よほどの外的要因がない限り、消費税上げない選択肢はない=甘利氏

甘利明経済再生担当相は30日夕、経済財政諮問会議終了後の会見で、消費税引き上げについて、リーマンショックのようなよほどの外的要因がない限り、消費税を引き上げないとの選択肢はないと述べた。
Reuters

[東京 30日 ロイター] - 甘利明経済再生担当相は30日夕、経済財政諮問会議終了後の会見で、消費税引き上げについて、リーマンショックのようなよほどの外的要因がない限り、消費税を引き上げないとの選択肢はないと述べた。

上げ幅については「私が言及することではない」とし、専門家の意見なども踏まえて安倍晋三首相が最終判断すると指摘。政府として今言えることは、法律に定めてあることが順調に行われるよう最大限、環境整備をするに尽きる」と述べた。

よほどの外的要因がない限り消費税引き上げへ

現行5%の消費税率は2014年4月に8%、2015年10月に10%に引き上げることが現行法で決まっている。ただ実施の半年前に、景気情勢などを総合的に判断して引き上げを最終判断することになっている。政権内でも、麻生太郎財務相が予定通りの引き上げを主張する一方、首相ブレーンの内閣参与らが景気への影響を配慮して小刻みな引き上げを主張するなど、路線対立が鮮明になっている。

安倍晋三首相が秋に最終判断する予定だが、甘利担当相は「外的な大きなショックがなければ、上げないという選択肢はない」と述べた。社会保障・税一体改革など、消費税上げと連動するため「上げないという選択肢があるとすれば、リーマンショックなどよほどの外的要因がないとない」と語った。最終判断は「総理が判断すること」と繰り返し、政府としては「成立している法律の目指すところに従って、粛々と対応できるよう最大限の環境整備行う」と述べるにとどめた。

上げ幅については現行法通りで選択肢の余地はないのかとの質問にも、「私が言及することではない。専門家にデフレ脱却、財政再建にとってベストの道はどうであるか話をしていただく」とし、今言えることは「法律に定めてあることが順調に行われるよう最大限、環境整備をするに尽きる」と語った。

そのうえで、近いうちに、消費増税での有識者会議で指示あると思うと明かし、有識者会議では「過去の消費税導入と経緯、政策投入の仕方、外的要因でどう変化したかなど今後しっかり予測し、対処方針をたてていくということになる」とした。

13年度実質成長率は上方修正へ、14年度「一時的に落ち込むがその後持ち直しへ」

会議では、金融政策と物価に関する集中審議を行った。席上、内閣府から、先行きの経済見通しについて説明。13年度実質経済成長率は2月時点の見通し(2.5%)を幾分上回る見込みであると説明。14年度成長については「現行法に基づいて消費税が引き上げられることを前提とすると、駆け込み需要の反動から一時的に落ち込むと予想されるが、その後持ち直す」と見通した。

日銀総裁「中国経済が大きく落ちるリスクは少ない」

1997年に消費税率が3%から5%に引き上げられた時の経済に与える影響に関する議論のなかで、日銀の黒田東彦総裁は、増税直後に成長率が下がった後、回復の兆しがあったところにアジア通貨危機や金融機関の破たんなどが生じた結果、成長が停滞したと説明。「消費税率上げの結果というより、他の要因が大きかった」と分析した。直近の展望リポートでも消費税引き上げを考慮し、2013年度についてはGDP成長率を0.3%押し上げ、2014年度はかけこみ反動減と消費抑制で0.7%引き下げ、15年度は若干のプラスとみていると見通した。

海外経済動向については「米国は強いが欧州はマイナスが続き、新興国はブラジル、インド、ロシア含め良く見ていく必要がある」とした。中国経済について「従来の8%、9%成長は望めないとしても、大きく落ちるリスクは少ない。むしろ、投資が増えすぎたことのリバランスなど、中長期的課題が大きい」と語った。

次回諮問会議では、来年度予算編成の指針となる「14年度予算の全体像」をとりまとめ、中期財政計画の骨子、概算要求の骨子を示し議論を行う。

(吉川裕子)

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