産業技術総合研究所(産総研)などの研究グループがこのほど、イネの遺伝子を使ってポプラの木質を大幅に増強する技術を開発した、と発表した。ポプラは落葉広葉樹で成長が速いが材質は柔らかいため用途が限られていた。成果は、高い強度の木材や環境に優しい燃料・材料の開発につながる、と期待される。
産総研生物プロセス研究部門と森林総合研究所森林バイオ研究センターの共同研究グループは、イネの木質(茎)の成長を制御している「OsSWN1転写因子」と呼ばれる遺伝子に、木などの木質生産を活性化する働きがあることに着目。この遺伝子をポプラに導入する技術開発に成功した。その結果ポプラの木質の密度は約4割、強度は約6割高まった。
ポプラは美しい樹形で知られるが、木材としては燃えやすく強度や耐久性で劣るために合板用やパルプ用材などに用途が限られていた。
研究グループによると、今回開発した技術を応用することで高い強度の木材開発のほか、樹木を原材料とするバイオエタノールやバイオプラスチックの高効率生産につながる。例えば、この技術を世界の木質生産用樹木の約20%に適用し、バイオエタノールの生産効率を50%向上させることができれば年間約4,000万トンの二酸化炭素(CO)を削減する効果がある、という。
この研究は、科学技術振興機構(JST)の先端的低炭素化技術開発(ALCA)の一環として実施された。
【関連リンク】
・産業技術総合研究所プレスリリース「イネの遺伝子を使ってポプラの木質を増強」
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