2017年も引き続きM&Aは活発に

ベンチャー関連M&Aについては、ここ数年でスタートアップの資金調達が急増した、フィンテック分野でのM&Aが活発化しそうな予感があります。

M&A Onlineの石塚です。2017年も世界経済の低成長傾向は続くとみられ、特にグローバル企業ではM&Aによる規模拡大と合理化による利益成長を余儀なくされることと思われます。シリコンバレー在住のTransCap代表の坂崎昌平氏が現地からお伝えします。(石塚辰八)

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2016年末から資源価格の底入れ反転といった兆しはありますが、欧州の金融危機リスクや中国の過剰生産能力は解消されておらず、2017年も世界経済の低成長傾向は続くと考えられます。

グローバル企業の多くは好景気による業績アップを望めないということで、M&Aによる規模拡大と合理化による利益成長を余儀なくされるでしょう。また、モバイルインターネットやシェアリングエコノミーといったデジタルシフトのさらなる浸透を背景に、従来型業態の大企業は技術系スタートアップの取り込みによる事業環境変化への適応を加速していくでしょう。

課税回避を目的とする大型案件が当局にブロックされる流れは変わらないでしょうが、欧米企業だけでなくアジア企業においてもM&Aが経営戦略の一部として定着してきており、クロスボーダーM&Aは増加傾向が続くのではないかと思われます。

反グローバリゼーションの数少ないメリットとは?

年明けから始動するトランプ政権はビジネス寄りの人材で固められていて、オバマ政権の政策理念をことごとく否定する主張の持ち主ばかりです。

いわゆるアメリカ第一主義の通商政策は、国際貿易協定から離脱して輸入品への関税を高くしたり、移民政策を厳格化して外国人労働者の流入を制限することで、国内製造業によるアメリカ人雇用を増やすことを目指しているようです。このような政策が額面通りに実施されるとすれば、グローバル企業による米国への工場移転や米国メーカの買収が増加することが予想されます。

その際、高コスト体質の米国では製造業の競争力を高めるためロボティクスやIoT(モノのインターネット)、人工知能によるデータ解析などの最新技術を駆使して生産性を向上させる取り組みが加速すると考えられます。自由貿易の停滞による数少ないメリットのひとつと言えるかもしれません。

今年も産業IoT分野ではM&Aを含めて活発な動きがあるでしょう。

フィンテック、自動車関連分野への期待

ベンチャー関連M&Aについては、ここ数年でスタートアップの資金調達が急増した、フィンテック分野でのM&Aが活発化しそうな予感があります。FRBが利上げに踏み切るなど世界的な金融緩和によるカネ余りが終焉を迎えるなかで、 スタートアップが乱立しているオンライン融資分野では淘汰が進むでしょう。

一方で、金融機関向けのブロックチェーン技術や低コストのグローバル決済はこれから本格的に立ち上がる局面であり前向きなM&Aが活発化すると考えられます。

自動車関連では、利上げによってオートローンの焦げ付きが増えてサブプライム層の新車購入が減ったり、ガソリン価格が上昇して好調だったSUVやピックアップトラックなどの売れ行きが鈍化することが考えられます。

消費者ニーズや州規制などにより環境対策や安全運転支援機能の強化は進むでしょうが、完全自動運転車については本格導入までの道のりの長さが強く意識される年になるかもしれません。

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