さる4/8、高島平区民館ホールにて、政策シンポジウム「日本最速! 民進党のエネルギー政策 原発に頼らないエネルギー政策あり〼」を開催しました。民進党が具体的なエネルギー政策を打ち出していることはまだまだ知られておらず、こうした取り組みを積み重ねることが急務です。
前回の続きです。
今回はメイン弁士である田嶋要・衆議院議員が語る、民進党のエネルギー政策について書きます。
非常に多岐に渡る田嶋さんのお話の、ごく一部しか紹介できないことをご容赦ください。
エネルギッシュに説明する田嶋要議員。
なんとしても日本のエネルギー政策を変えなければならないという、その強い意志の原動力は、やはり3.11にありました。
「私は3.11当時、官邸に詰めていたただ一人の政務官だった。誰も経験したことがない事態であり、誰も何が起こっているかわかっていなかった。振り返れば、東京も含めたもっと広範な地域の人々が避難を余儀なくされる事態になったとしても、まったくおかしくなかった。だから、もう二度とああいうことを起こしてはならない。この想いで、私はエネルギー政策に取り組んでいる」
「エネルギー政策こそが、日本、そして世界の、ワクワクするような、新しい時代の入口であるということを、ぜひ皆様にお伝えしたいと思っている」
田嶋さんはしばしばこの「ワクワク」という言葉を使います。
あの福島第一の事故があったにもかかわらず、原発を推進しなければならないとするロジックを一言で語れば、
「原発をやめたら、日本のエネルギー供給は破綻する。人間は便利な生活を後退させることができない。社会の発展に犠牲はつきものだ。しかたがないんだ。この道しかないんだ」
という理屈です。
どうですかねこの理屈。「ワクワク」しますかね。
1970年代に原発について語ることは「ワクワク」することだったかもしれませんが、いま、原発推進やむなし、再稼働やむなしと言われて、「ワクワク」できますかね。
「ワクワクするかどうか」というのは、実は、人間社会の発展において、本質的な意味を持ってるんじゃないでしょうか。
地域で再生可能エネルギー産業を興そう。
省エネルギーを進めて電気代をオトクにしよう。
子どもたちや孫たち、将来世代に対して、胸を張って語れる夢を描こう。
...こういう考え方のほうが「ワクワク」するし、こういう感情を起点にすることが、真に誇れる日本の未来の出発点になるのではないかと、私は思うのです。
民進党は「分散型エネルギー推進法案4法案」を提出予定。
しかし国会で審議されず...。
「まず最初に、民進党は、いまの政権には決して出すことができない4つの法案を出す予定だということを覚えていただきたい」
それが、以下の4法案です。
(1) 分散型エネルギー利用促進法案
エネルギー自給を進める自治体に国から交付金を支給。分散型エネルギー導入を進め、 地域に雇用を創出することで経済を活性化させます。
(2) 公共施設省エネ・再エネ義務化法案
公共施設に自然エネルギーの導入、省エネルギーを義務化。国が先導役となることで、低価格化・民間への普及を促進し、省エネルギー社会・分散型エネルギー社会を実現します。
(3) 熱エネルギー利用促進法案
熱は地域にある貴重な資源ですが、日本では多くの熱が利用されずに捨てられています。熱を有効利用し、大幅な省エネルギーを実現します。
(4) エネルギー協同組合法案
地域でエネルギーを作り、その利益を地域に還元すれば、地域はもっと豊かになります。エネルギー協同組合を作れるようになれば、そんな地域を実現できます。
民進党はこれらの法案を第190回国会に提出予定なのですが、現実論として「おそらく審議されないだろう」と田嶋さんはおっしゃっていました。
確かに、現在公表されている第190回国会の議案一覧には、現在のところ上がっていません。
これが「数で負けている」ということですね。
忸怩たる思いです。
多くの可能性がある省エネルギー・再生可能エネルギー、熱利用推進
