国民投票法改正案とは?「#抗議します」の声が拡散【3分で分かる】

自民党が、26日に開かれる衆院憲法審査会で質疑と採決を行うことを野党側に提案との報道。コロナ感染が再拡大する中、「今やることか」などの批判が上がっている
|
Open Image Modal
参院選で投票する有権者(2019年7月)
時事通信社

憲法改正の手続きを定めた国民投票法の改正案をめぐり、自民党は「審議を速やかに進める必要がある」として、11月26日に開かれる衆議院憲法審査会で、質疑と採決を行うことを野党側に提案した

これを受け、Twitterでは「#国民投票法改正案に抗議します」とのハッシュタグが拡散。全国的に新型コロナウイルスの感染が再拡大する中、「今やることか」などと批判の声が絶えない。

改正案はどんな内容なのか?議論になっているポイントをまとめた。

 

■改正公選法の内容を「国民投票にも適用」

国民投票法改正案は、2016年に改正された公職選挙法の内容を、憲法改正の手続きに関する国民投票にも適用するというもの。

具体的には、

・駅や商業施設などへの共通投票所の設置
・期日前投票の理由に「天災又は悪天候により投票所に到達することが困難であること」を追加
・投票所に同伴できる子供の範囲を「幼児」から「児童、生徒その他の18歳未満の者」に拡大

などの7項目だ。

 

■何が問題?

問題となっているのは、現行の国民投票法の、投票日前の「国民投票運動」に関する規定だ。

憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をするよう、又はしないよう勧誘することを「国民投票運動」という。政党などは、一定のルールのもとに「国民投票運動」を行うことができる。

例えば、投票期日14日前からは、国民投票広報協議会が行う広報のための放送を除き、テレビやラジオの広告放送は制限される。

この規定だと、14日前より前の期間では規制がないままとなっている。与党が提案する国民投票法改正案では、こうしたテレビやラジオのCM規制のほか、インターネット広告の規制も検討されていない。

主要野党はこの点を問題視し、「政党の資金力によってCM量に違いが出る」と指摘。「お金があれば広告手段をフル活用し、高い視聴率が見込める枠で宣伝されてしまう。これでは国民投票の結果が左右されてしまう恐れがある。現行の国民投票法では、意見広告として堂々と事前運動が可能で、公正な国民投票とは言えない」などと主張している

主要野党は「改正案には、本当に改正すべき問題に触れられていない」ことを理由に反対してきた。

日本弁護士連合会も、2018年6月に会長声明を公表。「有料意見広告については、賛成派と反対派の意見について実質的な公平性が確保されるよう、慎重な配慮が必要」「広告禁止が国民投票の期日前14日となることが適切であるか十分に検討されるべき」などと主張し、改正法の抜本的な見直しを求めている。

 

■これまでの審議経過は?

国民投票法改正案は2018年6月、自民、公明両党と日本維新の会、希望の党の4党が共同提出した。同年7月に憲法審で提案理由説明があったが、その後法案審議は一度も行われず、継続審議扱いとなっている。

自民党が、衆院憲法審査会での質疑・採決を提案したことを受け、ネット上では「コロナの感染拡大が止まらない今、やるべきことなのか」などの声が相次いでいる。

安倍晋三前首相の「桜を見る会」の前夜祭をめぐる費用負担の疑惑が問題となる中、「どさくさに紛れて押し通そうとするのは火事場泥棒だ」との批判も上がる。

Twitterでは「#国民投票法改正案に抗議します」のハッシュタグがトレンドに入り、波紋が広がっている。

【UPDATE】
共同通信によると、与野党は11月25日、憲法改正手続きを定める国民投票法改正案を26日開く衆院憲法審査会で採決せず、見送ると合意した。