今回は沖縄のファッションといえば誰もがイメージする「かりゆしウェア」に関するお話しです。
先日、沖縄県庁からお声がけいただき、沖縄県の様々な縫製工場を訪問し、縫製組合ほぼすべてが参加して開催されたブランドセミナーでも、意見を交わしてきました。
あの花柄が入った「かりゆしウェア」は、県庁や市役所、銀行の職員の方々が着用することで、全国的にも知名度のあるファッションではないでしょうか。
実際に、2000年に10万着だったかりゆしウェアの生産量は、2014年には40万着を超えるまでに増加。
「かりゆしウェア」の定義は、
・沖縄県産品であること
・沖縄らしさを表現したもの
とされており、県外で生産されると「かりゆし」には当てはまらないそうです。
つまりは"メイドインジャパン"。
日本国内における「アパレル品の国産比率」はすでに3%にまで激減している中、これだけ急成長しているかりゆしウェアは異例の存在です。
■「かりゆしウェア」=「仕事着」が定着
この急増の裏には、かりゆしウェアがフォーマルウェア=仕事着として、職場で着る洋服という認知が広まったことが挙げられます。
これからのファッション業界には「アパレル品の地産地消」という考え方が、今まで以上に求められると考えている私にとっては、地元の人が地元で作られた「かりゆしウェア」に愛着を持ち着用することは歓迎するべきことのように感じていましたが、仕事着としての定着は、別の問題につながりました。
それは、仕事着ゆえに
・低価格(日本製なのに3000円程度)
・観光客が買いづらい(ボタンダウンの立ち襟のためカジュアルさは少ない)
・販売数のアッパーが見えている
・綿100%のためアイロンが少しかけづらい(風合いを重視するならば本来は良いことなのですが・・・)
といったもの。
また、縫製工場のほとんどがかりゆしウェアを作っているため、差別化が難しいという点もあります。セミナーや沖縄唯一の百貨店「リウボウ」のバイヤーさんに話を聞くうちに、そのような課題が見えてきました。
(ほとんどの縫製工場の方にご参加いただいたセミナー)
(このように仕事着として定着)
低価格路線は最終的にライバル同士が互いに疲弊していくだけ。
順調な売上推移をみせるも、こんな悩みを抱えているかりゆしウェア。
そのため、付加価値を加えて高品質・高価格でも戦えるブランドにならなければいけないというのが、これから必要になることではないかと考えています。
まだまだ見えていない課題もあるはずですが、しかしながら、この手の課題は、認識することがまず第一で、焦らず、ひとつひとつ解決していければ新たなお客様層の獲得に繋がるはず。
かりゆしウェアの前進に少しずつですが協力できればと思います。