「温室効果ガス排出量 実質ゼロ」を目指すパリ協定が採択 押さえたいポイント6点

COP21は地球温暖化対策の新たな枠組みとして法的拘束力がある「パリ協定」を採択した。交渉は難航したが、会議日程を1日延長し最終的に世界の195カ国が合意した。

パリで開かれていた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、日本時間13日午前、地球温暖化対策の新たな枠組みとして法的拘束力がある「パリ協定」を採択した。交渉は最後まで難航したが、会議日程を1日延長し最終的に世界の195カ国が合意した。

パリ協定は京都議定書に代わる18年ぶりの新たな枠組みになる。米国、中国、日本などの排出大国が最初から不参加だったり途中から離脱するなどした京都議定書と異なり、先進国、発展途上国を問わず世界各国が温暖化の危機感を共有し、今世紀後半に世界の温室効果ガス排出量を実質的にゼロにする「ゼロ炭素化」を目指すことになった。

協定はまず、温暖化による深刻な影響を防ぐために産業革命前からの気温上昇を「2度未満」に抑えることを目的とする、と宣言した。交渉で一部の島国が「2度未満でも海面上昇などにより大きな被害が生じる」と主張したことを受けて「1.5度に抑える」という努力目標も加えた。

最大の焦点である温室効果ガスの長期的削減目標については、具体的な数値は入らなかったものの、世界全体の排出量をできる限り早期に増加から減少に向かわせ、今世紀後半に実質的にゼロにすることを盛り込んだ。「実質的」という表現が入ったのは、「排出量ゼロ」を森林などによる吸収量を差し引いた結果の「ゼロ」と定義したため。

削減の実効性を高めるために、各国は削減目標や対策内容を5年ごとに報告し、見直すことなどを義務付けた。5年ごとの見直しを定めたのは、各国が提出した削減目標を達成しても気温上昇は2度を大きく超えてしまい、世界全体の削減総量を増やす必要があるため。協定は、先進国に対しては排出総量の削減目標を具体的に定めることを求め、発展途上国にもこうした削減目標を持つことを推奨する、とした。

交渉の焦点の一つだった先進国から途上国への資金的な支援については、先進国側の拠出を義務化した。しかし資金の増額については法的拘束力がある協定本文には盛り込まず、別の決議文書で「年1千億ドルを最低額として、2025年までに新たな数値目標を提示する」と明示した。

京都議定書は温室効果ガスの排出削減達成を義務付けたが、日本が2013年から20年までの「第2約束期間」に参加しないなど、排出大国の不参加や離脱が相次いで温暖化を防止するための枠組みとしては事実上形骸化していた。

今回採択されたパリ協定は、各国の削減目標達成は義務化しなかったが、世界中の国が排出削減に取り組み、その内容も定期的に点検することを定めるなど「気候変動を食い止めるための歴史的合意内容」(条約事務局)になった。交渉の最終局面で議長国のフランスが、最終合意案を何度も修正するなどして各国に妥協を迫り、一時は合意が危ぶまれたCOP21を成功裏に終わらせた。

パリ協定の要旨は次の通り。

  • 産業革命前からの気温上昇を2度未満にすることを目的とする。さらに気温上昇を1.5度に抑えるよう努力する
  • 温室効果ガスの排出量をできるかぎり早く減少に転じさせ、今世紀後半に排出量と(森林などによる)吸収量とのバランスを取って実質的な排出をゼロにすることを目指す
  • 全ての国は、排出削減に取り組み、その内容を5年ごとに報告する。報告を扱う枠組みを設立する。対策の進捗(しんちょく)状況を確認、強化するため、目標を5年ごとに見直す。先進国は排出総量の削減目標を定める。発展途上国も排出総量削減目標を持つことを推奨する
  • 先進国が発展途上国に対する支援として温暖化対策の資金を提供する
  • 各国は温暖化の影響への適応能力を向上させる。異常気象など温暖化による被害を救済する問題を扱う国際的な仕組みをつくり各国が支援する
  • 協定は気候変動枠組み条約締約国55カ国の参加で発効する

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・2015年11月27日オピニオン・松下和夫 氏・京都大学名誉教授「COP21をきっかけとしてゼロ炭素社会への方向転換を

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