アートとカルチャー
2020年06月04日 18時26分 JST | 更新 2020年06月04日 19時07分 JST

「Black Lives Matter」運動を受け、黒人差別を描いた映画が無料公開へ。スパイク・リー監督は「400年前から続く」と訴え

「私たちは物語の力を信じています」米ワーナーがジョージ・フロイドさんの死亡事件を受け、黒人差別を描いた映画を無料公開。Netflixの作品や、スパイク・リー監督のショートフィルムも、警官による過剰な暴力を描いてきた。

アメリカ・ミネソタ州で黒人男性のジョージ・フロイドさんが警官に首を押さえつけられ死亡した事件を受け、全米各地で抗議デモが起き、「Black Lives Matter」と訴える声が広がっている。

この状況を受け、アメリカのワーナー・ブラザーズは、2020年1月に劇場公開された映画『黒い司法 0%からの奇跡(原題:Just Mercy)』を、アメリカ国内の映像配信サービスにて6月の間無料公開することを決めた。

 

■黒人差別が根強く残る1980年代のアラバマ州

本作は、冤罪の死刑囚たちのために奮闘する実在の弁護士ブライアン・スティーブンソンさんの実話を映画化。マーベル史上初の黒人ヒーローを描いた『ブラックパンサー』などで知られるマイケル・B・ジョーダンさんが主演を務めた。

舞台は、黒人差別が根強く残る1980年代のアラバマ州。犯してもいない罪で死刑宣告された黒人の被告人ウォルターを助けるため、新人弁護士のブライアンが立ち上がる。仕組まれた証言や白人の陪審員たち、証人や弁護士たちへの脅迫など、数々の困難に直面しながら奮闘する姿を描く。

同社はTwitterで、「私たちは物語の力を信じています。私たちの社会に蔓延している体系的な人種差別についてもっと学びたいと考える人々に、ぜひ見てもらいたい作品です」と投稿。

また、「私たちの国に変革を起こすための活動が必要です。過去に起こった出来事や、現在のこの状況を招くに至った多くの不公正について、より詳しく学ぶことを推奨したい」と、今に至るまでの歴史への理解を深めることを求めた。

また、ブライアン・スティーブンソンさんや、彼が創立した非営利団体「Equal Justice Initiative」の活動について知るためのオンラインサイト「EJI.org」についても紹介した。

 

■NetflixのドキュメンタリーがYouTubeで無料公開

黒人の差別や不当逮捕、警官による過剰な暴力で死に至った事件などは、これまで数多くのアメリカの映画・ドラマの題材となってきた。

Netflixは、2016年にドキュメンタリー映画『13th -憲法修正第13条-』を配信。今年4月からYouTubeにて無料公開もされている(日本語字幕付きで視聴可)。

アカデミー長編ドキュメンタリー映画賞にノミネートされた本作は、黒人が犯罪者として逮捕されやすい事実を、学者、活動家、政治家が分析。前述の弁護士ブライアン・スティーブンソンさんも登場する。

監督は、エイヴァ・デュヴァーネイさんが務めており、彼女は同じくNetflixのリミテッドテレビシリーズ『ボクらを見る目(原題:When They See Us)』も手掛けている。

『ボクらを見る目』は、1989年4月にセントラルパークでジョキング中の女性が暴行され、瀕死の重症を負った実在の事件をもとにした作品。BBCによると、当時14〜16才の黒人とラティーノの少年5人が自白を強要され、冤罪で起訴。全員が有罪となり、およそ6~13年の刑期に服することが決まった。のちにこの事件の真犯人が自供したことから、有罪判決が覆され、ニューヨーク市との裁判の末、2014年に賠償金が支払われたと、New York Timesなどが報じている。

この「セントラルパーク・ジョガー事件」の際、当時大統領就任前のドナルド・トランプ氏は8万5000ドルを出してニューヨークの4つの主要新聞の広告枠を買い、「死刑制度の復活」を訴えた。BBCによると、有罪判決が覆されてから今に至るまで、トランプ氏は謝罪していないという。

時事通信社
スパイク・リー監督

■スパイク・リー監督「400年前から続いている」と訴え

ジョージ・フロイドさんの死亡事件を受けて、映画監督のスパイク・リーさんはショートフィルム『3 Brothers – Radio Raheem, Eric Garner And George Floyd(原題)』を発表。

注:この作品には、実際の事件の様子を収めた映像が使用されています

SNSに投稿されていたフロイドさんが首を押さえられている映像に加え、2014年に起きたエリック・ガーナーさんの窒息死事件の映像、そして自身が1989年に発表した映画『ドゥ・ザ・ライト・シング』で登場人物のラジオ・ラヒーム(ビル・ナンさん)が警官に殺されるシーンを組み合わせ、「歴史は繰り返されなくなるのだろうか?(Will History Stop Repeating Itself?)」という言葉を綴っている。いずれの3つの映像も、路上で白人警官に拘束され、死に至った黒人男性の姿が収められている。

 

BBCでは、現地時間6月2日、スパイク・リー監督のインタビューを公開。Netflixで公開する新作映画『Da 5 Bloods』を語るなかで、ジョージ・フロイドさんの死亡事件についても言及した。

スパイク・リー監督は「ジョージ・フロイドさんに敬意を払うべきだが、これは新しいことではない。400年前から続いている」「それにアメリカだけのことでもない。アメリカは人種差別が得意だが、人種差別は世界中にある。人種差別がコロナウイルスより先の、世界的パンデミックだ」と訴えている。