「夜眠れないんですけど、どうすればいいですか?」
カンボジア、プノンペンでやっている研修プログラムに参加して2日目の20歳の女の子から、深夜2時頃メッセージが入りました。
「夜眠れなかったら、昼眠ればいいよ」
翌日話を聞いてみると、はじめて海外で生活をはじめて2日目。楽しさと、不安で、興奮状態になって眠れなかった模様。そして、真面目に学生生活を送ってきたから、寝ないで夜通し遊んだこともなかったそうです。
「オールとかしたことなかったんで、このままずっと眠れなかったら...と思ったら不安になっちゃったんです」
人間、長く生きていると眠れない日もあります。そんな日は、無理に寝ようとせずに、のんびり本でも読めば大丈夫ってことは、大人なら経験上悟っています。でも、彼女みたいな若い子はまだそんな経験がないので不安に思ってしまうのです。
「『眠らなければ、寝なくてもいい』って言ってもらえて安心しました」
彼女は、その日、昼寝して、そのあと元気に4週間カンボジアでカレー屋体験して、楽しそうに帰っていきました。
多くの人にとって当たり前の事でも、はじめての人にとっては不安の種でしかないってことはよくあります。
研修参加希望者からも
「カンボジアで病気になったらどうすればいいのですか?」
という質問がよく来ますが、
「病院にいけばいいですよ」
と応えています。
人間がたくさん住んでいると、確率論で病気になります。そして、そういう人のために病院ができます。だから、ある程度の都市には必ず病院があるのです。
私はいつも「戦争をしていないところなら大体大丈夫」と言っていますが、戦争をしている地域以外は、人がちゃんと生きていける仕組みが整っているのです。
実際、プノンペンに来てみると、あちこちにクリニックがありますし、日本人経営のクリニックに行けば、全部日本語で対応してくれて、安心して治療をうけることができます。保険の適用も簡単なので、誰でも診察を受けることができます。
こういうことを、一度経験してしまえば、「海外で病気になっても、病院に行けばいいや」と考えることができるようになり、海外に行くことに対する恐れがなくなります。
人は「こんなトラブルに遭遇したらどうしよう?」と、まだ見ぬ不安におびえてしまう事が多いです。
「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言ったように、分からない人は、なんでもないことに対して過剰に恐れを抱いてしまい、たくさんの機会を逃してしまいます。
それを、回避するためには「失敗してもいいから、まずは体験してみる」ということです。どんどん失敗しながら、幽霊の正体を暴いていき、自分の行動できる範囲を増やしていくのです。
我々がやっている「サムライカレープロジェクト」は、そもそも「カンボジア人はカレーが嫌いだった!」という致命的な大失敗からスタートしています。
でも、そこからスタートしたからこそ、失敗から学ぶという教育の方針を作れたと思っています。
失敗に×をつける教育を十年以上受けてきた学生のみなさんに、社会に出る前にぜひ「失敗体験」をしてもらいたいと思っています。失敗の数だけ、世界は広がりますよ!