自民党、ついに槇先生を呼んで話聞きましたか!今の新国立競技場がなぜ出来ないか、なぜ金をいくら注ぎ込んでもどうしようもないか、を政府は理解したことでしょう。

先日出させていただいた勉強会の動画がYoutubeに上がっておりました。

公開勉強会/森山高至「真国立競技場へ」

ここで使ったレジメ等は主催された「神宮外苑と国立競技場を未来へ手渡す会」さんの方からpdfファイルが配布されると思います。

動画の内容は現在起きていること、その背景をわかりやすくダイジェストでお送りしています。特に!「キールアーチ」について、どういうものか、何が問題か、小学生から建築の専門家ではない、おじいちゃんおばあちゃん、主婦の方、お兄さんお姉さん、勤労青年から、飲んだくれの新橋や新宿ゴールデン街のオヤジ連中にまで伝わるよう、念入りに面白おかしくやっております。

ぜひご覧くださいませ

で、そろそろこの「真国立競技場計画」のまとめをおこないたいと思っているのですが、以下の報道がありましたね。

下村文科相、新国立競技場整備問題「最終判断近い」

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場の整備問題で、下村博文文部科学相(61)は19日の会見で、現行の計画案をゼロベースに戻すか、継続するかなどについて、「トータル的に考え、最終判断を近々しなければならない」と述べた。

自民党の行革推進本部では、17日に世界的な建築家の槙文彦氏(86)を招き、会合を開いた。監修者としたザハ・ハディド氏の契約を解除して、屋根は客席部分を覆う形にするなどの提案があった。

下村文科相は、19年ラグビーW杯の新国立開催が「絶対条件」とし、競技場デザインの変更については「国際オリンピック委員会(IOC)がコストの問題だけで、別の形になることは理解してもらえるのか?」と、会見で自問自答していた。

2015年6月20日6時0分 スポーツ報知

なるほど~、自民党、ついに槇先生を呼んで話聞きましたか!

で、槇先生は、「ザハ・ハディド氏の契約を解除し、屋根は客席部分を覆う形にしろ」とおっしゃった。

いいね、いいいね、これで今の新国立競技場がなぜ出来ないか、なぜ金をいくら注ぎ込んでもどうしようもないか、を政府は理解したことでしょう。

デザインがどうとか、コンペの経緯がどうとか、そんなことの前に物理的問題だった。

今の新国立競技場計画が、真に新しい技術的挑戦といったような爽やかなチャレンジ、乗り越えるべきプロジェクトX的なものではなく、自動車でいえば、「スポーツカーだけど、家族全員で乗りたいから8人乗りのワゴンで、オーディオ完備、荷物も載せたいので荷台があって、ミニクレーンも付けて、F1レースで勝て!」といったような、本末転倒な本来ならあり得ない要望。

与えられたテーマの互いの技術的追求、早く走る、大勢乗せる、貨物を運ぶ、が互いの技術的成果をないがしろにするような矛盾した要望、克服すべき技術的価値もない建築であったことも理解されたでしょう。

同時に、デザインがいつの間にか、竹やり出っ歯、意味のないエアロパーツをデコったヤン車、痛車であったことも理解されたことでしょう。

だからこその下村文科相の自問自答、いいんだろうか?これまではいったいなんだったんだろうか?という煩悶、懊悩、倒懸。

すいません!審査した建築家が馬鹿でした。

すいません!コンペ要綱を作成した有識者会議が阿呆でした。

となればいいんですが、今のままでは下村文科相が悩むのも無理もありません。さっさと連中を呼び出して叱り飛ばしてください。

それと、下村文科相!IOCも別の形になっていいと言ってます。

また!コンペ案は覆せる!一年半前の記事ですが、以下をぜひお読みになってください。

新国立競技場の建設コンペをめぐる議論について 12

ただ、まだまだ予断を許しませんよ。

3000億かかっても4000億かかってもやらなきゃならん!っていう、ハチミツおじさんが東京都知事の舛添さんところに、自慢のハチミツを持参して懐柔に向かいました。

一体、ひと瓶いくらのハチミツか知りませんが、高くても数千円ですよね。そんなハチミツの小瓶ひとつで、数千億の税金出動を認めるわけにはいかないですよ。

で、こうなってくるとですね、JSCが出していた新国立競技場における収支見込ってやつも、もはや破綻していることは明らかですよね。

1625億円のときに、彼らは目一杯の楽観論と希望的観測ででっちあげた収支見込だったわけです。

新国立競技場の収支見込み等[PDF:148KB]

※公表内容は、現段階での設定及び見込みであり、実施設計及び今後の進捗により変更等が生じます。

これちょっと精査してみましょうか

これが収入予定とやらです。

続いて、使う予定のお金ですね。

そして!この収支目論見書には次のようなただし書きがあります。

続きはまた後ほど

(2015年6月20日「建築エコノミスト 森山のブログ」より転載)

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