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2015年12月30日 00時58分 JST | 更新 2016年12月29日 19時12分 JST

年末ってのは何かいいもんだ。

昔、誰かが言ってた言葉を思い出した。「子育ては、強く抱きしめそっとおろして歩かせる。歩きはじめたらその時は、しっかり背中を押してあげなさい。」

imagenavi via Getty Images
Sunset view of Nishi-Shinjuku from Tokyo metropolitan City Hall

カレンダーを一枚めくるだけなのに、何とも言えない特別な想いがこみ上げてくるのが年末年始だ。

今年の納会の席では、いつもより少しだけ多くの卒業生を見送った。

ご主人の都合で関西に行く女性

夢を叶えたいとNYに留学する女性

事情はそれぞれ、でもみんな長年一緒に働いてくれた家族みたいな仲間。

卒業生の中には、来年からPR会社を起業する15年勤務の男性もいた。

私は昔のサニーサイドアップを"吹けば飛ぶような会社だった"と表現して、

「何もそんな言い方しなくても」とたびたび注意されるのだが

そんな実感で日々生きていたのだからしょうがない。

彼が入社した15年前のサニーサイドアップにしたって、今とは比べものならないほど小さな会社だったがただパワーだけは尋常ではないものを持っていた。

社員も超優秀な人財でこそなかったかもしれないが、

飛び抜けた個性を持った集団として、一人ひとりが輝きを放ち、

信じられないほど忙しかったけれど、毎日がとてつもなく楽しかった。

みんな若かった。

会社は家庭で、社員は家族。みんながそうだと思っていた。

そんな月日を共に過ごした、息子みたいな彼からの辞表を、私は嫌々受理した。

彼は数年前に社内結婚もして、子供も誕生した。

社内結婚で生まれた命は、私にとっては子供か孫のような存在。

会社がなければなかった命だと思うだけで感慨深い。

もともと起業の意思があったから、

ゆくゆくはグループの子会社として独立して、そばにいてほしいと思っていたが、

"ゼロから一人でやってみたい"という答えが辞表という形で目の前に置かれた。

仕事納めの日、彼は私の前には現れなかった。

引き継ぎとクライアントへの挨拶が忙しかったらしい。

気にしない素振りはしていたけれど、気にならないわけはない。

しだいに腹が立ってきた。

(ああ、家族だと思っていたのは私だけだったんだな)

(15年も一緒にいたのに何も言わずにいなくなるなんて...)

なんかバカらしくなってきた。

結局、経営者と社員なんてものは、何年一緒にいても立っている場所も、見ているものも、見えるものも違うのだ。

あの頃を思い出すのも、いなくなる社員を想うのも、もういい加減にやめにしよう。

切なくなるだけだ。

2008年、会社は上場した。

それまでの仲間との日々は最高に楽しかったけれど、気がつけば仲間にはそれぞれに家族ができ、

私もそれなりの年になっていて、長年のパートナーの中田英寿も現役生活を終え次のステージに歩き出していた。

"会社も次のフィールドに進まなければいけない"そう思っての選択だった。

上場して得たものは大きい。

以前とは比べものにならない社会的な信用力と、

見たことも、実感も全くないが、それなりの資産。

そして"吹けば飛ぶような時代"とは比べようもない盤石な経営基盤と、200名近くの社員。グループ会社も数えたらたぶんその倍以上いくのだろう。

でも失ったものも多い。

あの頃を一緒に過ごした仲間たち。

旦那。ww

自由。ww

通信簿は常に世の中にさらけ出され、株も持っていない人たちからもとやかく言われ、

めんどくさいことも格段と多くなった。

羨ましがられることがないわけではないが、

時々叫びたくなることも、泣きたくなることもある。

新しい年がもうすぐ来る。

これからは去るものは追わない。

いなくなる仲間より、本当に大切にしなくてはいけないのは目の前にいる仲間だ。

それが社長の仕事なんだ。

と決意して会社を後にした。

次の日、彼から長いメールが届いた。

会社と、仲間たちへの愛と感謝、過去の日々への思いが溢れるほど書かれていた。

私が思っていることがそのまま彼の言葉で書かれてた。

さよならも言わずに、顔さえ見せずにいなくなったのはシャイな彼らしい。

私が一番知っていたはず。

不覚にも涙がとまらなくなった。

家族と思っていたのは私だけじゃなかったんだな。

でも、去るものは追わない。

私は今の会社に人生をかけてくれているメンバーを絶対に幸せにする。

そしていつか旅立つ時がきたら、しっかり背中を押してあげる。

それも社長である私の仕事なんだ。

昔、誰かが言っていた言葉を思い出した。

「子育ては、強く抱きしめそっとおろして歩かせる。

歩きはじめたらその時は、しっかり背中を押してあげなさい。」

さてと、今年も終わり・・・。

気持ちを整理し、新しい年を迎える心の準備をする。

年末ってのは何かいいもんだ。