『パズドラ』は『ポケモン』になるか? 世界を視野に入れるコンテンツの共通点と相違点
ブームの遷り変りの激しいスマホアプリで、子どもから大人までを巻き込んで一世を風靡したパズルRPGゲーム『パズル&ドラゴンズ』が、月刊漫画誌『コロコロコミック』(小学館)4月15日発売号からコミック化、さらに7月からはテレビ東京系でアニメ化される。ゲームとしてのブームは落ち着きをみせているいま、人気ブランドの次の一手としてのメディアミックス展開が始まる。
同じ手法で大成功を収めた『ポケットモンスター』や『妖怪ウォッチ』のような巨大コンテンツになるのか?その成長の行く先を占ってみたい。
◆主なユーザー層が『ポケモン』『妖怪ウォッチ』と異なる『パズドラ』
『パズル&ドラゴンズ』(通称パズドラ)は、パズルゲームをしながらモンスターを収集、育成、対戦していくゲームだが、一時期は「電車内で多くの大人たちがスマホでやっているゲーム」というほど爆発的に普及した。電車で通勤・通学をしている人なら、隣の人がパズドラをプレイしているのをちらっと見た経験はいくらでもあるだろう。
そんなユーザーのなかでまず言えるのは、課金アイテムを購入して楽しんでいる人、ハマっている中心層というのは“大人”だということ。つまり、子どもを中心に親まで取り込んで、超人気コンテンツとして20年間君臨し続けている『ポケモン』、そして幼児から小学校低学年層の間で大ブームを巻き起こした『妖怪ウォッチ』とは明らかにユーザー層が異なる。
先述の『コロコロコミック』は言うまでもなく小学生向けだし、テレビ東京系のアニメ放映も月曜の夕方予定と、こちらも明らかに子どもがターゲット。『パズドラ』メディアミックスの成功には、これまで単純にパズルゲームとして楽しんでいた子どもたちを、いかにそのキャラクターのファンにさせるか、物語としてのおもしろさに惹き込めるかがカギになるだろう。
ゲーム制作会社スタッフは「確かに、低年齢層へのアプローチがどのくらいできるのか、それが大きなカギになることは間違いないでしょう。ただ、最近の子どものゲームの理解力や適応力は、大人が思っている以上に高い。子どもたち自身で、大人が予想もつかないおもしろさを見つけていることだってあるんです」という。
◆世界で通用する?『パズドラ』キャラクターのポテンシャル
『パズドラ』は、課金はせずともシンプルなゲームのおもしろさにハマっている子どもたちも多い。それがゲームという枠を超えたときに、かつてムーブメントにもなったそのネームバリューが強みになり、より低年齢層の子どもたちがコミックやアニメに興味を持つことは十分考えられる。それが、子どもから大人までファミリー層を巻き込むブームとして人気を博すこともあるだろう。
ただ、果たしてその規模がいかほどになるかは未知数だ。そして、その先に見えてくるのが世界。そこも視野に入れてのメディアミックス展開であることは想像に難くないが、『ポケモン』のように世界中で楽しまれる巨大コンテンツになる可能性が『パズドラ』にも隠されているのだろうか?
「『ポケモン』の場合、メインキャラのピカチュウが“黄色いモンスター”で、海外でも理解されやすかったことが成功の大きな要因だと言われてます。だから、キャラクターが持つ訴求力にかかる部分が大きい。同じようにゲームやアニメを巻き込んだ『妖怪ウォッチ』は、日本の土着文化に由来した“いったんもめん”のような妖怪が主役で、なかなか海外では受けない。実際、次の展開となるような海外進出も、今のところ発表されてません」(前出・スタッフ)
パズドラのメインキャラクターは、人間とドラゴンなどのモンスターだ。ヤマタノオロチのような日本のドラゴンはもちろん、ヨーロッパ系の神話の神々やゴブリン、オーガなどのおなじみのモンスターも登場するので、キャラとしては海外でも受け入れられやすいかもしれない。あとは“クールジャパン”として、日本独自のおもしろさ、新機軸を打ち出すことができれば、世界的コンテンツに成長するポテンシャルは高いと言えるだろう。
果たして『パズドラ』は『ポケモン』の巨大な壁を越えることができるのか? 日本発(初)の“スマホアプリゲームの世界制覇”を実現するまでに成長することができるのだろうか? そんな思いを馳せながら、電車でゲームを楽しむのもアリかもしれない。
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