8つの認証ラベルも紹介
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あなたは買い物をする際、何を基準に商品を選んでいるだろうか?


価格?機能性?デザイン?ブランド?...その全部のバランスを見て?

SDGsの認知度が高まった今、商品がどれだけサステナブルかを考慮する人も増えた。2020年の消費者庁の調査によると、エシカル消費に繋がる商品・サービスを購入する意向があると答えた人が81.2%。その中で、実際に購入経験がある人は35.5%となった。

実際に、店頭には「サステナブル」「エシカル」「オーガニック」などを謳う商品が多く並んでいる。

一方で、うわべだけ「サステナブル」を装い実態が伴わない「グリーンウォッシュ」も存在する。

では、そういった「見せかけ」に騙されず、本当にサステナブルな商品を見分けるには、どこに注意すれば良いのだろうか?

「『サステナブル』や『エコ』などの表現には規制がありません。何をもってそう主張しているのかが不明な『自称』が溢れていて、消費者への混乱を招いていると思います。そのため、商品を見ただけで区別するのは難しいのが現状です」

そう話すのは、一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会代表理事の山口真奈美さんだ。

一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会代表理事の山口真奈美さん
日本サステナブル・ラベル協会
一般社団法人日本サステナブル・ラベル協会代表理事の山口真奈美さん

困難なのは承知の上。それでもできるだけサステナブルな商品を選択するためのコツを知りたい!

そこでハフポスト日本版は、グリーンウォッシュを避けるコツや時間がない人でもサステナブルな商品を選択するためのアドバイス、そして私たち消費者が社会を変えるためにできることについて、山口さんに話を聞いた。

サステナブルな商品を見分けるための4つのアドバイス

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1. 曖昧な表現や、あたかも「環境に良い」イメージには要注意
「エコフレンドリー(環境にやさしい)」などの曖昧な言葉のみを使用していたり、草原や花の写真やイラストなど、あたかも環境に良いようなイメージを強調したりしているだけの商品には注意する。「何をもってそう主張しているのか」を考える必要がある。

2. 認証ラベルや表記をよく見る
既存する認証ラベルについて知り、できるだけあるものを選ぼう。有機栽培やフェアトレードをはじめ、しっかりと第三者が認証したラベルが存在するので、見分けられるようにしよう。

それにより、その商品が手元に届くまでの人権・環境的背景のストーリーを垣間見ることができる。

フェアトレード認証がついたバナナ(イメージ画像)
Janine Schmitz via Getty Images
フェアトレード認証がついたバナナ(イメージ画像)

見知らぬラベルには、実は自社で作ったラベルの場合もあるため、どのような意味や内容のものなのか、よくチェックするように。

たくさんあるラベルの中でも、特に山口さんが知っておいて欲しいという8つの認証ラベルが以下だ。ロゴと意味を覚え、これからの買い物に役立てよう。

左上から右にGOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)認証:オーガニック繊維を原料とし、環境と社会に配慮した厳しい基準を満たして生産・加工・流通された製品(洋服、タオルなど) MSC「海のエコラベル」:水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業によって獲られた水産物に付けられる。 ASC認証:環境と社会を配慮した養殖により生産された水産物に付けられる。有機JAS認証 : 有機JAS規格に適合した生産・加工が行われた食品につけられる。農薬や価格肥料の使用が極力避けられている食品2段目左から右にレインフォレスト・アライアンス認証:持続可能性(社会、経済、環境)の強化につながる手法で生産された原料または認証製品(コーヒー、紅茶、カカオ、バナナなど)RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証: 持続可能なパーム由来原料を使用した、あるいはその生産に貢献した製品に付けられる。(洗剤、石鹸、食用油など)国際フェアトレード認証:持続可能な生産と公正な貿易によって完成した製品に付けられる。(コーヒー、スパイス、ナッツ、果物など)FSC®︎認証: 責任ある森林管理に貢献するラベル
日本サステナブル・ラベル協会
左上から右に
GOTS(オーガニックテキスタイル世界基準)認証:オーガニック繊維を原料とし、環境と社会に配慮した厳しい基準を満たして生産・加工・流通された製品(洋服、タオルなど)

