世界的に有名な彫刻「バルーン・ドッグ」が粉々に。来場者がうっかり倒してしまう

本物の風船かどうか確かめようとして倒してしまった…?

アメリカのアーティスト、ジェフ・クーンズ氏の彫刻「バルーン・ドッグ」が、アートフェアの来場者によって倒され、粉々になった。

バルーン・ドッグは、クーンズ氏の代名詞とも言える作品だ。

風船をねじって作られているように見えるが、壊れた2021年の作品「バルーン・ドッグ(ブルー)」は磁器製。4万2000ドル相当(約560万円)の価値があるという。

ロサンゼルスで展示された「バルーン・ドッグ(1994-2000)」(2015年9月20日)
ロサンゼルスで展示された「バルーン・ドッグ(1994-2000)」(2015年9月20日)
MediaNews Group/Los Angeles Daily News via Getty Images via Getty Images

会場の空気が止まる

作品は2月16日、アメリカ・フロリダ州で開催されていたアートフェア「アート・ウィンウッド」の会場で来場者が誤って倒し、破壊された。

このブースを管理していたセドリック・ボエロさんは、彫刻が壊れた時のことを「粉々になる音が響き渡り、部屋中の人たちが会話が止まった」とNPRに振り返っている。

また、会場に居合わせたアーティストでアートコレクターのスティーブン・ガムソン氏は、壊れた時の動画をInstagramに投稿。青い作品のカケラが、ほうきで回収される様子が映っている。

▼スティーブン・ガムソン氏のInstagram投稿。動画は4枚目

ガムソン氏は「今まで見た中で最もクレイジーな出来事だった」とInstagramにつづっている。

さらに作品を倒した女性について「本物の風船かどうか確かめるために触ったように見えた」とマイアミ・ヘラルドに話している。

壊れたことで価値が上がった?

クーンズ氏はアート市場で注目されてきたアーティストであり、2013年には「バルーン・ドッグ(オレンジ)」が5840万ドル(約64億円)、さらに2019年にはステンレス製のウサギの彫刻が、9107万ドル(約100億円)で落札されている

ニューヨークでフランスの総領事とともにバルーン・ドッグ(ブルー)の横でポーズをとるジェフ・クーンズ氏(右)(2021年11月15日)
ニューヨークでフランスの総領事とともにバルーン・ドッグ(ブルー)の横でポーズをとるジェフ・クーンズ氏(右)(2021年11月15日)
Jared Siskin via Getty Images

今回壊れた2021年の彫刻の価値も4万2000ドルと高い値段がつけられているが、保険でカバーされるという。

さらに、破壊されたことで作品の価値が高まったと考える人もいる。ガムソン氏は「壊れた作品を購入しようとした」とInstagramで明かした。

同氏はその理由を「壊れたことは私にとってストーリーです。このアートをさらにユニークなものにする」とマイアミ・ヘラルドに述べている。

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