BLOG
2020年04月21日 11時01分 JST | 更新 2020年04月21日 11時01分 JST

新型コロナ感染拡大の最中に出産する不安。揺れ動く心…。

出産時の面会や立ち会い禁止について、感染拡大の観点から「仕方ない」と思いながらも、出産を控えたカップルはやり切れない気持ちでいます。

primiaou via Getty Images
イメージ画像

仕事人間で、恋愛は必要だけど家族はいいかな、と思っていた私が思いがけず妊娠して、9カ月目に突入しました。4月末までは経営する会社の仕事をして、5月から約1カ月の産休に入ります。私自身の結婚に対する考え方もあり、パートナーとは籍を入れず、同居もせずに暮らしていますが、毎日子供のことを共有しあい、話し合い、出産に向けて準備を進めています。

 

巷は新型コロナウイルスの話題で一色ですが、これまでハフポスト日本版での記事では極力コロナに触れてきませんでした。というのも「コロナの話は専門家のみなさんに任せて、私は等身大の妊婦の話を書こう」というスタンスでいたからです。

しかし、一度はコロナのことに触れないといけないくらい、最近の私の頭の中はコロナが出産に及ぼす影響でいっぱいになってしまいました。

 

■新型コロナウイルスの影響が、出産を控えるカップルを直撃している

既に報道されている通り、多くの病院が新型コロナウイルスの感染拡大防止のために、面会禁止や出産時のパートナーの立ち会い禁止に踏み切っています。私の知り合いからも、「夫が出産に立ち会えず不安だ」「我が子なのに会えるのは誕生から数日後になってしまう」という悲痛な叫びが届いています。

私がお世話になっている病院では、今のところパートナーのみ立ち会いが許されていますが、これも、感染拡大の状況、国や都の対応によっていつ変わるかはわかりません。また、子どもの祖父母は産後の見舞いも不可です。どちらにしろ、産後に子どもを見せに埼玉の実家に行くことも、高齢の両親に何かあっては大変なので状況的に難しく、私の両親が孫に会えるのは出産からしばらくしてからになるでしょう。

 

面会禁止や、立ち会い制限については、感染拡大の観点から致し方無いと思っています。今は一刻も早くコロナウイルスの感染拡大を防止して、医療崩壊を防ぐのが先決です。しかし、我が子が誕生する瞬間をカップルで分かち合えない悲しみは尋常ではありません。「昔は立ち会いなんてむしろ珍しかったんだし、大げさだよ」と思う方もいるかも知れませんが、厚生労働省の「母親が望む安全で満足な妊娠出産に関する全国調査」(2013年)によると、経腟分娩(編集部注: 腟を経由して、赤ちゃんを産むこと。いわゆる自然分娩)の59%はパートナー立ち会いのもとに行われており、近年増加傾向にあることから、現在は更に増加していると思われます。出産を控えたカップルが、「仕方ない」と思いながらもやり切れない気持ちでいるのは事実です。

 

■コロナの最中に産まれる子どもたち

老若男女問わずコロナウイルスの猛威に影響を受けているなか、やはりこれから母親になる人間としては、子どもへの影響を考えてしまいます。コロナの時代に生まれる子どもは、明らかに今の私たちとは違う価値観を備えることになるでしょう。というのも、生まれた瞬間から、人に触れ合うこと、外出することに制限を設けられて育つからです。両親以外の人間に抱かれたり、愛らしいと頬ずりされたり、公園や児童館に行って興味のあるものを触ったりするのは少し先のことになるでしょうから。

この状況がどのくらい続くのか素人の私にはわかりませんが、おそらく長期戦になると思われます。また、ワクチンなどが出始めても、「子どもをウイルスから守るために接触に気をつけなければ」という気持ちは親の中に無意識に残り続けるでしょう。

人と触れ合ったり、肌で何かを感じたりするのは育児にとって素晴らしいことです。それは、人を愛したり思いやる心にもつながると思います。でも、この世代の子どもたちは「触れる」ということに過敏になるのではないかと案じています。この子たちが、当たり前のように「人肌のぬくもり」を気持ち良いと思える社会に一刻も早く戻って欲しいと願うばかりです。

 

■新しい時代を生きる子どもたち

一方で期待もあります。コロナの影響で、過去の遺物や古いルールが壊れてゲームチェンジが起きています。IT化が遅れていた教育機関も遠隔授業などに取り組む地域が出てきました。また、職場でもリモートワークの浸透とともに、これまでは紙とハンコでなければいけなかったものがオンラインで良くなったり、不要な会議が淘汰されたりという傾向にあります。「コロナが収束したらもとに戻るのではないか?」という声もありますが、コロナが長引けば長引くほど私たちの社会はアップデートされていくでしょう。これから生まれる子どもたちは、そういう社会を生きていきます。

 

これは完全に個人の妄想ですが、コロナの後の社会は、かつての戦後復興期や高度経済成長期のようになってくれればいいなと思っています。もちろん経済的には大打撃を受けるでしょう(現在も経済的な影響はでていますし)。しばらくは不自由も続くでしょう。でも、「今より悪くなることはない。明日はもっと良くなる。」と信じて歩める時代です。私は、「豊かであること」よりも「もっと豊かになれると思えること」が大事だと思っています。

なぜならモチベーションが人を動かすからです。子どもたちには、「これから未来はもっと良くなる」という想いを抱いて、大きくなってほしいし、大人である我々は、子どもたちにそういう社会を与えてあげたいと思います。

 

■今こそ、未来の話をしよう

と、随分先の未来の妄想をしてきたけれど、実際には目の前のことで精一杯です。最初の話に戻ると、「パートナーと一緒に出産に臨めるのか?」から始まり、お宮参りとか記念写真の撮影は出来るのか、両家の両親に会わせる日はいつになるのか。そもそも私は自分で経営している会社を存続できるのか、産休明けに仕事はあるのか、この子を豊かに育てられるのか……。そんなことを考えていると、心が折れそうです。そんなときこそ、未来の話をすることが大事だと思います。

私であれば、無事に子どもを産んで、悪戦苦闘しながらも子育てと仕事を両立させ、コロナの時代でも稼げるように事業を工夫しながら存続させ、コロナが収束したら家族であちこち旅行に出かけ、会社が軌道に乗ったら広い家に引っ越し、休日には家族でパンを焼いたり餃子を作ったりして過ごす。そういう未来です。

 

今、私のような妊婦に限らず、先が見えずに不安を抱いている人は数多くいると思います。「そんなときに明るい未来の話なんて」と思うかもしれませが、今こそ、絵空事でいいから未来を思い描くことが大事だと思います。人は、何かしら「理由」を付けないと前に進めない生き物です。先の見えないコロナの最中で、心まで折れたら何も始まりません。

おなかの中にいるこの子が生きる社会、この子と生きる未来を思いながら、折れそうな心と戦っていこうと思います。

 

(編集:榊原すずみ