福一の天然水、汚染区域…福島差別に繋がるTシャツ、ショッピングサイトに多数。商品説明に「白血病」も

ショッピングサイトに福島への風評や差別を助長するアイテムが多数出品されていることがわかりました。これらが値段のついた「商品」として出品されていることは大きな問題です。【メディアと差別】【福島差別画像】
「福島」と検索すると表示されたTシャツ。「福一の天然水 強汚染水 セシウム」と書いてある
「福島」と検索すると表示されたTシャツ。「福一の天然水 強汚染水 セシウム」と書いてある
Keita Aimoto

オリジナルTシャツを制作して販売できるショッピングサイト「Tシャツトリニティ」に、福島県への風評や差別を助長するアイテムが多数出品されていることがわかった。

サイトで「福島」と検索すると、「福一の天然水 強汚染セシウム」「原発汚染水海洋投棄に反対します」と記載されたTシャツやパーカーのほか、「福島」や「白血病」といった言葉を商品説明欄に並べて書いたものなどが次々に表示される。

ハフポスト日本版はこれまで、「オンライン画像マーケットサイト」に福島への差別を助長するイメージ画像がアップロードされ、一部メディアが記事に使用していた問題を報道してきた

東京電力福島第一原発事故から13年がたつ今も、インターネット上では科学的な知見を無視した情報が飛び交い、福島差別に繋がりかねない「商品」が販売されている実態が浮かび上がる。

オリジナルTシャツを作れるサイト 

Tシャツトリニティは、「買う・作る・売る」が楽しめる参加型の通販ショッピングモール。大阪市の衣料品製造販売会社「グラフィック・オン・デマンド」が運営している。

公式ウェブサイトによると、誰でも簡単にオリジナルアイテムを販売することが可能で、手順は会員登録後に専用ページで画像をアップロードするだけ。Tシャツやパーカーなど90種類以上のアイテムに自動でレイアウトされ、サイト上に出品できる。

商品の製作や検品、梱包、発送などは全て会社側が行うため、在庫を持つ心配もなく、グッズが売れるたびに報酬も受け取れる。出品されたアイテムがドラマや映画などで使われたケースも多数あるという。

「福島」と検索すると表示されたTシャツ。「原発汚染水海洋投棄に反対します」と書いてある(画像の一部を修正しています)
「福島」と検索すると表示されたTシャツ。「原発汚染水海洋投棄に反対します」と書いてある(画像の一部を修正しています)
Keita Aimoto

「福一の天然水 強汚染水」記載のTシャツ

しかし、記者が3月1日、サイトのデザインアイテム欄で「福島」と検索したところ、非科学的な文言が記載され、福島への差別を助長する恐れのあるアイテムが多数ヒットした。

例えば、「福一の天然水 強汚染水 セシウム」と胸にレイアウトされたTシャツ。

「ユーモア」のタグが付けられ、説明欄に「麻生太郎は福島第一原発の処理水について、『WHOの基準の7分の1まで(トリチウムを)希釈してある。飲めるんじゃないですか』発言。(中略)むき出しの燃料棒に直接触れた、おいしい水」などと書かれていた。

STOP汚染水!!」と印字されたロングTシャツなども出品されていた。

説明欄に「福島の原発から直接核燃料に触れた210種もの放射性物質を含んだ水がALPSで62核種除去して残りの148核種が残った状態で海に放出され海産物に放射性物質が蓄積していくという図」と記載されていた。

Plutonium」と書かれたTシャツの説明欄には、「『プルトニウム 核爆弾 ミサイル ICBM 核反対 福島 ミリタリー 戦争 北 ロシア 放射能 白血病』Tシャツ」と書かれていた。「どれも人気がありご好評をいただいています!」とも記載されている。

多くは2000〜4000円台で出品されており、このほかにも「原発汚染水海洋投棄に反対します」や「放射能汚染区域」などと書かれた衣類やトートバッグがあった。

「福島」と検索すると表示されたTシャツ。商品説明欄に「福島」「白血病」などと書いてある(画像の一部を修正しています)
「福島」と検索すると表示されたTシャツ。商品説明欄に「福島」「白血病」などと書いてある(画像の一部を修正しています)
Keita Aimoto

“福島差別”が「商品」として売られている

福島第一原発では、地下水や雨水が原子炉建屋に流れ込むことで「汚染水」が発生している。

それを多核種除去設備(ALPS)などで処理し、トリチウムを除く62種類の放射性物質を安全基準を満たすまで除去した上、さらに海水で薄めて放出しているのが「処理水」だ。

処理水の安全性については、政府や東京電力だけでなく、IAEAも評価しており、2023年7月に「人や環境に与える放射線の影響は無視できるほどである」とする包括報告書を公表している。

トリチウムも前述の通り、安全基準を満たすまで大幅に薄められるため、環境や人体への影響はなく、これまでの放出で目立ったトラブルは報告されていない。

また、放出の際は複数の放射性物質の影響を加味した規制基準「告示濃度比総和」が「1」を下回る必要があるが、これも確認されている(詳しい情報は関連記事に)。

つまり、福島第一原発から海洋放出されているのは科学的に安全だと証明された処理水であり、前述したTシャツなどに書いてあるような「汚染水」や「強汚染水」ではないと国際的にも認められている。

「海産物に放射性物質が蓄積していく」ことも国などが否定している。商品説明欄に「福島」や「白血病」などと書いたロングTシャツについては、福島の人々への差別につながる。

Tシャツトリニティは、出品者に向けた「クリエイター会員利用規約」の第13条(禁止事項)で、「公序良俗に反する行為」や「消費者の判断に錯誤を与える恐れのある行為」などを記載している。

福島県への風評や差別を助長するアイテムはこれに該当しないのか。そして、これらが値段のついた「商品」として売られていることへの見解はあるか。

ハフポスト日本版は、サイトを運営する「グラフィック・オン・デマンド」に問い合わせている。

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