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2015年12月26日 15時51分 JST | 更新 2016年12月24日 19時12分 JST

予防接種はほんとに必要?「インフルエンザになりにくい人」の正体

体質によって、インフルエンザにかかりやすい人とそうでない人がいるのでしょうか?

毎年流行するインフルエンザ。仕事は休まなければいけませんし、40度近い熱が出ると大人でも辛いものです。そんなインフルエンザには、毎年繰り返すパターンがあります。例年の傾向を見ることで、今年の予防にも役立てられるのではないでしょうか。

◆流行は毎年12月上旬から

インフルエンザが流行しない年というのは、未だかつてありません。毎年初期の感染者が発生し始めるのが11月下旬から12月上旬、本格的に流行の兆しが見えるのが12月上旬から中旬、流行のピークと言えるのが1-2月です。

患者数は例年1000万人前後ですから、およそ10人に1人がインフルエンザにかかる計算になります。

◆「インフルエンザにかかりにくい体質」は、ない?

インフルエンザの話になると、「まだ一度もかかったことがない」、「大人になってからかからなくなった」という人は珍しくなく、その一方で逆に「2年連続でかかっている」という不運な方もいます。体質によって、インフルエンザにかかりやすい人とそうでない人がいるのでしょうか?

インフルエンザにかかりにくくなる体質というのは、まだ医学的には特に報告がありません。しかし、「今まで一度もかかったことがない!」という人もいるのが現実です。それはなぜでしょうか?かかりやすい人、かかりにくい人がいる気がしてしまうのは、もしかしたら単なる数字のマジックかもしれません。

1年のうちで10人に1人がインフルエンザになるとすると、20年連続でインフルエンザに「かからない」確率は計算上12%です。つまり、知人が100人いたら、その中で12人は20年連続でかかっていない人だということになります。その一方で、2年連続でかかってしまう不幸な人が数人いても、おかしくないでしょう。

つまり、インフルエンザに強い(または弱い)気がしてしまうのは、体質ではなく単に統計的な問題として説明可能です。そこから考えると、これまで一度もインフルエンザにかかったことがなかったとしても、今年かかる可能性が低いとは決して言えないということになります...。

◆ワクチンの効果は75-86%

インフルエンザを予防するための効果が最も高いと考えられているのはワクチンによる予防接種です。しかし、ワクチンであっても100%の予防率というわけには行きません。

また、ワクチン接種の翌日には注射部位が腫れたり、熱が出たり(※これはワクチンによる正常反応であり、インフルエンザにかかったということではありません)することがあるので、「ワクチンを打たなくてもこれまで大丈夫だったし」という思いから予防接種を受けない人もいます。

ワクチンの効果については様々な研究があり、これらを統合したところ、予防効果は75-86%と推定されています。ワクチンの効果や、効果の限界、副作用については色々と誤解されている部分も多いところではありますが、なかなか信頼できる情報源が限られているのも事実です。

メドレーでは100個以上のインフルエンザQ&A流行対策特設ページを公開しているので、こちらもぜひご覧ください。

ワクチンにはメリットとデメリットがありながらもメリットの方が上回るというのが医師の間での一般的な見解で、控えめに見積もっても9割以上の医師は自身でも予防接種を受けています(もちろん、院内感染を予防するためにも受けるべきという病院ならではの事情もあります)。ワクチン以外の予防法としては、手洗いが大切です。マスク咳エチケット(咳をするときに口元を覆うこと)にも、周囲へウイルスを拡散させないという効果がありますので、より一般的な習慣として広く知られるようになると良いと感じています。

元記事は▶▶「インフルエンザにかかりにくい人」の正体

Written by 沖山 翔(おきやま・しょう)

東京大学医学部卒業後、日本赤十字社医療センターでの臨床研修を経て、救命救急医、船医、離島医(石垣島・波照間島)、ドクターヘリ添乗医、DMAT(災害派遣医療チーム)隊員として勤務。医療業務外では、生と死、救急治療などをテーマとした講演活動、ワークショップを開催。「医師たちが作るオンライン病気事典『メドレー』」が提供する医療情報最高責任者として監修・指導を行う。

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