民進党では「原発に依存しない社会の一日も早い実現」「グリーンエネルギー革命の実現」「エネルギーの安定供給」を革新的エネルギー・環境戦略の三本柱とし、これを達成するために、
(1) 徹底的な省エネ(省エネは「国産エネルギー」)
(2) 熱の徹底利用(=「熱は熱で」)
(3) 再生可能エネルギーの導入拡大(エネルギーの地方分権)
(4) 火力発電所の高効率化
といった施策を深掘りし、これらを推進するため、エネルギー関連法体系・関連施策の抜本的改革を行うこととしています。
私も板橋区のエネルギー政策として「省エネルギー」「スマートシティ」という打ち出しをしていますが、国策としてもまずここが重要だということです。
エネルギー原単位指数を見ると、産業部門、業務部門、家庭部門のいずれもエネルギー効率は1990年代レベルで、欧米諸国に比べても1990年代以降は改善の遅れが目立つ、とのことです。
また、生産設備の老朽化や建築物・施設の老朽化も進んでおり、更新に伴うエネルギー効率改善余地は大きいと考えられます。
田嶋さんが続けて強調していたのが「熱の有効利用がエネルギー政策の要」ということです。
エアコンのように、最終的に得るものが「熱」であるのならば、地域にある「熱」をそのまま利用するほうが効率がよく、「熱 電力 熱」というエネルギーの転換は効率が悪い、とのことです。
断熱を強化すると、エネルギー効率が大きく改善します。
以下のような例を田嶋さんは挙げていらっしゃいました。
・工場の配管に設置する保温材の劣化により、国内の製造業が消費するエネルギーの3%程度が無駄遣いされている可能性(日本保温保冷工業協会)。これは原発7基がフル稼働した電力に相当。
・日本の住宅のアルミサッシをすべて樹脂サッシに変えた場合、年間1億トンのCO2(日本のCO2排出量の約8%、原発停止に伴う火力焚き増し分に相当)削減が可能との試算も。
私も板橋区のエネルギー政策としてお話ししましたが、たとえば40年以上前に建設された高島平団地にも「断熱」という発想は存在していません。
いずれはやってくる建て替えのときに、高島平団地全棟で外断熱とガラス二重化を行えば、相当なエネルギー効率の改善になると思われます。
もちろん、お財布にもやさしいわけです^^
戦後70年が経過した日本社会を丁寧に再チェックしていけば、たくさんの可能性があるんだ...ということを、ぜひ多くの方にご理解いただきたいと私も願っているところです。
日本は「持続可能な福祉国家」へ向かえるか
田嶋要さんが話の中で何度も引き合いに出していたのが、デンマークなどの北欧型福祉国家です。
エネルギー問題を議論する中で、いつしか会の進行は、「幸福な社会とはどういうものか」を議論する場へと入っていきました。
各国をジニ係数とEPI(環境パフォーマンス指数)による分布図で並べると、アメリカや日本は「格差大・環境パフォーマンス低タイプ国家」であり、ドイツや北欧諸国は「格差小・環境パフォーマンス高タイプ国家」であることがわかります。
しばしば話題になる「幸福度ランキング」も紹介されました。
2013年、2015年、2016年の幸福度ランキングの順位の変遷を見ると、デンマークが1位、3位、1位となっていますが、日本は43位、46位、53位です。
2015年の「World Happiness Report」の中の「2005-2007年から2012-1014年の幸福度の変化」ランキングを見ると、なんと日本は125カ国中、107位。
「日本は悪くなっている」、あるいは「日本は世界標準と比べて、大きく劣っている部分がたくさんある」ということを、政治ははっきりと認識すべきです。
次回は、質疑応答において、デンマーク人の知り合いがいらっしゃるという方から受けた質問と、それに対する田嶋要さんの回答を取り上げます。
皆様も「幸福な社会」とはどういうものか、考えながら次回をお待ちください^^
(2016年04月12日 「中妻じょうた公式ブログ」より転載)