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ディズニー映画最新作『ラーヤと龍の王国』が“分断された世界”をいま描く理由

若くしてホテル経営を始めた実業家、龍崎翔子さんが『ラーヤと龍の王国』を「意欲作」「新時代のディズニー」と語る理由とは。『アナと雪の女王2』以来のディズニー新ヒロイン像と、ディズニーアニメーション最新作のポイントを解説していく。
『ラーヤと龍の王国』
『ラーヤと龍の王国』
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ディズニー映画 最新作『ラーヤと龍の王国』が2021年3月5日(金)に映画館とディズニープラス プレミア アクセスで同時公開された。『アナと雪の女王』シリーズや『モアナと伝説の海』など新時代を象徴するヒロインを次々と生み出してきたディズニーアニメーション。

最新作のヒロイン、ラーヤは幼い頃に邪悪な魔物<ドルーン>によって父を失い、自分だけを信じて、ひとりぼっちで生きてきた「龍の王国」の“最後の希望”。バラバラになった世界を再び一つにするため、<最後の龍>の魔法の力を蘇らせる旅のなかで、少しずつ仲間を増やしながら、信じ合うことの大切さに気づいていく物語だ。

「これは意欲作」「新時代のディズニーを感じた」と感想を語るのは、若くして“ソーシャルホテル”経営を始めた龍崎翔子さん。ムーラン、ジャスミンなど「自分の意志を持ったヒロイン」に親近感を抱いてきたディズニーファンでもある龍崎さんに、 5つの注目ポイントを聞いた。

龍崎翔子(りゅうざき・しょうこ)さん 株式会社L&Gグローバルビジネス代表取締役/ホテルプロデューサー。小学2年生の時に家族とアメリカ大陸を横断。ホテルビジネスに興味を持つ。2015年に19歳でL&G社を設立し、“ソーシャルホテル”をコンセプトにホテルをプロデュース。2020年には、新型コロナウイルス感染拡大の中、自宅で過ごすことが必ずしも安全ではない人に向けた低価格の宿泊サービス「ホテルシェルター」を開始。
龍崎翔子(りゅうざき・しょうこ)さん 株式会社L&Gグローバルビジネス代表取締役/ホテルプロデューサー。小学2年生の時に家族とアメリカ大陸を横断。ホテルビジネスに興味を持つ。2015年に19歳でL&G社を設立し、“ソーシャルホテル”をコンセプトにホテルをプロデュース。2020年には、新型コロナウイルス感染拡大の中、自宅で過ごすことが必ずしも安全ではない人に向けた低価格の宿泊サービス「ホテルシェルター」を開始。
Yuko Kawashima

◾️ 龍崎さんが語る「5つのポイント」

① “ひとりぼっち”の救世主──信じる心を失ったヒロイン

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主人公、ラーヤについては、ここまで信じる心を失った姿が顕著に描かれていることが驚きでした。単純に「自分に自信がない」キャラクターは、これまでにもいたと思うんです。でもラーヤは他人を信じて裏切られた過去があり、他人だけでなく自分さえ信じられなくなっている。今までにないヒロインですよね。

彼女が“ひとりぼっち”であることを象徴するように、ストーリーの前半でラーヤは、旅の仲間たちにさえも「自分でやるから」「あなたは何もしないでここで待っていて」と頑なに助力を拒み、どんなことも一人で解決しようとしてしまいます。

ですが、そんなラーヤもストーリーが進むにつれ少しずつ人を受け入れ、気づけば仲間たちに支えられている。私自身、会社を経営していく中で、何かを成し遂げたいと強く思うときほど、周りに支えられ、助けられていることを実感しているので、彼女の心境の変化に自然と共感が湧きました。

② 明確な“悪者”がいない

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物語を通して、明確な“悪者”が出てこないのも注目ポイントです。例えば『アナと雪の女王』ではハンス王子が悪役だったように、これまでのヒロイン映画にはヴィラン(悪役)が欠かせなかった。

でも、本作では姿かたちのない悪──一見すると、いま私たち自身も戦っている疫病のような──<ドルーン>という存在以外、明確な“悪者”が出てこない。一見悪役のような登場人物たちも、善悪の間を揺れ動く存在なんです。

