大学院の専門分野試験の勉強方法について

やってみて本当に良かったなぁ。

福岡県の太宰府天満宮の入り口にいる牛

<はじめに>

日本の大学院受験の際の、専門分野試験における勉強方法についてまとめました。私が受けたジェンダー専攻向けの勉強方法情報がネットであまり見つけられなかったので、自分の勉強方法を忘備録として残すことが目的です。

ただ、どの分野にも共通することではあるかもしれないので、<大学院の専門分野試験の勉強方法について>というタイトルにしました。

もし今後大学院受験をされる方などいらっしゃいましたら、ぜひ参考になる部分があれば嬉しいです。以下は、具体的な勉強方法についてです。

<勉強スタイルについて>

大学によって試験方法は異なると思いますが、受けることを決めたらすぐに願書を取り寄せ、過去問題を手に入れることをおすすめします。

私が受けたお茶の水女子大学の試験は、英語論文の日本語訳(2時間)、専門分野の論文(2時間)、面接(15分)でした。試験開始は9:30からだったので、その時間に頭をフル回転できるように早起きの習慣をつけ、毎日9:30にはなんらかの作業をしているようにしました。

基本的に24:30には就寝・朝5時起床・朝6時に電車に乗って7時にスタバ到着&作業 というルーティンでの勉強生活です。テスト直近の土日はほぼ地元のスタバにこもり、居心地の良い椅子に陣取っていましたが、座り過ぎでお尻が痛くなったので、終盤は立って作業できるような少し高めの椅子で立ち勉強をしていました。座り過ぎだと健康に良くないらしいので、立って作業するのは結構おすすめです!立っていると眠くならないのもポイントでした。

<専門分野の情報収集〜本とネット〜>

まず専門分野の知識を入れるために、私の場合はジェンダー社会科学専攻なので、ジェンダーに関する本をAmazonで大量に購入しました。

専門分野の本だけではなく、最近出版されたような、関連するテーマのエッセイ本や一般書も購入し、勉強する際は、堅い文章と柔らかい文章を交互に読んで飽きない工夫をしていました。

試験に向けて買った本一覧は以下です。今までに買った本や、試験中に読み返した本も記載しています。私は紙の本で勉強するのが好きなので、冊子購入がほとんどです。

ジェンダーの基礎的な本もたくさん読んでいますが、学部時代は教育学部の社会科学専攻でジェンダーの専門知識がない状態からのスタートだったためこのようなセレクトになっています。学部時代に専門知識を学んだ場合は、必要のない基礎的な本もあるかもしれません。なお、この中でも基礎知識の理解に役立ったものには(よく読み込んだ)と書いています。

はじめてのジェンダー論(よく読み込んだ)

ジェンダーの社会学入門(よく読み込んだ)

ジェンダー論をつかむ(よく読み込んだ)

また、本以外にも毎日ネットでジェンダー関連のニュースをチェックして、最新動向を追いかけるようにしていました。この作業は元々ジェンダーに興味があったことから、3年以上続けていました。その際に気になるニュースはコピーして、数字データなどをノートにまとめるようにしていました。ただ、ネット情報だと漢字や数字を間違えているものがあったので、やはり本などの信頼できる情報をまずは集めることをおすすめします。

ちなみに、私はFacebookで試験1週間前くらいに知人が投稿していた「カルビーのダイバーシティ経営について」の投稿に非常に感銘を受け、そのシンポジウムの議事録を携帯に保存して何度も読んでいました。それを事例として書けるような問題が出たので、アンテナは色んなところに張っておいて損はないと思います。

