「同性婚」や「選択的夫婦別姓」に党として賛成しないのはなぜ?河野太郎広報本部長インタビュー【U30×自由民主党】

自民党は若い世代にどんな日本社会を残そうとしているのか。「NO YOUTH NO JAPAN」の代表を務める能條桃子さんが河野太郎・広報本部長に聞く。

7月10日投開票が有力視される参議院議員選挙。若者の政治参加が進まず、未来へ希望が持ちにくいと言われるなか、各政党はどのようなビジョンを示すのか。

U30世代に向けてSNSなどでわかりやすくニュースや社会問題を伝えている「NO YOUTH NO JAPAN」代表で、ハフポスト日本版のU30社外編集委員を務める能條桃子さんが各政党にインタビューを実施。政治への疑問や社会に対する不安をぶつけた。

第3回は自由民主党。広報本部長の河野太郎・衆議院議員(59)が取材に応じた。

 

*ハフポスト日本版は6月20日、政治家とU30が同じ目線でリアルに対話するイベントを開催します。アンケートへのご協力をお願いします。

河野太郎・広報本部長(左)と能條桃子さん(右)(東京千代田区 自民党本部)
河野太郎・広報本部長(左)と能條桃子さん(右)(東京千代田区 自民党本部)
Jun Tsuboike

能條桃子さん(以下、能條):

まずはグランドビジョンからお伺いします。自民党では、次の世代にどんな日本を残したいと思っていますか。

河野太郎・広報本部長(以下、河野):

自由民主党は「保守政党」と言われています。保守政党は何かというと、チャンスを皆に平等に配る、やりたいことがある人は色々なことにチャレンジしてくださいと。

例えば障害を持っていたり、さまざまな理由で皆と一緒に競争ができない人は社会全体で支えていかないといけない、ということはありますが、まずは自分で目指したいことに挑戦できる社会を作っていきたいと思っています。

今までは自分で新しい会社を起こそうと思うと、銀行からお金を借りることになり、そこで「個人保証をしてください」と言われ、失敗すると家・屋敷全部持っていかれて「再起不能です」となってしまうのですが、それは良くない。何回でもチャレンジできるセーフティネットをきちんと張っておく、だからこそみんな思い切って挑戦ができる。そういう世の中を作っていきたいです。

僕が学校を出て社会に出たのが1985年12月。バブルの真っ只中だったんですが、そのあとバブルが崩壊してずっとデフレ傾向だった。

若い人は「今日より明日、日本がよくなる」という感覚がないままに育ってきた人が多いんじゃないのかなと思います。今年より来年、自分の生活も日本の国全体もよくなるよね、そういう中で自分が何をやれるだろうか、と前を向いて頑張れる社会を作るのが凄く大事。今はみんな萎縮して目の前にあるものも取りに行かない。もうちょっと手を伸ばして、一個ずつ掴んで前へ行こうよ、という日本の国を作っていきたいです。

能條:

私は98年生まれですが、生まれた頃くらいから所得が上がっていないとか、そもそもバブルも知らない人も多いと思います。今の状況をどういうふうに変えていこうと思っていますか。

河野:

経済的な体温が凄く低くなっています。賃金上がらないよね、と。

やっぱり、給料が上がって、色々なものを買ったりサービス受けたりして、前向きに経済が回って行かないと。そのために賃金を上げていくことが物凄く大事です。

政府が「賃金を上げてくれ」と言っても限界はある。やはり企業が成功して賃金を上げて、それを社員に還元できるようにしないといけない。

企業が熱を持ってリスクをとって色々なことに挑戦するのが大事だと思っています。特に日本の大企業を見るとCEO(最高経営責任者)はほぼ皆、日本人で、男で、50歳以上で、転職経験なし。

小さな人材プールから梯子段を一生懸命登り一番上にきた。だから「俺がトップの間は揺らすな」と、全然リスクを取らない企業が増えてきているのはすごく残念。だからこそ新しい会社、スタートアップが色々なことに挑戦して、新しいサービスを提供し、マーケットを作り、あるいは新しい価値観を作ることで、経済に熱を与え、面白くなっていく。

よく言われるのは「物事を変えられるのは余所者か若者か馬鹿者か」。「こうでなければいけない」というものを頭から否定して、「そんなことないでしょう」ということを言える人が経済を回していかないといけないし、その環境を作る政治をやっていかなければいけないと思いますね。

河野太郎・広報本部長(東京千代田区 自民党本部)
河野太郎・広報本部長(東京千代田区 自民党本部)
Jun Tsuboike

能條:

若い世代が抱えてる問題として、子供が欲しくてもなかなか産みづらかったり、子供を日本で育てることに関して不安もあったり、ということもあります。「日本の良さ」ってどういうところにあると思いますか。子供を産みたいと思えるような社会にするためにやっていけることは。

河野:

日本はどこに行っても安全だし、水道の水はどこでも飲める。空気も綺麗で電車は定時運行が当たり前、平均寿命は世界で最も長い国のひとつです。

生活の基盤としては非常に良いけれど、じゃあそこで自分たちが夢にチャレンジする時に、色々な形でサポートしてくれるとか、自分の可能性を最大限引き出すような社会になっているかというと、そこをもっともっとやっていかなければいけない。