善と悪を“相対的なもの”として捉えた点がアジア哲学的で、ディズニー作品ではすごく新しい。東洋的な要素と、“博愛”といった西洋的な要素がうまく融合していると思います。

③ 個人の幸福の集合体=社会の幸福

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「個人の幸せの集合体として、社会の幸せがある」という点も、ヒロインを描いた過去アニメーション作品とは異なります。例えば『アナと雪の女王』のエルサは、女王としての役割を果たすか自己実現を果たすかで葛藤しています。他の作品でも「個人的幸せか、社会的責任か」という二項対立が描かれがちでした。

ラーヤの場合、まず一番に「お父さんを蘇らせたい」という個人的な思いがある。でも、個人の思いと「平和な国を取り戻す」という社会的責務を、一つの延長線上として捉えているんです。だから傷ついたり悩んだりするけど、思いはブレない。

私も、「こうだったらいいな」という世界をつくりたいという個人的な思いが原点。ラーヤの「自分が幸せになる方法で、周りの人も幸せにしたい」という考え方には共感するし、とても現代的だと思います。

④ 日常を取り戻したい

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本作は「失われた日常を取り返したい」という思いが描かれているところが、今の時代らしいですね。その日常は、社会にとってあるべき姿なんだけど、それ以前に、個人にとっても返ってきてほしいもの。

例えば『リトル・マーメイド』のアリエルが人間界に憧れていたように、過去のヒロインたちはどこか“個人的な夢”や“別世界”を目指す姿として描かれていました。

でも、今作のラーヤは“何か特別な夢や目標”よりも“父を取り戻したい”や“世界を取り戻したい”といった等身大の想いや社会的責任感に突き動かされている点も大きく異なります。

概念としての悪<ドルーン>の正体が、ちょうど私たちがいま対峙しているような、姿かたちのない、さながら疫病のような存在というのも、図らずしもwithコロナ時代とシンクロしているようで興味深いですね。

二つの「信じる」

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私は「信じる」という行為には二種類あると思っています。一つは相手の「能力を信じる」こと、もう一つは「誠意を信じる」ことです。ストーリーの終盤、とある重大な局面でラーヤは後者、相手の「誠意を信じる」ことを求められます。

ラーヤに限らず私たちの生活でも、「誠意を信じる」ことは「能力を信じる」より圧倒的に難しいことです。

例えば、現代ではいろんな文化を持つ人が混ざり合って暮らすことが増えていますよね。昔のように “なんとなく”その場の空気感や、それまで自分が生きてきた社会の暗黙のルールに則るだけではやっていけないし、小さな誤解から疑心暗鬼になることもあると思います。当たり前に「信じ合う」ことが現代では難しいからこそ、より強いメッセージとして輝きます。

◾️複雑な人間関係を生きる世代におすすめ

それぞれの世代で違った楽しみ方ができるとは思いますが、特に仕事を始めた若い世代に、ぜひ観てほしいです。その世代って、友達や先生しかいない“学校”という環境から社会に飛び出して「本当に信用できるのか」と感じている人とビジネスで付き合ったり、プライベートでは結婚する人も出てきたりして、急激に人間関係が複雑化する。

そんなライフステージに来ているからこそ、この作品を鑑賞することは、人間関係の基盤でもある「信じる」ことについて考える、いい機会になると思います。

インタビューに答える龍崎さん
インタビューに答える龍崎さん
Yuko Kawashima

ラーヤは初め“ひとりぼっち”でしたが、やっぱり人が一人でできることには限界がある。一人だと早く行けるけど、みんなだったら遠くに行ける。「一人で生きるのが当然になってきた時代だからこそ、誰かと共創したり協働したりすることの意義が再確認されている」と思います。

他にも『アナと雪の女王』『アラジン』などのオマージュかな? と感じる表現もあり、ディズニーファンが楽しめるのはもちろん、どんな人でも人間関係について改めて考えさせてくれる映画だと思います。

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『ラーヤと龍の王国』映画情報
映画館and ディズニープラス プレミア アクセス 同時公開中
公式サイト:Disney.jp/RAYA

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