<専門分野の筆記試験のための具体的な勉強方法>

(1)専門の本を読み、気になる部分や重要だと思う部分にマーカーを引きながら読みます。

▶この時は1回目なので全ての内容を理解できなくても大丈夫です。

(2)もう一度、ここは覚えたほうが良さそうだと思う部分に赤線を引きながら読みます。

(3)持っている本すべてを、一旦上記の状態にして「手垢がついた(2回読んだ)状態」にする。

▶このことで新しいことに取り組むわけではなくなり、本を手に取るハードルが下がります。

(4)本を読みながら、勉強の鍵となってくる「マイノート」を作成する。

▶線やマーカーを引いた箇所をノートにまとめ、頭の中を整理することが目的。わからない単語やあやふやな知識はここで全てクリアにするべく調べつくします。

(5)マイノートに書かれている重要単語や数字を暗記する。

(6)大体覚えたら、もう一度ザッと(1)で読んだ本を読み返します。1回目に比べると、内容がかなり理解できるのを実感できるはず。

(7)2冊目のマイノートを作成します。大きなトピックごとにツリーマップを書き、物事の関連性を頭に入れる。

(8)完成したマイノートを何度も読みます。論文に書きたい文言や表現は、長くても書いて覚える。普段書けないと、試験で思い出して書くのは難しいです。

(9)マイノートを元に、友達や家族にクイズを出してもらう。

(10)友達や家族と関連トピックについて話す。私の場合は両親にLGBTの説明をしたり、妹に電話で「出生数って、2015年から100万人を切ったんだよ!」というように話題に出して印象に残していました。人に話すと覚えるので、おすすめです。

(11)試験2週間前は、言葉の定義を論文で書けるように、ルーズリーフ1枚にひとつのトピックで言葉の意味を「自分の言葉で」まとめ、それを自分は見ずに友人や家族に説明する、という練習を何度もしました。理解をしていても書けたり思い出せるかは別なので、直近2週間は頭の中の知識を引き出す練習をすると良いと思います。

<その他おすすめ! 4つの取り組み>

(1)専門分野に関連する勉強会やシンポジウムに行く。

直前に参加したイベント2つがそのまま論文テーマとして出て、試験問題を見てひっくり返りそうになりました。普段からアンテナを張って、色んなイベントやシンポジウムに行くのをおすすめします。人と一緒に学んだことって、なかなか忘れません。

(2)試験の合格者に直接アドバイスをもらう。

私の場合は、試験の1ヶ月前に知り合いから「LGBTのイベントをするので参加しませんか?」というメールをもらったことが、かなり合否に影響していると思います。というのも、彼女に返信をする際に、「大学院受験でジェンダー専攻を受けるので、ぜひ参加したい」と送ると、なんと以下の返信が来たのです。

「実はお茶大修士のジェンダー専攻でした。何かお困りでしたらアドバイスできるかもしれません!私は特に塾には通わず、過去問を見て出そうな事柄を全てピックアップして、それぞれについて400字以内での記述をまとめるという対策をしました。ノート1冊分くらい作ったから、50個以上のトピックスについて書いたと思われます......(メール一部抜粋)」

前からの知り合いだったのですが、お茶の水女子大学出身だったとは知らず、しかも同じ専攻......!?と衝撃を受けました。急遽、次の日に彼女にアポを取り、試験の対策や面接対策、その他の教員対策についてアドバイスをもらいました。今まで手探りで模索していた勉強状況が、一気に加速したのを覚えています。

やはり経験者に聞くこと、しかも上手くいった人の方法を聞くことは重要だなと実感。それまでに作成していたマイノートを見てもらい、単語の解説や試験の傾向について色々と教えてもらいました。また、面接対策では私の研究テーマについて色々と意見をもらい、その上で私はどういうアピールをしたら良いか指摘してもらいました。大学院面接は初めてで、どうしたら良いのか右も左もわからなかったので本当に参考になりました。

一番言われたのは「素直な自分を見せること! ありのままの濱田さんの熱意を伝えれば大丈夫です!」というお言葉。ちなみに面接の最後に、教授から「熱意だけはかなり伝わりました」と言われ、「熱意だけ!?落ちた!!!!!」と受け取ってしまい、半泣きで「これでも精一杯抑えたつもりなんですけどっ......!」と答えるという結果になりました(笑)。

彼女に会ってアドバイスをもらったのは、試験1ヶ月前、1週間前の合計2回。そして試験2週間前に、彼女の主催するイベントに参加しました。そのテーマがなんと、論文試験でそっくりそのまま出たのです。彼女は試験の神様ではないか......!?と思わずにはいられませんでした。次の日はお茶の水女子大学で開催されたシンポジウムに参加したのですが、その際の「女性と政治」というテーマも試験に出ました。2時間みっちりノートにとっていたので、このテーマに関してもかなり自信を持って書けました。休日に篭って勉強してばかりだと飽きてしまうので、時々イベントなどに足を運ぶとリフレッシュにもなるのでおすすめです。

