脳死の6歳未満男児から3臓器提供、患者へ移植

千葉県内の病院に入院していた6歳未満の男児が、脳死と判定され、この男児から提供された心臓、肝臓、腎臓が別の病院の患者に移植された。

千葉県内の病院に急性脳症で入院していた6歳未満の男児が、臓器移植法に基づき脳死と判定され、この男児から提供された心臓、肝臓、腎臓がそれぞれ別の病院に入院中の患者に移植された。14日までに手術は無事終了した。

提供された心臓は、心臓の筋肉がうまく発達しない病気で東京大病院入院中の10歳未満の男児に、肝臓は国立成育医療研究センターで10歳未満の女児に、腎臓は両方とも千葉東病院で30代の女性にそれぞれ移植された。日本臓器移植ネットワークなどによると、6歳未満の男児は12日未明に脳死判定された。詳しい説明を受けた家族が提供を承諾した、という。6歳未満の脳死は4例目。

2010年7月に改正された臓器移植法(1997年施行)が施行され、本人の拒否がなければ15歳未満でも家族承諾で臓器提供が可能になった。6歳未満は脳の回復力が強いとされ、2回の脳死判定の間を「24時間以上」と6歳以上より長くして判定基準を厳しくしている。また、18歳未満は虐待がなかったことを確認する必要がある。

「脳死は人の死としてよいのか」について長い議論の末、臓器移植法ができて以降、約18年で脳死判定は340例を超えた。しかし、日本臓器移植ネットワークや移植関係者によると、実際に移植に至る例は提供臓器の状態などの理由から脳死判定例より少ない。移植を希望する患者数に比べて臓器提供者(ドナー)は依然少なく、移植医療関係者が当初想定、期待していた「脳死移植が日常的に実施される時代」にはなっていない。

日本臓器移植ネットワークが7月に公表した調査(全国の10代から60代までの男女1000人を対象)では、1997年に臓器移植法が施行され、99年2月に第一例が出てから法改正前までに脳死判定、臓器提供された例は年間3~13例。法改正された2010年以降は年間多いときで50例まで増えたものの、全国で移植を待つ、子どもを含めた待機患者の数には遠く及ばないのが現状だ。

この調査ではまた、同ネットワークが普及に力を入れている「臓器提供意思表示カード」を「知っている」とした率は74%だったが、所持率は21%、実際に意思表示を記入している率は12%、と判明。運転免許証や健康保険証で意思表示欄が設けられている率は、運転免許証で約70%、健康保険証で約60%、意思表示欄がある人の約17%が実際に意思表示していた、といった臓器提供意識の実態が分かった。

関連リンク

・日本臓器移植ネットワークプレスリリース「改正臓器移植法から5年

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・2013年8月9日ニュース「全国のスーパーサイエンス校が研究発表

・2009年7月14日ニュース「15歳未満でも臓器移植可能に

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