未だに「アメリカが守ってくれる」と考えている、めでたい日本国民

アメリカ一辺倒でなく、広い視野に立った姿勢が求められています。

ハリーウッドのマフィア映画などによく出てくる場面なので見たことがあると思いますが、アメリカでレストランやバーなどを開店すると、ギャングがやってきて、定期的にカネを要求します。それは実質的には「ショバ代」なのですが、英語ではprotection moneyと言い、要するに「他のギャングや規律のないチンピラ、問題のある客などから守ってやる」ための報酬ということになります。これは当然すべて違法なのですが、少なくとも都市部では一つの常識となっており、警察も容易に取り締まることができません。

当たり前ですが、店主はprotection moneyを嫌々払うわけです。腹の底では憎く思いながら、拒否した場合の報復が怖くてお金を渡します。そして、よっぽどバカでなければ、「守るためのカネ」と言われても、ギャングが本当に「守ってくれている」とは考えないでしょう。恐喝されているだけなので、何かあればすぐに切り捨てられるのがオチだというのは明らかです。間違ってもそのギャングを尊敬するように子供に教えたり、「本当にこれでいいの?足りないなら、思いやりとして、もっとあげるよ」と言い出すような人はいないでしょう。

単純に比較できない面があるのは事実ですが、日本とアメリカの関係はこの上なくこれに似ています。在日米軍がいるのは日本がアメリカの前哨基地の一つだからであり、「何があっても日本や日本人を守ろう」という意気込みなど何一つありません。それなのに、「アメリカが守ってくれる」と信じてアメリカ様にすがる日本国民は、何てめでたいことかと思います。

この度の北朝鮮問題にしても同様です。アメリカのメディアを見れば明らかなのですが、トランプが急に大騒ぎするようになっているのは、グアムや場合によってはアメリカ本土が射程範囲内に入るミサイルを北が開発しようとしているからです。「日本は大変なことになる、助けなくては」と考えている人はワシントンには一人もいません。

ましてや、「アメリカが北を先制攻撃して核兵器を片付けてくれる」と本気で信じている日本人は、幻想の世界の中に生きているとしか言いようがありません。北朝鮮は中国や日本などアメリカと経済関係が緊密な国の隣で、戦争などあればマーケットがめちゃくちゃになります。アメリカの産業界(というより、軍産複合体)が戦争を望まないのです。もちろんトランプは何をしでかすかわからないのですが、本当に北朝鮮に先制攻撃しようとすれば、アメリカで軍事クーデタが起きるでしょう。

「軍事クーデタ」と物騒な言葉で驚く読者もいるかも知れませんが、今のアメリカはそれだけ瀬戸際に立っていると言えます。そのような、崩壊の危機にあるマフィアにprotection moneyを払い続け、なお媚を売り続ける日本は、ドンが地に落ちた時、より無惨な形で一緒に落ちます。アメリカ一辺倒でなく、広い視野に立った姿勢が求められています。