【画像】ムスリム女性が被る布"ヒジャブ"が今すごいことに。インドネシアのヒジャブ女子のオシャレが止まらない

ここ数年インドネシアではヒジャブをオシャレに着こなす、いわば「ヒジャブ女子」が急増しており、なんだかスゴイことになっているらしいというので、ホントのところをインドネシア留学生に聞いてみた。
muslim young woman wearing...
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ムスリム女性たちの頭を覆うあの布"ヒジャブ"といえば、黒い無地の布を思い浮かべる人も多いかもしれない。しかし、ここ数年インドネシアではヒジャブをオシャレに着こなす、いわば「ヒジャブ女子」が急増しており、なんだかスゴイことになっているらしいというので、ホントのところをインドネシア留学生に聞いてみた。

今回協力してもらったのは、インドネシアの国費留学生としてアイオワ州立大学の大学院に社会学を学びにやってきた社会学者、Iim Halimatusa'diyah;通称イーム(33)。先進国の社会学を学び母国の発展に貢献したいという至って真面目な模範生である彼女も、ヒジャブ女子の一人だ。

イーム;私たちイスラム教徒の女性たちは、基本的に肌を隠さなければいけません。そのために頭を覆うのがヒジャブと呼ばれる布ね。ここ数年私の母国インドネシアでは、ヒジャブがどんどんファッションとして受け入れられるようになってきて、若い女の子たちはいかにファッショナブルにヒジャブを着こなすかが最大の関心事なの。

ファッションである、ということはもちろん流行の柄や巻き方なんかもあるそうで、最新トレンドはちょっと長めのサイズの布を使ってアシンメトリーに巻き、アクセサリーで飾り付けるのがオシャレなんだとか。メイクもヒジャブの色に合わせてアイカラーやリップの色を変えたりするらしい。

イーム;私は若い子たちに比べたら全然ファッショナブルな方じゃないのよ。彼女たちにはヒジャブのコーディネートを指南するファッション雑誌もあるし、オシャレな巻き方を教えるビデオはyoutubeなんかもたくさんあるから、そういうのをを参考にするみたいね。

なるほど、確かにイメージしてたムスリム女性の姿とはだいぶ違う。実際、イームもいつもカラフルなヒジャブや、レースがあしらわれたヒジャブなどを着こなし、それに合わせたブローチなんかを留めて仕上げている。オシャレじゃないなんて言うけどハタから見たら十分ステキだ。しかし一体全体なぜこんなことになってるのか。社会学者でもある彼女の見解を聞いてみた。

イーム;いくつか理由はあると思うけれど、何よりもファッションとして広く受け入れられるように世間の価値観が大きく変わってきているのが最大の理由ね。女性の社会的立場が以前ほど保守的ではなくなってきたという社会背景にも関係するでしょう。それと、ヒジャブメーカーがこぞってファッションとしてのヒジャブをアピールしてきて、若い子達のハートを掴んだマーケティングがハマったんだと思う。今やヒジャブ産業はかなり成長して経済にも貢献しているの。

オシャレヒジャブおそるべし。しかしながら、こうした慣習の変化には当然のことながら賛成の声ばかりではない。ファッショナブルなヒジャブは一方で案の定物議をかもしてもいるようだ。

イーム;確かに、年配の人や保守的な人にとってオシャレなヒジャブはあまり良く思われないこともあるわ。宗教上の意味を軽視していると考える人もいる。インドネシアではとてもデリケートな問題でもあるの。もちろん私はラマダンもするし、日々の祈りも欠かさない敬虔なムスリムだけれども、カラフルなヒジャブを巻いていることで、そう見られないこともあるかもしれないわね。

とはいえ、私は彼女からとあるエピソードを聞いたこともあり、個人的にはオシャレヒジャブに賛成の立場だ。

イーム;女性たちが個性を表現できるのは素晴らしいことだし、そのことで信仰が軽んじられるわけではないと思う。私の親戚の1人は、それまでヒジャブは巻かなかったのに、去年からファッションとしてヒジャブを巻き始めて、今では毎日ヒジャブを選ぶのを楽しんでるわ。しかも、ヒジャブを身に着けることで、今まで以上に宗教に対する想いが強くなり、信仰も深まったと言っているの。これは素晴らしいことだと思わない?

せっかくヒジャブのことを色々と教えてもらったのだから、こうなると実際に着るところを見てみたくなるのが人のサガってもんではないでしょうか。そこで、ちょっと陽気なトルコ人にモデルをしてもらって、ヒジャブ巻きのプロセスを見せてもらいましょう。

【Before】

【Step①:帽子のようなものをかぶります。これはなくても良いんだとか。】

後ろ姿はこんな感じ。髪の毛はこの中にしまい込みます。ノリノリです。

【Step②:ヒジャブをかぶります。】

布のサイズや素材はまちまち。オシャレの幅が広がります。差し色インナーのチラ見せがポイント。

【Step③:顔のサイズに合わせて、首元を留めます。】

いいですね、とても楽しそうですね。ちょっと湯婆婆にも見えるのは私だけでしょうか。布を留めるのに使うのは意外と普通のマチ針でした。

【Step④:余った布を頭に巻き付けていきます。】

ここがオシャレヒジャブ女子の腕の見せ所。クリエイティビティが試されます。

【Step⑤:飾りのブローチをつけます。これももちろんオプショナル。】

こちらはイームのコレクションの一部。フェルトのお花は手作りだとか。

【Step⑥:最後に全体のバランスを見ながら形を整えていきます。】

【完成!!】

右から見るとこんな感じ。モデルご機嫌です。

左から。この頭頂部を"盛る"のが良いとする風潮もあるんだとか。盛り髪ですね。

ちゃっかり自分も着せてもらってみましたが、苦しいこともなく案外快適。むしろ寒い冬は耳が守られていいかも。素材も種類が豊富なので、夏は通気性の良い布を使えば帽子のような役割も果たしてくれる、なかなか実用性とファッション性を持ち合わせたアイテムなのだ。それと、綺麗な布をまとってみると、やっぱり女子としてはちょっと気分がアガることも実証。

最後に、イームにちょっと意地悪な質問をぶつけてみました。「それ、ずーっと着けてるの、イヤになったりしないの?たまには外して外に出てみたい!とか、ぶっちゃけ思うことない?」

イーム;私にとって、ヒジャブは私の一部なの。物心つく前からずっと身に着けてきているものだから、これがないと自分じゃないような気がするのよ。私にとってヒジャブはアイデンティティ、なくてはならないもの。だから、着けるのがイヤだと思ったことは一度もないし、私はムスリムとして、一人の女性として、ヒジャブを身に着けることにとても誇りを持っているのよ。

いかがでしたでしょうか。文化や宗教の壁を越えて、オシャレヒジャブがファッションとして日本で広まる日も遠くないかも?!その時はかっこよくアシンメトリーにキメて、彼女のようにドヤ顔で街を闊歩してみては。