あいちトリエンナーレ全面再開。「一つの芸術祭のあり方をお示しできた」

8日午後の観覧方法は、午前10時に公式サイトで公表される。動画撮影は禁止したうえで、8日は写真撮影を希望する人には、会場の職員が撮影し、後日撮影した写真を送付する。
記者会見する大村秀章知事
記者会見する大村秀章知事
AKIKO MINATO/HUFFPOST JAPAN

国際芸術祭「あいちトリエンナーレ2019」の全面再開が決まった。

愛知県の大村秀章知事は10月7日夜に緊急記者会見を開き、「トリエンナーレの参加作家が全員復帰しての全面再開。円満な形で、日本最大級の国際芸術祭の完成を目指します」と発表した。

「表現の不自由展・その後」は8日午後からの再開となる。

8日午後は30人×2回のガイドツアー

入場者は整理券による抽選方式で、1回の入場者は30人。入場前に身分を確認したうえで、事前にキュレーターによる事前教育プログラムを受けてもらう。中では、ガイドを聞きながらツアー形式で展示を観覧する。貴重品をのぞく手荷物の預かりや金属探知機による身体検査も行うという。

8日午後の観覧方法は、午前10時に公式サイトで公表される。30人ずつ計2回のガイドツアーとなる予定。一回の観覧に約90分間かかる見込みという。9日以降は8日の状況をみて判断する。

不自由展の再開を巡っては、大村知事が9月30日に「6〜8日の再開に向けて協議を始める」と発表していた。トリエンナーレの実行委員会と不自由展の実行委による協議が続く中、焦点となったのはSNSの拡散防止と中止前の状態で展示が再開できるかどうかだった。

動画撮影は禁止したうえで、8日は写真撮影を希望する人には、会場の職員が撮影し、後日撮影した写真を送付する。9日以降は、SNSに掲載しないという趣旨の誓約書を書いてもらったうえで、携帯電話などでの撮影は許可する予定という。

「一つの芸術祭のあり方をお示しできたのではないか」

会見では、大村知事はなんども「参加作家が全員復帰しての円満再開」を強調。

「一番大事なことは作家が全員復帰しての全面再開。何としても成し遂げたいということで、協議を続けてきた。全面再開したいという思いが結実した。思いは全員一緒だった。その思いをぶつけていただいた作家や関係のみなさまに感謝したい」と述べた。

再開に向けて、トリエンナーレの実行委員会と不自由展の実行委による協議が続く中、会場では見切り発車で再開に向けた準備を進めてきた。

大村知事は「世界的に見ても一度中止になった展示が再開された例はないと聞いている。展示をやめていた海外作家からも、本当は見てもらいたいんだと、全員が円満復帰できるように再開してほしいと強い要望をいただいていた」と明かし、「一つの芸術祭のあり方をお示しできたのではないかと思う。あと1週間、色々な立場の方の意見を、異なる考え方の意見も尊重しながら、毎日安心安全な運営に全力をあげて(閉幕の)14日にたどり着きたい。ぜひ『けしからん』と攻撃することは謹んでいただきたい」と語った。

「他の選択肢はなかった」

「表現の不自由展・その後」が開幕3日で中止となった判断は正しかったか。

会見でこう問われた大村知事は、「あの状況での中止は正しかった。他の選択肢はなかったと思う。事態を収拾するのに全力でしたので、先のことを考える余裕はなかった」と述べた。

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「伝える」が、バズるに負けている。ネットが広まって20年。丁寧な意見より、大量に拡散される「バズ」が力を持ちすぎている。

あいちトリエンナーレ2019の「電凸」も、文化庁の補助金のとりやめも、気軽なリツイートのように、あっけなく行われた。

「伝える」は誰かを傷つけ、「ヘイト」にもなり得る。どうすれば表現はより自由になるのか。

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