こんばんは、おときた駿@ブロガー都議会議員(北区選出)です。議会中ではありますが、近場ですので本日AMは飯田橋にある
東京都ひとり親家庭支援センターはあと
に視察へ伺い、現場の第一線で働く相談員の方々と意見交換を行いました。
子どもの貧困は多くの場合、親の貧困からの連鎖であり、我が国においてはひとり親家庭(特に母子家庭)の貧困率が先進国ワーストクラスであることは、以前の記事でも取り上げさせていただいている通りです。
子供の貧困・ひとり親支援に関する過去記事はこちら。
ひとり親や子どもたちを困窮から救うためには、
「養育費の受け取り、面会交流の促進」
を行うことが1つの大きな支援です。
2人の両親から愛情や経済的保護を受けることは子どもの「権利」であり、決して大人たちの事情や感情によって奪われて良いものではありません。
平成24年4月に民法が改正され、我が国でも離婚をする際には子供の面会交流と養育費について夫婦間で取り決めを行うことが明記されました。
しかしながらそこには、義務化や罰則規定が設けられていないため、ほとんどのケースで機能していないのが実情と言えます。
■
そんな中で実は東京都は民法改正後、全国の都道府県で最も早く「面会交流支援事業」を開始した広域自治体です。
面会交流の支援を広げるために厚労省は平成12年から、交流事業を手掛ける広域自治体+政令指定都市に補助金を出しているものの、現在でも実施している自治体は東京都・千葉県・熊本県の3都県のみに留まります。
面会交流支援事業
養育費という経済的な面はもちろん大切ですが、離婚した後も別居の親と交流し続けることは子どもの成長にとって極めて重要です。
交流継続の効果については、すでに様々な学術的研究によって明らかにされています。
また養育費の支払い・受け取りについても、面会交流が行われている中であればスムーズに行われますから、そうした面でも離婚後の良好な関係維持=面会交流継続の必要性があると言えます。
とはいえ、感情や価値観のすれ違いで離婚するわけですから、面会交流の取り決めも当事者だけでは、冷静に行うことが難しいのも事実。
こうした点についてあくまで
「子どもの最善の利益」
という視点から、行政支援が行われることは非常に望ましいことではないでしょうか。
決して、身勝手な夫婦が税金を食い散らかしているわけではないのです。
(前回のブログにも、そうした批判が一部からあったので)
平成24年に始まった東京都の事業も3年目になり、専門機関と連携しながら少しずつ効果を上げてきているようです。
しかしながら、
「話し合いのテーブルにつけないほど関係が悪化してしまうと、対応できない」
「離婚時になんらかの取り決めがないと、介入に限界がある」
などの課題を抱えています。
また利用者(親)に所得制限がかかっていることも、「子どもの利益」という観点からは少々問題があるのではないかと感じました。
■
結局のところ関係悪化を防ぎ、なんらかの取り決めをさせるためには、以前に紹介した明石市のような「離婚時の養育計画の策定促進」施策が手っ取り早く最も効果的と言えそうです。
「離婚後の支援なんてやると、離婚を助長するんじゃないか」という謎の風潮にNo!明石市のひとり親養育支援がすごい
そして自治体の努力も大切ですが、一番簡単なのは民法に努力目標的に記載するだけではなく、
養育計画の策定を義務付け、罰則規定を設けるように法改正をすることです。
実際に、多くの当事者団体がこの提案でロビー活動を展開しています。
しかしこれは、子どもの利益を考えれば必要な政策に思えるものの、日弁連などの反対もあり、実現へのハードルはまだまだ高い状態のようです。
弁護士さんたちが反対をするのは、
「DV被害など、迅速な離婚が必要な場合の足かせとなる」
というのが主な理由になるようですが、逼迫した状況には例外規定を設けるなど、方法は考えられるはずです。
また近年では、DV冤罪・一方的な子どもの連れ去りなどが問題になることもあり、こうした状況に一石を投じる意味でも養育計画の策定の大きな意義があると言えます。
どうも日弁連の強硬な反対の背景には、「離婚」が法曹会の一大ビジネスになっている点も無視できないように思えます。
離婚時に養育計画さえ策定されていれば、司法の出番は激減することが予想されるからです。
現在、「親子の断絶防止」という観点から議員立法が国会で提出される動きがあるようです。大人の感情・事情ではなく、何よりチルドレンファーストの政策決定が行われることを願い、提案して参ります。
もちろん自治体レベルでも可能な政策についても、本日の視察から知見を得るところが多々ありましたので、また追ってレポートさせていただきたいと思います。
それでは、また明日。
(2015年10月5日「おときた駿公式ブログ」より転載)