【独占取材】専修大学の学内誌でLGBT特集!その背景とは

「セクシュアリティの数だけ、そして人の数だけ様々な生き方があることを感じられたように思えます。」

雑誌のLGBT特集が大学の学内誌にも!

雑誌におけるLGBT特集について、先日以下の二つの記事を書きました。

すると、ちょうど知人からこんな連絡を受けたのです。「専修大学の学生がゼミで作る雑誌にLGBT特集が組まれるので、取材を受けてくれる人を探している...」学内誌でLGBT特集。これに筆者は大変興味を持ち、すぐに取材を受けたい旨を返信しました。

今回のLGBT特集の企画の一つ、「リアル恋バナ会議」と題した座談会形式の取材を受けて来ました。

場所は専修大学の一教室。入り口にはなんとレインボーの飾り付けが!ここからも学生側の意識の高さが伺えます。

この座談会に参加したメンバーは、3名のゼミ生と6名のLGBT当事者。セクシュアリティはストレート、ゲイ、レズビアン、FtMパンセクシュアル、FtMゲイ、FtXパンセクシュアルと、性自認も恋愛対象も多様な面々。ここに筆者も参加させていただきました。

企画意図は、「異なるセクシュアリティそれぞれの視点からの恋愛の形を記事にし、多様な愛の形を考えるきっかけとなるものにしたい、この座談会は楽しい雰囲気の記事にし、読者がLGBTについて考える入り口にしたい」ということで、「好きなタイプ」や「理想のデート」といったザ・恋バナ!な話題から、「恋と愛の違いは何?」などの深い議題まで、語り合いました。

今回はAセクシュアルの参加者はいなかったので全員が恋愛に関するエピソードを語りましたが、その中でも「恋愛をしない人もいるしね。」といった発言が出るなど、自分たち以外の性や恋愛、ライフスタイルのあり方までも考えることが出来た座談会でした。

今回お話を伺ったゼミ生は、写真左から今年度編集長の角萌楓さん(偶然にも筆者と同じ苗字でした)、LGBT特集の企画者である筒井美桜さん、取材や編集に携わっている山﨑珠世さんの3名。

皆さんが所属する川上隆志ゼミナールの一番の特長は、なんといっても学生自ら実際に雑誌制作を行えること。そこに魅力を感じてゼミを選択した学生さんが多いとのことです。ゼミで作る学内誌『SHOW』は毎号テーマが異なり、年度によってカラーが変わっているのも面白いところだそう。前号No.9の特集は『「働くこと」と私。』でした。

企画者である筒井さんに、LGBT特集を提案したきっかけを聞いてみました。

「去年『「働くこと」と私。』というテーマで『SHOW』を制作した時、私は社会の中で働く女性や、女性問題をテーマにした記事を書いたんです。その中で、制度は進んでいてもまだまだ意識がついていっていない部分や、マイノリティって働く女性だけじゃないなということも感じて...。もともと教授が部落問題について講義で取り上げていたりしていたこともあって、マイノリティの方たちの生き方から私たちに落とし込めることってあるんじゃないかなって思ったんです。そう考えた時に、全米の同性婚や渋谷区・世田谷区のパートナーシップのこともあって今LGBTのことはすごく動いている、過渡期だと思いました。雑誌を作る上で重要な"伝えたい想い"と"タイムリー性"を踏まえて、今やるべきテーマはLGBTだ!と思ったのが企画提案のきっかけです。」

筒井さんの提案を聞いたゼミの皆さんも、LGBTについて今動いている時期だと共感したとのこと。

「男女で分けるのが今まで学校や生活の中で当たり前だったけど、そうじゃない人もいる」と実感したという山﨑さん。

編集長の角さんは、

「筒井さんが企画を出した時にすごくいいなと思いました。私もマジョリティがいればマイノリティもいるし、逆もしかりだなとちょうど考えていたんです。LGBTの方々を雑誌で取り上げることはしなければいけないと思っていましたが、だからといってマイノリティばかりを取り上げると、それはそれである意味マジョリティになってしまう。マジョリティとマイノリティの双方を活かせるように、今回は私にとってマジョリティの『東京』というテーマも同時特集にしています。マジョリティもマイノリティも含めて全部が日常だよ、ということを誌面を通して言えればいいなと思っています。」

と、やりたいという気持ちだけでなく誌面のバランスを考慮して特集を組み立てていました。そこには何がマイノリティで何がマジョリティなのか?といったことも考えさせられる工夫が感じられます。

「リアル恋バナ会議」を終えたばかりの3人は、笑顔で「楽しかった」と口にしていました。

企画者の筒井さんは、

「差別はしたくないという気持ちを持っていたつもりだったけれど、どこか勝手にイメージを膨らませていたのかもしれないと実感しました。座談会の皆さんのお話は、セクシュアリティを超えて共感できたり、気づかされることが沢山あって、自分たちと一緒なんだと改めて思いました。」

座談会を盛り上げた山﨑さんも、

「今までLGBTはテレビの中のこと、と思ってしまっていたのかもと気づきました。でも今日座談会に参加してくださった皆さんにお会いして、セクシュアリティに関わらず単純に友達になりたいなって思いました。」

座談会の撮影などを行い、全体を見ていた編集長の角さんは、

「取材の中でこんなに親しみを持って話せたのは初めてでした。今日参加したメンバーには、人として人を好きになるっていうのが根底にあって、なんだか人のあたたかさを感じました。」

ゼミ生のにこやかな表情からは、この座談会の意義が伝わってくるようでした。

編集長の角さんは、実際に取材を行う中でこう実感したそうです。

「当事者の方とふれあって、考え方が変わったと思います。取材前は大変なことが多いのかなと予想していましたが、自分の生き方に誇りを持っていたり、生きることを楽しんでいる方がこんなに多いんだって思いました。そこで、ネガティブな先入観を持ちがちだった自分にも気づいたんです。今回の取材は、自分の生き方を考えるきっかけにもなりました。」

強く明るく生きる取材者に刺激を受けた一方で、迫害にあうLGBTの存在も感じたと語る企画者の筒井さん。

「海外からいらしたレズビアンの方に何名かお話を伺ったんですが、母国でオープンに暮らしている方から『日本の街中では同性カップルが堂々と歩いていなくてさみしい』という意見もあれば、『自分の国だったらもっと差別される』とおっしゃっていた方もいて...国によってこんなにも違いがあるのかと驚きました。日本もオリンピックに向けて国際都市を目指すのなら、もっとLGBTについてやらなきゃいけないことがあるんじゃないかと強く思いました。」

LGBTならではの苦労もありますが、個人個人の背景による辛いことや哀しいこと、そして嬉しいことや楽しいこともあります。セクシュアリティの数だけ、そして人の数だけ様々な生き方があることを、『SHOW』編集部の学生さんも座談会に参加した私たちも感じられたように思えます。

誌面に参加するレズビアンの一人としても、ライターとしても大変刺激的な一日でした。

取材にご協力いただいた川上隆志ゼミナールの皆さん、ありがとうございました!

LGBT特集が掲載される『SHOW No.10』は12月中旬発行予定とのこと。このように、LGBTに目を向ける学生や若者がどんどん増えていってほしいですね。

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