がん治療に対する抵抗性は、遺伝学的変化の獲得、あるいはすでに存在している遺伝学的変化によって生じる。
このような変化は抗増殖薬への感受性が低く、増殖の遅い残存細胞集団に蓄積しやすいと考えられている。
しかし今回、増殖中の細胞での非遺伝学的な抵抗性獲得機構が明らかにされている。
このような、最終的には抵抗性を生じることになるまれな細胞は、EGFRなどの既知の抵抗性ドライバーを1つ(大抵の場合はもっと多く)高レベルで発現することを特徴とする一過性の転写状態にある。
この一過性の転写プログラムは、薬剤に曝露されることでエピジェネティックに「焼き付け」られ、転写レベルでの薬剤抵抗性を持った細胞の選択と増殖が可能になる。
Nature546, 7658
2017年6月15日
薬剤抵抗性を再プログラム化するがん細胞
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doi:10.1038/nature22794
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