「お母さんが難病で、自分の国では治療ができない。(治療のため)帰国できないまま、オーバーステイ(ビザの期限が切れた状態)になってしまい、子ども自身も在留資格を失ったーー」
在留資格のない外国籍の子どもは「家族の病気、失業、その他家庭の事情など、本人に責任のない理由によって在留資格を持っていない」場合があるとして、NPO法人「移住者と連帯する全国ネットワーク」(移住連)などは5月14日までに学校などでの対応のポイントをまとめ、発表した。
移住連などによると、他にも親の離婚などをきっかけに子どもが在留資格を失う例があるという。
「子どもは日本での学校生活に馴染み、母国語も忘れつつあった。親が離婚して1人親家庭に。母親はすぐに仕事を見つけることができず、オーバーステイになったため、子どもも在留資格を失った」
「親が紛争が続く本国から逃れてきて来日。その後、日本で子どもが生まれた。しかし、親が難民として認定されていないことから、子どもは生まれたときから在留資格を持っていない」
移住連などは、外国籍の子どもにとって「在留資格の有無や内容はセンシティブな情報」だと指摘。学校側で確認する際には「就職や進学など進路の保障をするために確認する必要があることなどを丁寧に説明し、生徒本人や家族の了解を得るよう努めること」を求めた。
その上で、「説明をした上で、子どもや家族が在留資格の有無も含めて回答したくないときは、無理に聞くことがないよう配慮する必要がある」としている。
このほか、▽在留資格の有無にかかわらず、すべての子どもは教育を受ける権利が保障されていること▽正規の在留資格がない場合でも、日本に滞在できる制度があること▽「子ども在留権・学習権を保障するためにどのような支援が可能か」という観点から関わる必要があることーーなどを周知した。
その上で、在留資格のない子どもをめぐっては「入管法違反についての通報義務よりも、子どもの在留権や学習権などを保障する義務が優先される」として、教員など公務員の通報義務を除外できるという法務省による解釈を紹介した。
移住連のホームページには、対応の仕方の詳細や、相談できる支援団体の連絡先などをまとめている。
〈取材・文=金春喜 @chu_ni_kim / ハフポスト日本版〉