MSC「海のエコラベル」:水産資源と環境に配慮し適切に管理された、持続可能な漁業によって獲られた水産物に付けられる。

ASC認証:環境と社会を配慮した養殖により生産された水産物に付けられる。

有機JAS認証 : 有機JAS規格に適合した生産・加工が行われた食品につけられる。農薬や価格肥料の使用が極力避けられている食品

2段目左から右に
レインフォレスト・アライアンス認証:持続可能性(社会、経済、環境)の強化につながる手法で生産された原料または認証製品(コーヒー、紅茶、カカオ、バナナなど)

RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証: 持続可能なパーム由来原料を使用した、あるいはその生産に貢献した製品に付けられる。(洗剤、石鹸、食用油など)

国際フェアトレード認証:持続可能な生産と公正な貿易によって完成した製品に付けられる。(コーヒー、スパイス、ナッツ、果物など)

FSC®︎認証: 責任ある森林管理に貢献するラベル

一方、ラベルによっては海外からの輸入品であることも多い、と山口さんは指摘する。「もしあなたが国産品重視であれば、ラベルがついていて、国産表記のあるものを選ぶなど、自分の価値観に合ったものを選んでください」

3. 企業のミッションや取り組みを知る
商品だけでなくブランド全体や、その商品生産・販売する企業について、ミッション内容や環境問題に対する姿勢、取り組みや数値目標などがあるのかを調べてみよう。

「ラベルがなくても良い製品はたくさんあります。目標や方針を掲げている企業のものを購入することは、これからそれらの目標に向かっていく企業を応援することに繋がります」と山口さんは語る。

4. NGOからの評価をチェックする
NGOは企業の事業や取り組みをウォッチし、問題点や課題を指摘していることも多い。信頼あるNGOの評価を参考にすることは、自身でのリサーチ時間を短縮してくれる。

国際環境NGOグリーンピースFOE JapanWWFジャパンなどのサイトをチェックし、自分の気になる企業や製品について情報が記載されていないか見てみよう。

時間がないけど良いものを買いたいなら

上記のアドバイスで、いくつかポイントを掴めたのではないだろうか?

だが、やはりある程度の事前調査や知識なしには、本当にサステナブルな商品を選ぶのは難しいことが分かった。

しかし、「調べてる時間なんてない!」という人も多いだろう。そんな人には、信頼できる店やブランドに限定して買い物することを山口さんは勧める。

サステナブルなものが既にセレクトされたショップやお店のコーナー、自分が信頼する企業やブランドから購入すると、商品別にリサーチする手間がかなり省ける。オンラインショッピングでも、認証ラベルに基づいてセレクトされたEarth Mall with Rakutenなども存在する。

ちなみに山口さんは、野菜などは直接に農家から購入するほか、ファッションはフェアトレードやオーガニックコットン専門ブランド、その他の日用品などはオーガニック・スーパーを活用するほか、身近なスーパーやコンビニでもラベルや表記、ストーリーがわかるものを選んでいるという。

買い物する女性(イメージ画像)
JulPo via Getty Images
買い物する女性(イメージ画像)

買い物は「未来への投票」。変化を起こすために私たちができること

「地球に、そして自分にも優しいものを買いたい」と思っている人は多いだろう。しかしその行為が大きな力を持っていることを自覚しているだろうか?

「企業は、消費者の動向を意識しながらモノづくりをしています。サステナブルな商品を選び、頑張っている企業を応援していくことで、企業は安いだけでなく環境や人権などを考慮したものへと、モノづくりが大きく変わって行きます」と山口さんは話す。

エコバッグで買い物をする女性(イメージ画像)
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エコバッグで買い物をする女性(イメージ画像)

また、消費行動だけでなく、声を上げることも大切だという。企業や商品に関する疑問や要求を、直接企業にメールしたり、間接的にはネットで商品の評価や口コミをコメントしたりすることもできる。

私たち消費者は、サステナブルな商品を求め、裏付け情報があるものを売ってほしいと『呼びかけること』、そしてそういった透明性・信頼性があるものを『買っていく』こと...その両輪での行動が必要だ、と山口さんは述べる。

「詳細がわかる製品を選ぶことが、関わっている人々や環境に配慮した行動につながっています。『買う』という選択は会社を動かす、未来への投票なのです」