人工知能が囲碁でもプロに勝つ

囲碁は盤面が広く、対局展開パターンも10の360乗通り以上。最先端のAI技術を駆使してもプロ棋士に勝つことは容易ではない、とされていた。

米国グーグル傘下の英国ベンチャー企業ディープマインド社は28日、同社が開発した囲碁のコンピューターソフト「アルファ碁」が世界で初めてプロの棋士を相手に勝利し、このソフト開発に関する論文が英科学誌ネイチャーに掲載された、と発表した。

ディープマインド社などによると、アルファ碁は、2015年10月に当時の欧州チャンピオンに5戦全勝。また、ほかの開発済み囲碁ソフトとも繰り返し対戦したが99%以上勝利し、3月には世界トップクラスのプロ棋士に挑戦する、という。

チェスや将棋、囲碁など知能ゲーム分野での人工知能(AI)の挑戦は、「人間とコンピューターとの知の対決」として注目されてきた。チェスの世界では1997年にIBMのコンピューターが当時の世界チャンピオンに勝利、将棋でも2010年以降コンピューターがプロ棋士らに勝つ例が続いた。

しかし、囲碁は盤面が広く、対局展開 パターンも10の360乗通り以上。優れた囲碁ソフトでもこれまではアマチュアレベルとされ、最先端のAI技術を駆使してもプロ棋士に勝つことは容易ではない、とされていた。

同社は人工知能(AI)開発専門のベンチャー企業。可能な次の手を単純に計算する方法ではなく、人間のように膨大なデータを学習して判断能力を高める「ディープラーニング」と呼ばれる新技術を導入してアルファ碁の開発にこぎつけた。

ディープラーニングは、人間の脳の神経回路を模して情報処理し「コンピューターが自ら学ぶ手法」と言われる。AI技術の最先端の手法として、自動運転技術など交通部門や医薬開発、人間に近いロボット開発などへの応用研究が進んでいる。

関連リンク

・ディープマインド社プレスリリース「MASTERING THE GAME OF GO WITH DEEP NEURAL NETWORKS AND TREE SERCH

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・2015年5月20日ニュース「人工知能の研究開発体制強化 特許庁提言

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Maya Hayuk

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