BLOG
2016年03月28日 15時52分 JST | 更新 2017年03月28日 18時12分 JST

失われた記憶を取り戻す

2016-03-25-1458944192-2102560-70206.jpg

初期アルツハイマー病モデルマウスの海馬歯状回記憶エングラム細胞(緑色)。

この細胞への内側嗅内皮質(赤色)からの入力を光刺激によって増強すると、記憶が回復することが分かった。

Credit: Dheeraj Roy

海馬は、エピソード記憶の符号化、固定および検索に重要な役割を持ち、また、アルツハイマー病の初期段階ではこのエピソード記憶が最も早く失われる。

今回、利根川進(理研-MIT神経回路遺伝学研究センター)たちが、初期アルツハイマー病のモデルであるトランスジェニックマウスで、健忘症状は、記憶の符号化の障害ではなく検索の障害によることを明らかにしている。

海馬歯状回の記憶エングラム細胞を直接活性化すると、「失われた」記憶が回復し、健忘症状は、歯状回エングラム細胞の樹状突起棘密度の漸減と相関していたことは重要である。

著者たちは、歯状回エングラム細胞とその樹状突起棘の選択的救済が、初期アルツハイマー病で失われた記憶を取り戻す、新たな治療戦略につながる可能性を示唆している。

Nature531, 7595

2016年3月24日

原著論文:

Memory retrieval by activating engram cells in mouse models of early Alzheimer's disease

doi:10.1038/nature17172

【関連記事】

経験が皮質の抑制を変える仕組み Nature531, 7594 2016年3月17日

ため息中枢ニューロンの発見 Nature530, 7590 2016年2月18日

統合失調症の遺伝学 Nature530, 7589 2016年2月11日

神経発達障害のモデル Nature530, 7588 2016年2月4日