シリアで活動する国際テロ組織アルカイダ系の反政府武装組織「ヌスラ戦線」は7月28日、動画を公開し、アルカイダからの離脱と、「ジャブハド・ファタハ・アルシャム」(アルシャム解放戦線)への改名を発表した。中東カタールの衛星テレビ局「アルジャジーラ」が報じた。
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ヌスラ戦線の指導者アブ・ムハマド・アル・ゴラニ容疑者
指導者のアブ・ムハマド・アル・ゴラニ容疑者は、「我々はヌスラ戦線の名の下で行ってきたすべての作戦を完全に停止し、アルシャム解放戦線の名の下、新たなグループを結成する。この組織は、いかなる外部組織にも関係しない」と述べた。
また、ロイター通信によると、アルカイダの指導者アイマン・ザワヒリ容疑者も、ヌスラ戦線がアルカイダから分離することを承認するという声明を発表した。
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アルカイダの最高指導者ザワヒリ師
コトバンクによると、ヌスラ戦線は2012年1月、シリアで結成されたスンニ派のイスラム過激派組織で、ヌスラは「支援」という意味。創設者のアル・ゴラニ容疑者はシリア出身で、IS(イスラム国)の戦闘員だったと伝えられる。13年4月、ISの最高指導者バグダディ容疑者と対立して、アルカイダの最高指導者ザワヒリ容疑者に忠誠を誓ったという。
支配地域はシリア北西部から北部に点在し、アメリカや国連からはテロ組織に指定されている。2016年2月に米ロ間で合意した停戦協定でも、ISとヌスラ戦線は除外された。
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活動資金の大半は支援者の寄付、原油の密輸、誘拐による身代金と言われる。時事ドットコムによると、2015年6月にシリア入国後行方不明になっているジャーナリスト安田純平さんを拘束しているとみられ、今後どのように影響があるか注目される。
ヌスラ戦線に拘束されているとみられるジャーナリストの安田純平さん
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