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マンションと戸建て住宅、どちらがマイホームにお薦めか?

マンションと戸建て住宅のどちらを選ぶかの判断は、自由と自己責任に価値を見いだすか、ほどよい距離感を保っていざというときに助け合えるコミュニティに重きを置くかが、これまで以上に重要になってくると思われます。
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マンションと戸建て住宅の基本的な違い

両者の最大の違いは所有形態です。

戸建て住宅の場合、土地と建物を所有し、所有者は住宅を自由に修繕、増改築、建替え、賃貸化することができ、土地・建物一体で、もしくは別々に売却できます。建物や設備の経年劣化が気にならなければ、維持管理をまったく行わない自由もあります。

住宅が集合したマンションの所有権は、全体の一部(専有部分)を所有する区分所有権です。

専有部分の売却や賃貸化などは自由ですが、各住戸のバルコニーや窓枠・ガラス、玄関扉の外側、外壁、玄関ホール、廊下、非常階段など建物の共用部分と土地は、区分所有者全員で構成される管理組合で維持管理するため、個人の自由にはなりません。また、区分所有者は、維持管理の費用を毎月、管理費・修繕積立金として徴収されます。

つまり、戸建て住宅は所有者が土地と建物を完全に自由に扱えますが、マンションは財産管理団体である管理組合の合意に基づく一定の制約の中でしか自分の資産を扱えない、という点がまったく違います。

特にマンションの建替えには、区分所有者の5分の4以上の賛成が必要になりますが、合意形成の難しさに加えて、費用負担面のハードルが高いことなどもあり、これまでマンション全体の1%程度でしか建替えが行われていません。戸建て住宅と違い、マンションの建替えは現実的には不可能に近いと冷静にみておくべきでしょう。

自己責任か、助け合いか

このようにみると、すべてが自由にできる戸建て住宅に軍配が上がりそうですが、「すべてに自由」とは、自己責任、自己完結であることも意味しています。

建物・設備の維持管理、修繕、敷地内や自宅周りの日々の清掃やゴミ出し、大雪時の雪かき、植栽や庭の手入れ、防犯対策、節電、隣家との付き合い、災害時対応その他すべて自分や家族が判断して実施(外注も含めて)しないといけません。もちろん、何もしないで放置しておく自由もあります。

これに対してマンションは、組合員の合意形成に基づいて維持管理を行うので、不自由な面や窮屈な面があるのは事実です。しかし、清掃や設備点検といった維持管理業務自体はプロが代行してくれるうえ、災害時などいざとなったら助け合えるコミュニティである点が大きな魅力です。組合員同士で知恵を出せば、生活をより安全、快適にしたり、お互いの交流を深めたりできる可能性も広がります。

生活騒音やペットを巡るトラブル、駐車場やバルコニー、ゴミ出しなどの利用マナーを巡るトラブル、人間関係の煩わしさから、戸建て住宅を志向する人が少なくありません。

確かに、壁や床・天井を接して共同生活するマンションは住民同士のトラブルが起きやすいかもしれませんが、戸建て住宅も近隣トラブルと無縁ではありませんし、最初に管理組合や管理会社が対応する仕組みのマンションの方が、当事者間だけで直接交渉するよりも問題がこじれる可能性は低いと思われます。

また、マンションでしか備えられない設備やシステムがたくさんあります。

例えば、大口需要者向けの割安な一括受電サービス、留守でも宅配便を受け取れる宅配ボックス、キッチンの生ゴミ粉砕機、心臓にショックを与えて蘇生させるAED、24時間有人管理や電子錠を使った三重四重の厳重なセキュリティシステム、防災用備蓄倉庫やかまどベンチ、マンホールトイレ、非常用発電装置などの災害時対応設備、総合受付係による生活支援サービスなどです。

玄関ホールから住戸内までほとんど段差なく平面移動できるのは当たり前ですし、今後は駐車場に電気自動車用電源を設置したり、カーシェアリングシステムを導入したりするマンションも増えてくるでしょう。

とはいえ、少子高齢化で住宅需要が頭打ちとなる中、マンションと戸建て住宅が企画を競い合う結果、住戸プランや設備面でみれば、両者の垣根はどんどん低くなっているのも事実です。

それだけに、マンションと戸建て住宅のどちらを選ぶかの判断は、自由と自己責任に価値を見いだすか、ほどよい距離感を保っていざというときに助け合えるコミュニティに重きを置くかが、これまで以上に重要になってくると思われます。

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株式会社ニッセイ基礎研究所

金融研究部 不動産研究部長

(2014年9月16日「研究員の眼」より転載)