バングラデシュのテロから1ヶ月--善と悪だけでは考えられない世界だからこそ、自分に問いかけたい事。

善と悪、白と黒という単純な二項対立では考えられない世界だからこそ、その間に無限に広がる灰色を見つめて、思考し続ける覚悟。

バングラデシュの首都ダッカで起きたテロ事件から、1ヶ月が過ぎました。

学生NGOバングラデシュ国際協力隊としては4回、私個人としては2回ダッカに足を運び、そして今年8月にも現地渡航を計画していた者として、今回の事件は決して「遠くの世界の出来事」ではなく、私に多くの事を感じさせました。

犠牲になった人々に対する悲しみや哀悼の気持ち。犯人たちに対する怒りや恐怖の気持ち。

ただ、私が感じたのはそれだけではありません。

テロや過激派を生む要因に、自分自身が加担してしまってはいないか。その責任の一端を、私が担ってしまってはいないか。私の中にも、今回の事件の原因が潜んでいるのではないか。

罪悪感のような、責任感のような気持ち。そして、そこから生まれる"声を上げなければならない"という、使命感。

グローバル化が極度に進展し、世界上のあらゆる出来事が連関を強める今日。地球の裏の出来事が、自分とどこでどう繋がるかなんて、分からない。誰かの犠牲の上に、私たちの「豊かな」生活が成り立っているのかもしれない。バングラデシュに何度も足を運び、国際協力の世界に目を向ける人間として、私はこんな事を感じてしまいます。

善と悪、白と黒という単純な二項対立では考えられない世界だからこそ、その間に無限に広がる灰色を見つめて、思考し続ける覚悟。声を上げ続ける勇気。

被害者への単なる「追悼」だけではなく、加害者への単なる「追訴」だけではなく。1か月の時が過ぎ、日本のメディアが事件を報道する量はめっきり減りましたが、これまで出会ったバングラデシュの人々の顔を思い出しながら、考え続けたいと思います。

2015年3月、学生NGOバングラデシュ国際協力隊第2回現地渡航より(写真:バングラデシュ国際協力隊)

記事執筆者:原貫太

テロ事件が起きる1ヶ月以上前に寄稿した「バングラデシュで高まるイスラム過激派-アジアへ広がるISの脅威」も併せてご覧ください。

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