ダライ・ラマ14世が「恋愛」や「ゲイカップルの結婚」に回答 チベット焼身自殺については「非常に心が痛む」

来日しているチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世は11月19日、東京・芝公園の増上寺で開催された若手宗教家ら200人と対話する集会に出席した。「恋愛で一番、大切なことは?」「友人のゲイカップルが自分の寺で結婚式を挙げたいと言ったら?」など、宗派を超えて集まった若い宗教家たちの等身大の悩みに回答。また、中国政府に対する抗議のためチベットで相次いでいる焼身自殺について質問を受け、「非常に心が痛む、悲しいできごとです」とその忸怩たる思いを明かした。
猪谷千香

来日しているチベット仏教最高指導者、ダライ・ラマ14世は11月19日、東京・芝公園の増上寺で開催された若手宗教家ら200人と対話する集会に出席した。「恋愛で一番、大切なことは?」「友人のゲイカップルが自分の寺で結婚式を挙げたいと言ったら?」など、宗派を超えて集まった若い宗教家たちの等身大の悩みに回答。また、中国政府に対する抗議のためチベットで相次いでいる焼身自殺について質問を受け、「非常に心が痛む、悲しいできごとです」とその忸怩たる思いを明かした。

■「人間は困難を乗り越える力がある生き物」

集会でダライ・ラマ14世はまず、若き宗教家たちに人生の苦しみについて語った。「人間はさまざまな困難を乗り越える力がある生き物ではないかと思っています。人間には知識や教養、優れた知性が備わっており、これらを活かして他の命のためになるよう努力していかなければなりません。しかし、知らず知らずのうちに私たちは苦しみの原因を作り出してしまっている。そこで、他の生命あるものを救いたいという利他の思いで生きていれば、幸せに気づくことができます。これは、人間の知恵が美しくあらわれた形ではないかと思います。皆さんは、自信と勇気をもってそのように実践していただきたい」

宗教や宗派の違いについては、「この世界にはさまざまな宗教が存在していますが、その中で特に哲学的な見解を持っている宗教では、愛や慈悲の心を高めなければならないという共通した教えがあります。そうした心を妨げるものが、怒りや憎しみです。そういう心をおさめるためには、忍耐によって修行し、瞑想する。他の人がひどい行いを自分たちにしてきたとき、許しの気持ちや寛容さを実践する最高の機会であると宗教は同じように説いています」と指摘。「もちろん、私たちはどのような時代、場所に生きているかによって、異なった考えや文化を持っており、慈悲の心を高める修行はそれぞれ違う方法が存在してます。それが、それぞれ異なった宗教の教えということです」と話した。

■「恋愛するで一番、大切なことは?」という質問にダライ・ラマ14世が回答

続いて、会場の若手宗教家からの質問に、ダライ・ラマ14世は丁寧に答えた。「恋愛で一番、大切なことってなんですか?」という男性からの質問には、「最も大切なことは、お互い欲望や執着の気持ちではなく、心の底から相手対する尊敬の気持ちを持って付き合うことです」との回答。「外見的な美しさに惹かれることもありますが、もっと大切なことは内なる心の美しさ。結婚したい人が現れたら、すぐに飛びついて結婚するのではなく、まずはよく様子を見てください。相手のことをよく知り、完璧だと思ったら、結婚してください。これは、結婚相談をしているサンフランシスコの信者の方のアドバイスです。急ぐな、ゆっくり考えて相手を知りなさいという、彼の言葉をそのままお伝えします」という助言もあった。

「私にはゲイの友人がいます。その友人からお寺で結婚式を上げたいと言われました。悩んでおります。どうしたらよいでしょうか?」という男性僧侶の悩みに対しては、「もし、その方が何らかの宗教を信心していれば、その信仰に基づいて式をするか決めればよいのではないでしょうか。一切の信仰心がない方であれば自由です。もちろん、お寺で結婚式をするのも、国による法律もありますので、そういったことを考えた上で決めれば良いと思います」と答えた。

■「焼身自殺は政治的な状況によってどうしようもなく起きている」

ダライ・ラマ14世とともに登壇した、長野県の海禅寺副住職、飯島俊哲さんは、寺に隣接する保育園で副園長も務めている。学校など子供たちの施設に不審者が入ってきた場合、不審者を制圧する訓練をしていることを明かし、「子供たちの命を守るためとはいえ、暴力という方法を使ってもいいのか。仏教者であっても許されるのかご質問申し上げたいと思います」とその葛藤をダライ・ラマ14世にぶつけた。

これに対し、ダライ・ラマ14世は「一時的な判断と、長い目で見た時にどうするかを考えることが必要です。どちらがより重要で、人のためになるのか考えていかなければなりません」と回答。「そして、暴力であるか非暴力であるかは、どのような心で行われているのかで決まります。他人はどうでもよいという利己的な行いは、表向きは柔らかに見えても暴力的です。利他の思い、他の者を救いたいという思いによって一見、ひどい行いをしてしまい、それが暴力的にみえたとしても、利他の心から発しているわけですから、非暴力の行いになります」とした。

飯島さんはこの答えに、「それが国というレベルになった場合はどうでしょうか?」と質問を重ねた。「今のチベットを見ると、大変な苦しみに満ちています。どうして非暴力を実践している人たちが、このような苦しみに遭わなければならないのか。私たち仏教者は、暴力をどうしたらよいのでしょうか。焼身抗議活動が続けられていますが、小さな子供のいる母親までもが自分の命にかえて世に問うということをしています。そうした暴力性の中で私たち仏教者は、何ができるのか。お聞かせください」

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所によると、チベット人の焼身抗議は2013年2月に100件を超え、死亡者も多数出ている。3月には子供4人の母親である女性が焼身自殺をしたという。ダライ・ラマ14世は飯島さんの問いに対し、「自分にとって最も大切なものである命を投げ出して、世の中に不条理に問いかけることは驚くべき行いだと思います。これに関しましてはもちろん、非常に心が痛む、悲しいできごとです。私は一人の仏教徒でありますので、焼身自殺には本当に心を痛めています」と胸の内を語った。その上で、「しかし、これは政治的な状況によってどうしようもなく起きていることであり、私自身は2年前に政治的な最高指導者を完全に引退しているのです」とそれ以上の言及はしなかった。

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※集会を主催した「一般社団法人リヴオン」は11月21日、ハフィントン・ポストに対し、ダライ・ラマ14世の発言内容で誤訳があったことを明らかにしました。チベットで続く焼身抗議についての発言で「本当に尊ぶべき美しい行い」と通訳されていましたが、正しくは「驚くべき行い」でした。それに従い、タイトルと記事を変更しています(2013年11月21日14:41)。

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