例えば大学の共通テスト。新聞に出ているとやってみようと思うんだけれども「いやこれ知らなくても困らないだろう」というものを聞いている試験で、大学に行けるかどうか(を決めている)。それはやっぱりおかしい。

生物の分類を覚えて書けとか、歴史上のことを古い順に書いてみるとか、Siriに聞けば答えが出るものではなく、考えられるような教育をやっていくことがこれからの日本は大事だと思います。

能條:

若い世代にはどうしても漠然とした不安があり、それが原因となってチャレンジもしづらくなっています。よく「日本にはこれだけ借金がある」という話がありますが、プライマリーバランス(基礎的財政収支)についてはどう考えますか。

河野:

硬直的に「財政赤字は悪だ」というつもりはありませんが、財政を健全に維持することは長期的に見れば必要です。

逆に言えば、将来、経済を活性化させるために、今、借金してでも投資をしないといけない部分は、企業と同じで国にもあると思うんです。

本当に困っている人に手当てをするというのが政府の仕事です。新型コロナの流行を受けて10万円の一律給付がされましたが、年金にも、公務員の給料にも、多くの大企業にもコロナの影響は出ていないわけです。そこに10万円配った結果、貯蓄が増えただけです。コロナが終わった後、何が良くて何がいけなかったのか、しっかり反省点を見ていかないといけないですね。

能條:

世論調査では、若い世代で選択的夫婦別姓や同性婚に対して賛成する声も多くあります。結婚は何歳でもできますが、10代後半や20代、30代のこれから結婚をしようと考えている人たちが望む制度を作ることが大事ではないでしょうか。自民党ではどのような議論がありますか。

河野:

誰かに何かを強制するわけでありませんし、選べるというのは民主主義の根本だと思います。

一人っ子同士が結婚をするという割合が非常に高い時に、夫婦別姓にすれば両方の姓が次の世代に残る。今は女性が男性側の姓を名乗ることが多いですが、すると結婚する前に自分の名前で発表していたことが、苗字が変わってしまうと「あれ」となってしまうこともあってはいけない。

選択的な夫婦別姓を望む人が選べるというのは大事だと思いますし、同性婚もそれがいいと思ってる人が選べる制度というのは凄く大事です。

河野太郎・広報本部長(左)と能條桃子さん(右) (東京千代田区 自民党本部)
河野太郎・広報本部長(左)と能條桃子さん(右) (東京千代田区 自民党本部)
Jun Tsuboike

能條:

選挙のたびに政策比較表を作ると、自民党が「その他」などの回答になっていてボトルネックになっているのでは、と思うのですが、何がハードルになっているのでしょうか。

河野:

かつて臓器移植法案というのがありました。

「脳死を死と考えるかどうか」に対して様々な考え方があり、自民党でもまとまらないわけです。だからあの時は議員一人一人が賛成か反対かで決めようということで、党議拘束を外して採決をやりました。

そういうものが世の中にたくさんあって、脳死や代理出産、選択的夫婦別姓や同性婚。社会的な問題で、当事者にとっては凄く大事だけれど、多くの人はそこから一歩離れているという問題があるんですね。

そういうものについては自民党とか何党とかではなく、選ばれた議員が「自分はこういう風に考えるから賛成をする」とか「こう考えるから反対です」と説明をして物事を決めるのが大事です。

議員は何か、と言ったら決めるために選ばれているわけですから。選択的夫婦別姓にしろ同性婚にしろ、政党で一つのポジションが決まらないから国会で議論しませんみたいなことになっていますが、議員に説明させて投票させろよ、と私は正直に思います。党議拘束をなくして議員で決めましょうと言えば動くものだと思います。

能條:

党議拘束を外して、投票制になれば凄く良いと思います。ただ、例えば同性婚では、(法的に)結婚をしないと受けられない控除もあるなど、差別とも言える状況が日本にはあります。党議拘束が外れるのを待つしかできないんでしょうか。

河野:

同性婚は他と違って、憲法で「両性の合意」と書かれているから、まず憲法改正をして、同性婚を他の結婚と同じように認めます、としないといけない。なかなか国会だけで一概には決められません(編注:憲法における同性婚の解釈については異なる解釈もあります)。

一方で、夫婦別姓とか代理出産とかはもう国会で徹底的に議論をして、世の中に広く「自分はこう思うよ」と言って、世の中の意見を聞きながら国会が決めていくというのが大事になっていくと思います。

能條:

最後に、自民党にはどういう人に投票をしてほしいのか、メッセージをお願いします。

河野:

今日よりも明日、自分の生活が良くなる、国が豊かになる。そんな未来を望んでいるという人はやっぱり自由民主党に投票してもらいたいと思っています。

70年間戦争に巻き込まれずに日本がやってこられたのは、自衛隊を作り、日米同盟をしっかりと築いてきてやってきたというのがあります。

国民の平和な暮らしと命をしっかり守るのがこれからも大事だよね、と思っている人も、ぜひ自由民主党に投票してほしいですね。

(執筆:高橋史弥 写真:坪池順)

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