「裁判長、17時以降に近くの学校に行ってみて」と原告の公立小教員。東京高裁は残業代支払いを認めず

東京高裁は教員の職務や勤務形態に労働基準法の賃金制度は「なじまない」として、残業代の請求を退けた

「裁判長、17時以降に近くの学校に行ってみて。大勢の教員が、職員室や教室で採点や授業準備や保護者への連絡をしている。全て無償だが、本当に仕事ではないのか」

8月25日、埼玉県の公立小学校に勤める男性教員(63)が東京都内で記者会見を開き、そう問いかけた。

この日、教員の時間外労働に残業代が支払われないのは違法だとして約240万円の賃金を支払うよう埼玉県に求めた訴訟の控訴審判決があった。東京高裁は一審さいたま地裁判決に続いて、男性の請求を退けた。

東京高裁は原告の訴えを棄却した
東京高裁は原告の訴えを棄却した
CALL4

労働基準法の賃金制度は「なじまない」

公立校の教員の月給に4%(「教職調整額」)を一律に上乗せして支給する代わりに、残業代は支払わないーー。1971年に制定された「給特法」は、教員の給与についてそう定めている。

ただ、同法では、▽実習▽学校行事 ▽職員会議▽非常災害などに必要な業務ーーからなる「超勤4項目」以外の残業を命じてはならないとしている。

男性は、超勤4項目に当てはまらない業務による時間外労働の分の残業代を、労働基準法に基づいて支払うよう訴えた。こうした時間外労働が2017年9月~2018年7月の期間、月平均60時間分の残業に上ったと主張していた。

記者会見で最高裁への上告の意思を示した男性教員
記者会見で最高裁への上告の意思を示した男性教員
CALL4

東京高裁は判決で、教員の職務や勤務形態の「特殊性」に触れ、「教員の自主的で自律的な判断に基づく業務と、校長の指揮命令に基づく業務が日常的に渾然一体となり、正確な峻別は困難」と指摘。

その上で、教職調整額が支給されていることや、「厳密な時間管理を前提にできない」とする教員に労働基準法の賃金制度は「なじまない」ことを理由に、残業代の請求を退けた。

男性は記者会見で、「現場の教員は、世間から『自主的(に働いている)』と言われ、遅くまで働かされている。どう考えてもおかしい」と判決への憤りをあらわにした。最高裁に上告する方針だという。

〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉

注目記事