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2015年07月28日 19時25分 JST | 更新 2015年07月28日 20時08分 JST

アメリカの「中産階級」は下位層への転落を心配している(調査結果)

Alamy

2016年のアメリカ大統領選では「中産階級」が議論の一つになりそうだ。

世論調査会社ギャラップの調査によれば、自分自身を「中産階級」ではなく「下層または労働者階級」に属すると考えるアメリカ人が増えつつあるという。

それを反映してか、ニューヨーク・タイムズ紙は、2016年大統領選の候補者の間で「中産階級」という言葉が避けられつつあると伝えている。たとえば、民主党のヒラリー・クリントン氏は「Everyday Americans」(普通のアメリカ人)という表現を、共和党のスコット・ウォーカー氏は「Hard-working Taxpayers」(勤勉な納税者)という言い方を好んで使っている。

この傾向についてシンクタンク「センター・フォー・アメリカン・プログレス」で経済政策担当マネージング・ディレクターを務めるデヴィッド・マッドランド氏は「かつては『中産階級』という言葉がアメリカ人を表す言葉だったが、人々にとってそれはもはや叶わぬ夢のようだ」と指摘している。そのため「政治家たちは、大多数のアメリカ人を表現するのに最適な言葉を探している」という。

はたして本当にアメリカから「中産階級」は消えつつあるのだろうか? ハフポストUS版も市場調査会社の「YouGov」と共同で、中産階級に関する世論調査を実施した。その結果、88%の人たちが未だ自分は中産階級だと考えているということが分かった。一方で、彼らは自分が中産階級から脱落する恐れがあるとも考えていた。また、「中産階級」の定義が、各人の所得によって異なるという興味深い結果も調査から明らかになった。

1. 自分の所得階層は?

調査では、自身の年収を「上流階級」「上位中産階級」「中産階級」「下位中産階級」「下層階級」の5段階で評価してもらった。その結果、43%が「中産階級」、12%が「上位中産階級」、33%は「下位中産階級」と答えた(以下のグラフ)。これらを合わせると、88%が「自分は中産階級」と答えたことになる。

「あなたは、自分がどの社会的階層に属していると考えていますか」

(左から)上流階級(1%)、上位中産階級(12%)、中産階級(43%)、下位中産階級(33%)、下層階級(12%)



2.「中産階級」の年収は?

一方で、人々は「中産階級を自分に近い所得範囲に定義する」傾向があるということも分かった。

年収が4万ドル未満の世帯は「中産階級の年収」を3万~5万ドル、年収が4万~8万ドルの人は4万~8万ドルと回答した。

これとは対照的に、年収が8万ドルを超える世帯は中産階級の最低年収を5万ドルと考えており、中には「12万5000ドルの年収があっても中産階級に入る」と答えた人もいた(以下のグラフ)。

「中産階級の最低/最高の年収はいくらだと考えますか」

(左から)年収4万ドル以下、4万ドル〜8万ドル、8万ドル以上。実際の年収が上がるごとに、中産階級が稼ぐと考える年収も上がることが分かる。



3. 中産階級の目標は?

また、中産階級の「現実的な目標」の定義もさまざまだった。「持ち家」「退職後の蓄え」「借金ゼロ」は、中産階級のすべての所得層の目標だった。しかし中産階級のなかでも、所得が高い層は低い層に比べて「子どもの大学資金を確保すること」が現実的な目標だと答えた人の割合が20ポイント、「毎年休暇を取ること」と答えた人の割合が19ポイント高かった(以下のグラフ)。

「中産階級にとって現実的な目標は次のうちどれだと思いますか」

(左から)持ち家(75%)借金ゼロ(63%)、退職後の備え(61%)、子どもの大学資金(42%)、毎年の休暇(41%)



4. 十分な収入を得ている?

一方で、「自分は、安心して暮らすのに十分な所得を得ている」と答えた人の割合は、自分は中産階級に含まれると回答した人のうちで37%、下位中産階級とした人では15%だった

それでも多くの人は、「何とかやっている」と答えたが、下位中産階級の20%は、「何とかやっていけるだけの収入もない」と答えている(以下のグラフ)。

「現在の経済状況を、最もよく表す言葉はなんものですか」

(左から)上位中産階級、中三階級、下位中産階級。

棒グラフは左から、

濃い青「十分な所得を得ている」

青「何とかやっている」

水色「何とかやっていけるだけの収入もない」



5. 将来への心配

さらに、中産階級のほとんどが「この先も中産階級の地位にとどまっていられるかはわからない」と考えており、57%は、「今後数年のうちに、下位の階層に落ちてしまうかもしれない」と心配している。

こうした不安は、特に自分を下位中産階級と回答した人の間で目立っており、彼らの3分の2が、自分が中産階級から完全に脱落してしまうかもしれないと述べている(以下のグラフ)。

「今後数年のうちに、いまより低い社会的階層に落ちてしまうかもしれないと心配していますか」

(左から)上位中産階級、中三階級、下位中産階級。

棒グラフは左から、

濃い青色「とても/ある程度、心配している」

薄い青色「まったく/ほとんど、心配していない」



こうした将来への不安を背景に、中産階級をめぐる問題は、2016年のアメリカ大統領選挙の大きな争点になっている。

しかし、多くのアメリカ人は、政党や候補に関係なく、大統領候補たちが現状を改善すると期待はしていないようだ。「大統領が、中産階級を拡大させることができる」と考える人は、共和党支持者、民主党支持者、無党派層のいずれにおいても3分の1に満たなかった。全体の36%は「大統領はわずかな変化しかもたらさない」、17%は「何の変化ももたらさない」と答えている。

この記事はハフポストUS版に掲載されたものを翻訳しました。

[日本語版:湯本牧子、合原弘子/ガリレオ]

アメリカのワーキングプアーたち

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