何故靖国は国論を二分するのか?

本来は靖国という一神社の問題に過ぎず、宗教に拘わる日本の国内問題である。加えて重要な事実は、日本人の特質といって良いだろう、日本人は宗教に対してきわめて寛容な事である。

安倍首相の靖国参拝 賛成が41%、反対は46% 朝日新聞世論調査が興味深い。マーケティングを担当し実際に調査設計を経験した人なら誰でも知っているが、この程度の差であれば、設問の表現を少し工夫する、聞き方を変更するだけで簡単に逆転してしまう。従って、この世論調査の結果が示すのは、安倍晋相の靖国神社参拝についての賛成、反対に有意差はないという事であろう。

マスコミの大半は、安倍首相の靖国神社参拝後アメリカ国務省が「失望」を表明した事に便乗して、これ幸いと喜び勇んで批判を繰り返した。しかしながら、驚くべき事にこの間内閣の支持率は上昇している。

安倍内閣の支持率は50%。昨年11月上旬の調査の53%以来、2カ月半ぶりに50%台に戻した。内閣支持層では「参拝はよかった」は56%で、「参拝するべきではなかった」の35%を上回ったが、不支持層では20%対70%だった

今後も国内に重篤な問題を抱える中国、韓国は国民の不満を逸らすために事ある毎に靖国を使うであろう。一方、本来国民を啓蒙すべきマスコミも渡りに船とばかりに、中韓の批判に便乗して安倍首相(政府)の足を引っ張る事に熱中する展開になると予測する。従って、日本国民は靖国問題の本質をきちんと理解しておく必要がある。

■ 靖国問題の構図とは?

本来は靖国という一神社の問題に過ぎず、宗教に拘わる日本の国内問題である。加えて重要な事実は、日本人の特質といって良いだろう、日本人は宗教に対してきわめて寛容な事である。私のクリスチャンの友人は私が異教徒である事実を問題にしないし、無理やり私を改宗させようともしない。一方。信仰心の希薄な私は日曜日毎に家族で教会に通うクリスチャンの友人に対し、敬意を抱いている。日本の社会秩序はこういった微妙なバランスの上に構築されている。従って、外圧や国内に異分子が台頭すれば、結果靖国の如く問題が顕在化する。

■ 靖国を政治利用せざるを得ない中国、韓国

中国、韓国に共通しているのは両国とも国内に重篤な問題を抱えている事である。BBCが報じるところではまたも12人のウイグル系中国人が中国当局によって殺害されている。中国というのはこういった異常な事件が日常的に発生する極めて異質な国である。そして、中国国民が中国政府に対し不満を溜め込んでいるのは間違いない。

一方、韓国も状況は厳しい。個人的には韓国の現在の状況は通貨危機前夜であると理解している。今後、頼みの綱であるサムスン電子の業績悪化が顕在化し、中堅財閥の経営破綻が続く展開となれば、朴大統領への求心力は一気に弱まる事になる。

こういった背景から、中国、韓国は歴史を捏造してでも日本への誹謗中傷を継続し、国民の不満を無理やり日本に向けるしか政権維持の方法が見当たらない。従って、安倍首相が靖国参拝を自重したところで、何か他に捏造を企て言い掛かりを付けて来るに決まっている。

■ 日本叩きをやめる事が出来ない中国

「政治の民主化」は天安門事件以降中国共産党に課せられた重い宿題である。これに対し中国共産党は国を豊かにする事、国民の収入を増やす事を約束し、延命を図ってここまで引き延ばして来た訳である。確かに国は豊かになったかも知れない。しかしながら、富は一部の共産党幹部と、それに連なる既得権者によって独占され、大多数の国民は貧困に放置された。その結果、多くの国民は共産党に愛想を尽かしている。延命のため、中国共産党は「靖国」の様な機会を捉え形振り構わず日本叩きを繰り返し、国民の憎悪の矛先を日本に振り向ける事になる。

結局、昨日は3名の閣僚が靖国神社を参拝した。そして、それを新華社通信が手厳しく批判している。記事の中で明らかに歴史認識を間違っているのが下記最後の三行である。

「Repeated visits to the shrine by Japanese leaders and lawmakers have become a major obstacle for Japan to mend ties with its neighbors, especially China and South Korea, which suffered from Japan's invasion during World War II.」

韓国の歴史を少しだけ振り返らねばならない。先ず朝鮮はずっと長い間清の属国であった。清は1895年、日清戦争で日本に敗北し、日本は下関条約によって清朝最後の冊封国であった朝鮮を独立国と認させたのである。その後、日露戦争での日本の勝利を経て欧米列強の合意の下に日本は朝鮮を併合し、第二次世界大戦終了まで統治を継続した。従って、新華社通信が批判する様に第二次世界大戦時に日本が韓国を侵略するという事はあり得ない。多分、中国は韓国が一緒になって日本叩きをやってくれるので第二次世界大戦時同じ境遇にあったと錯覚しているのか? 或いは、こういう捏造を繰り返す事で「被害者韓国」のイメージを世界に広めようとしているのか? 不明だが、前者であれば余りに拙劣、後者なら下品な行為である。

■ 日本人は靖国をどう理解しているのか?

私は靖国に関しては3種類の日本人がいると考えている。第一は、戦没者の遺族に代表される少数派であり、「首相は参拝すべきである」と考えている。或いは、そこまで行かなくても、「首相に参拝して欲しい」と期待している。一方リベラルな少数派は、「首相は参拝すべきではない」で凝り固まっている。最後に、大多数の国民は基本的に関心がない。しかしながら、上述した様に宗教に対しては寛容なので首相の参拝を敢えて批判する様な事はない。

これに対しリベラルな少数派は自分達だけが正しいという、独善的な思いに凝り固まっているから、何時までも靖国問題を蒸し返し安倍首相への追及を止め様とはしない。しかしながら、この行為は上述した日本人一般の宗教観、つまりは、多神教ともいって良いだろう、他人の宗教に寛容で、どんな宗教であれ熱心に信仰する姿に敬意を抱くといった素直な気持ちと真っ向からぶつかる。

従って、靖国参拝で安倍首相を批判するマスコミや一部のネットメデイアは「日本人の宗教観」という、巨大なコンクリートの壁に向かって壁打ちテニスを繰り返すのと同じ結果となる。マスコミや一部のネットメデイアが靖国参拝で安倍首相を口汚く罵れば罵るほど、一般国民は彼らに愛想を尽かし離れて行く。或いは、人によっては憎悪を抱く結果となってしまう。

実社会で評価されない可哀そうな人間がネットで安倍首相を叩いて溜飲を下げるのは、勤め先から評価されなかった中年の非正規雇用社員が冷凍食品に農薬を混入したのと同じ愚かな行為である。せめて情報を扱う事のプロであるマスコミの人間くらいは、この事実に気付いて欲しいと思う。

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