心の問題で「生きづらさ」を感じる若者が「何度でもやり直せる社会を」。若者の「もう一度働きたい」に応えるサービス、開始へ

メンタルヘルスが原因で離職した若者のなかには、自分を責めたり、キャリアに対する希望を失ってしまう人も多いという。「キズキ ビジネス カレッジ」では、こうした若者が「専門スキルを学びながら次のキャリアを開拓する」就労支援を行う。
林田さん(左)、安田さん(右)
林田さん(左)、安田さん(右)
キズキグループ

発達障害やうつ病などの精神障害で離職した若者の就労支援を行う「キズキ ビジネス カレッジ」が4月1日、東京・新宿に開校する。専門スキルを学びながら、求職活動を行えるのが特徴。サービスは、就労移行支援という国の障害福祉サービスの枠組み内で行われる。

近年、うつ病などの精神障害や発達障害などのメンタルヘルスが原因で離職をする若者が増えている。

2014年の調査(独立行政法人労働政策研究・研修機構)によると、過去3年間に4人に1人が何らかのメンタルヘルスの不調を経験し、そのうち退職に至った人は13.3%に上る。性別・年代別にみると、「メンタルヘルスの不調を感じたことがある」と答えた割合が最も多かったのは、20代女性で39.8%、その次に30代女性が続いた。

キズキグループの林田絵美さんによると、診断の有無を問わず発達障害を抱えていることで”生きづらさ”を感じ、うつ病などの精神障害になってしまう人もいるという。

メンタルヘルスの不調で離職した若者のなかには、自分を責めたり、キャリアに対する希望を失ってしまう人も多い。「キズキ ビジネス カレッジ」では、こうした若者が「何度でもやり直せる社会を作る」をビジョンに就労支援を行う。

就労支援は、1.自己理解を深める 2. 自分に合った専門知識を身に付ける 3.ミスマッチのない働き先を見つける、というプロセスで行われる。たとえば、発達障害を抱える人は、働く上で「支障」となる自分の特徴をきちんと理解し、それに応じて、身に付けるスキルや働き方、職場を選ぶ。

また企業は、各々の抱える「支障」を理解した上で求職者を受け入れる。そうすることで、就職後のミスマッチを減らすことができるという。

学ぶことのできる専門スキルは、プログラミングや会計、ファイナンス、マーケティングなど。これまでの就労移行支援は、単純作業・軽作業のスキル習得を対象とするサービスが一般的。専門的なスキルに特化したというのがポイントだ。

代表の安田祐輔さんはうつ病で新卒の企業を離職、その後発達障害が明らかになった。共同で設立に携わる林田さんも、発達障害を抱えているという。

■ 発達障害、それでも「資格によって経済的自立が確保できた」

林田さんは中高生の頃から、周囲と比べて「人付き合いが苦手」「1つのことに集中しすぎて、他のことに注意が向かない」などの問題を抱えていたという。

「こんな自分が社会に出て、きちんと経済的自立ができるだろうか」と不安に感じ、公認会計士の資格を取得をした。

 新卒で入社したのは、監査法人。公認会計士として働いた。働くなかで、自分の「注意欠陥」の特徴と公認会計士の仕事にミスマッチを感じることもあったという。一方で、「資格によって経済的自立が確保できた」のも事実だったーー。

 こうした経験から、発達障害がある人が「”自らの障害とミスマッチのない専門スキル”を習得することの大切さ」を実感した。ビジネスカレッジの構想は、この経験がもとになってる。

 林田さんは「周囲との違いやコンプレックスがチャンスになることもある」と話す。

たとえば、アスペルガー症候群の人のなかには、「何事にも、白黒つけないと納得いかない」傾向がある人がいるという。この特徴は、コミュニケーションにおいて障壁になることもあるが、判断力が求められるビジネスでは活かされるかもしれない。

「仕事をやめてしまっても『キズキがあるから何とかなるか』と思ってもらえるような場所にしていけたら」。林田さんはそう希望を語った。

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