「それでもクールか!?」 レポートその2

一概に日本のコンテンツ産業は衰退していると思ってしまうと、とても未来は無いように見えてしまう。そこから一番日本の技術というか、そこまでこだわるかっていうものがあるから世界中でウケているんで、そのこだわりをもってすれば、マネタイズの仕方はあるんじゃないかと思います。(ホリプロ堀義貴社長)

【「それでもクールか!?」 レポートその1はこちら

■「それでもクールか!?」 レポートその2

2013年10月11日、慶應義塾大学KMDポリシープロジェクトのニコ生番組「それでもクールか!?」。稲田朋美クールジャパン戦略担当大臣、ホリプロ堀義貴社長とぼくです。

その模様は以下のURLでご覧いただけますが、ちょいとかいつまんで、レポート第2回。

ニコ生アンケート。

Q1 クールジャパン政策について知っていましたか?

1内容まで把握していた

2名前だけは知っていた

3知らなかった

A

1内容まで把握していた57.5%。

2名前だけは知っていた 35.1%

3知らなかった 7.4%

中村

これは、こんなところでしょうか。

Q2 クールジャパンは政府に任せていいと思いますか?

1政府に任せるべき

2民間企業が各自でやるべき

3官民共同でやるべき

(アンケート中の会話)

中村

これはちょっと分かれそうですね。ぼくももあちこちでこういう議論をすると、「政府は出てくんな」って言われることが多くて。そう言いつつも、あれやってくれ、これやってくれって同時に出てくる。政策としてはとっても難しいジャンルだと思います。

稲田大臣

ええ、国がやるとか国が押し付けるっていうものでは育たないですよね。でも民間が出て行くところにちょっと後押しするっていうのはやっぱり必要で、本当に若い人や資金がない人のように、ちょっと押せば出ていけるのにってところは国が支援していいんじゃないかなと思いますね。

A

1政府に任せるべき 3.7%

2民間企業が各自でやるべき 48.1%

3官民共同でやるべき 48.1%

中村

綺麗に割れました。これヤラセなしです。全く同じ数字2つに分かれました。大体民間主導でやりましょうっていうのと政府ちょっと後押ししてくれよってのがおんなじくらいの声があるっていうことですね。

堀社長

アニメーションや外食産業は、知財戦略ができる前から中小企業でも必死になってやってきて、中国本土でもシンガポールでもラーメンは日本食だって言われてますし、中国に行くと焼肉屋さんには韓国料理屋と日式焼肉の二通りがあります。日式が大事だっていうことですね。それは民間がやってきたことです。全体としてはこれから少子高齢化でマーケットが縮まるという前提で、もう少しパイを広げましょうって政府が民間を支援する制度はあったほうがいいと思います。

中村

日本の現状は、海外と比べてどうなのか。日本のコンテンツ産業は、この10年大きくなると期待されたんですけれども、実はコンテンツ産業を全部合わせると縮小傾向にあるんですね。輸出入コンテンツ全体で見ると輸入超過というのが状況です。これをどう受け止めればいいのでしょうか。

稲田大臣

アニメにしてもマンガにしても日本のコンテンツは世界的に人気なのに、経済効果に結びついていない。もう少し支援や後押しをすれば、日本のコンテンツがまた世界に出て行けるきっかけになるんじゃないかなと思います。先ほど、民間に全部任せるべきという考えもありましたし、そんなに国が前に出てっていうのは良くないんですけど、やっぱりちょっと後押しするっていうことが効果を生むと思います。

中村

少子化で国内のエンターテイメント産業が頭打ち状態にあるんですが、海外にどうやって出て行くかというのが今のテーマになっていて、コンテンツ産業の割合に占める海外からの収入の比率が日本は5%程度と言われています。アメリカは17%程度あって、世界で商売しているんですね。日本もこれまでは国内で食えていたけど、海外に出ていかなければならないということが各ジャンルで強く認識されるようになってきました。

堀社長

音楽で言えばパッケージというビジネスは世界的に縮小傾向にありますし、だからといって音楽が聴かれる回数は減ったかといったらそうではなくて、聴かれている回数は増えている。ましてやカラオケに至っては世界中に広まってきて、歌われる回数は増えている。だから、実態の数字とライフスタイルに乖離があるんだと思います。まずそこは抑えておかないといけない。

アメリカとの対比というのがありましたけど、最初に世界中で利益を上げようと思って作るものと、今までの日本のように、日本だけで完結しようと思って作る予算の作品とは比較の対象にならない。20年前と明らかに違うのは、流通が変わったってことで、世界中が時差なく国境なくネットで繋がっていて、違法であろうが合法であろうが見られてしまっている。もしくは見てくれている。そこをどう捉えるのか。

実際にアニメーションでも海外で放送されていないもののファンは世界中に散っているわけです。インターネットの力かも知れない。じゃあそれをどうやってマネタイズするかがビジネス側として考えあぐねている点だと思います。

一概に日本のコンテンツ産業は衰退していると思ってしまうと、とても未来は無いように見えてしまう。そこから一番日本の技術というか、そこまでこだわるかっていうものがあるから世界中でウケているんで、そのこだわりをもってすれば、マネタイズの仕方はあるんじゃないかと思います。

中村

パリでジャパン・エキスポを開くと4日間で20万人の人が集まっていますし、フランクフルト大学は日本学科の先生って2人しかいないんですけど学生が500人も来ちゃって、殆ど日本のアニメやマンガでファンになりましたって人だそうですし、日本語を世界で学習する人って98年には210万人だったのが2009年には365万人まで増えているんですって。

堀さんがマネタイズっておっしゃいましたけど、それをビジネスに繋げるっていう動きがまだうまくできていないってことなんでしょうね。24時間世界中がネットで繋がった、スマホも持っているっていう状況をピンチと見る人もいれば、世界に広がるチャンスだと思う人もいると思います。そこの気持ちの持ちようなんですかね。

稲田大臣

日本のそのコンテンツの海外展開って潜在的な不安も可能性もいっぱいあると思います。音楽分野のライブはすごく伸びているっていうのも調査でわかってますよね。先ほどのTokyo Crazy Kawaii in Paris も第1回で、政府が補助をしたりもしたんですが、そういう機会を作っていくということも潜在能力はあるし。カラオケ業界の人に、カラオケが海外展開しているけどそれが日本のものだと知られていないって言われて私もびっくりしたんですが、まだまだ売り込みはあるのかなあと思います。

(この記事は11月14日の「中村伊知哉Blog」から転載しました)

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