(3)周りの人に受験をすることを宣言する。

「絶対に受かるぞ!!」という自分のモチベーションにつながりました(人によると思いますが)。また、私は親友にLINEで「今からスタバで勉強!」と宣言してました。すると試験直前に彼女から、スタバのドリンクギフトのプレゼントがLINEで送られてきてすごく嬉しかったです。

(4)モチベーションを管理する。

時々「なんでこんなにやらないといけないんだろう......もうやだー!」とやる気をなくすこともありました。そんな時は、「私は何のために勉強してるの?」というのを携帯にまとめて眺めていました。私は大きく分けると以下の4つで、理由としては「自分が社会の中で今後どうしてもやりたいことに必要だから!」という気持ちが大きかったです。

◎私が勉強する理由

・これからやりたいことに必要な経験をするため!!

・社会に信頼される知識をつけるため!!

・女性のエンパワーメントに貢献するため!!!

・将来世界の女性の役に立つために勉強する!!!

自分だけのためだとここまで頑張れないなぁ......と勉強しながらよく思っていました。自分を超えて、もっと大きなミッションのため!と思うと、力が湧いてくるので不思議です。今後も色々あると思いますが、同じようなモチベーションで引き続き勉強していくのだろうなと思います。

<おまけ:大学院入試で英語論文の翻訳をする理由ついて>

日本の大学院入試でよく出題されるのが、英語論文の翻訳問題。これを私は「なんで日本語に訳さなくちゃいけないの!?」と不思議に思っていました。理由に納得いかないと、なかなか行動に身が入らないという性格なため、もやもやしながらこの受験対策をしていましたが、上記に登場したお茶の水女子大学の卒業生の方にその疑問をぶつけると、

「濱田さん、日本語訳を大学院入試で出す理由は、『概念を読み解けているのか』を見るからですよ。日本にはまだない概念や取り組みを海外から持ってくる際に、英語で書かれた論文を読み、その内容を自分の論文に取り入れる必要がありますよね。そのためにも、英語で書かれた論文で、かつその中に出てくる『概念』を日本語として訳せる力はとても重要です。『言葉』というのは、今ここにはない概念を定着させるために作り出されて使われるもの。たとえば『愛』や『平等』といった言葉なんかも、そうやって明治維新の際にできました。」

と言われて、目からウロコがどっさり!!!なるほど!!!!!そういうことか!!!と納得して勉強に身が入るようになりました。他にも、

・「訳しなさい」という問いの場合は正確性が求められるので、書いてあることだけを書く。わからないことは抜く。変に意訳などはしないで、そのままの意味をちゃんと書く。

・「説明しなさい」という問いの場合は、事例などを入れても良い。

というアドバイスをもらいました。私はつい何でも意訳させて自分なりのキレイな日本語を作ろうとしてしまうので、この意見をもらってから訳し方を変えました。やはり先人の意見を聞くことは、何事においても重要だなと実感。

<最後に>

実は2017年に一度別の大学院受験をしたのですが、不合格! 正直この時は勉強時間も足りず、落ちたのも納得だな......という感想でした。でも、今回はその経験を活かして自分の苦手分野にちゃんとフォーカスして勉強に取り組むことができました。

その他にも、1ヶ月前に現れた強力な助っ人や、参加したイベントテーマが偶然試験のテーマと同じなど、「なんだかご縁を感じる!」という出来事がたくさん起こりました。去年落ちた時に、恩師から言われた「濱田さんのやりたいことはお茶の水女子大学でできると思うよ」という言葉を家の廊下で聞いた時のことを今でも覚えています。それまでは全く頭になかったのですが、電話の後すぐにネットで調べて願書を申込んだのがことの始まりです。

結果として、その落ちた大学院がお茶の水女子大学と単位互換協定を結んでいるので、入りたかったゼミの先生の授業を受けに行けそうです!やったー!!壁にぶつかったり、すぐに結果を出せなかったりしながらも、諦めなければちゃんと結果に繋がるのだなと思いました。次の2年間は、大学院でこれまで7年間の取材活動やアジアで働いた経験を社会に活かすためにしっかり研究に向き合いたいです。

やってみて本当に良かったなぁ。。これからも頑張ります!