「僕は移民の子供」映画『マイ・エレメント』監督のメッセージに涙する人相次ぐ。「大切な人がまだ一緒にいるなら...」

ピーター・ソーン監督の両親は、映画の制作中に亡くなってしまい、『マイ・エレメント』を観ることは叶わなかった。
『マイ・エレメント』のピーター・ソーン監督
『マイ・エレメント』のピーター・ソーン監督
Axelle/Bauer-Griffin via Getty Images

ディズニー&ピクサー最新作『マイ・エレメント』(原題:Elemental)の監督が寄せたある「手紙」が、大きな反響を呼んでいる。

エレメント(元素)の世界を描いた『マイ・エレメント』。火・水・土・風のエレメントがともに暮らす都市「エレメント・シティ」が舞台となっている。火のエレメント「エンバー」と水のエレメント「ウェイド」という、性格も特徴も全てが正反対の2人が出会うストーリーだ。

監督は、2015年公開の『アーロと少年』で長編監督デビューとなったピーター・ソーンさん。ソーンさんが本作に込めた思いをつづった手紙を、ディズニー・スタジオ公式がSNSで公開。「移民の子供」としてアメリカ社会で生まれ育ったソーンさんが、亡き両親へ感謝を述べる内容となっている。

「アニメーションには言葉を超えた力がある」

手紙では冒頭、「ピクサーで23年間働いてきましたが、こんなにも個人の思いや心に踏み込んだ物語は今までなかったと思います」と振り返り、続けて自身と家族の「物語」を明かした。

「僕は移民の子供で、両親は1960年代末に韓国からニューヨークに移住し、僕と兄弟のために素晴らしい人生と居場所を築いてくれました。

主人公エンバーのように、僕は自分の家族と両親が今まで払ってきた犠牲に改めて感謝したいという強い思いに駆られました。僕のために多くを諦めてくれた両親へ今度は恩返しする番だよね?」

ソーンさんは小さい頃からアニメーションの世界に惹かれていて、家族の経営するお店で金銭的な余裕ができると、母はソーンさんら子どもたちを映画館に連れて行ってくれたという。

英語をあまり話せない母に、映画の内容をこっそり伝えることもあったが、「アニメーション映画を観るときに、母のために翻訳したこと」はなかったそうだ。

「アニメーションには言葉を超えた力があり、時折母が涙を流す瞬間もありました。そして僕は思いました。『アニメーションってこんなことができるのか』」

ソーンさんは、『マイ・エレメント』は「両親へのラブレター」であり、両親への感謝の気持ちそのものだと述べた。

残念ながら、ソーンさんの両親は映画の制作中に亡くなってしまい、『マイ・エレメント』を観ることは叶わなかった。

ソーンさんは、「もしもあなたの大切な人たちがまだ一緒にいるのなら、ぜひ感謝の気持ちを伝えてください」と呼びかけ、手紙を締め括った。

「惜しみなく感謝と愛を伝えたい」反響続々

家族への思いに溢れるソーンさんの手紙に対し、SNSでは様々なコメントが寄せられている。監督の想いを知り… 映画を思い浮かべて、また大号泣」「この手紙だけで泣いた」など、涙する人が相次いだ。

監督のメッセージを受け、「大切な人には惜しみなくその時その時に感謝と愛を伝えたい」といった声もあった。

『マイ・エレメント』は現在公開中で、エンバー役を川口春奈さんが、ウェイド役を玉森裕太さんが日本語吹き替えの担当をしている。

このほか、お笑いコンビ「サンドウィッチマン」の伊達みきおさん、タレントのMEGUMIさんが声優を務め、豪華なキャスト陣も話題となっている。

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