バービー人形が、人種差別を語り合う「差別を目撃したら、黙っていてはダメ」

「良い友達になるためには、耳を傾け、理解し、他人が困っていることに気付き、それを解決するために行動することが大切」

「誰かが差別されているのを目撃したら、その人のために声を上げよう。黙っていたら何も変わらない。みんなで力を合わせれば、大きな変化は起こせる」

アニメーション動画の中でそう話すのは、黒人と白人、2人の女の子だ。

世界中の子どもたちに愛される着せ替え人形「バービー」が10月7日、公式YouTubeチャンネルに、バービーが友人のニッキーと人種差別について話し合う動画を公開した。

バービーははじめに、「今、とても大きな動きが起こっています。世界中の何百万人もの人々が、人種差別と戦うために立ち上がっているのです」と、アメリカから世界に広がったBlack Lives Matter について説明。

「彼らは、あまりにも頻繁に、そしてとても長い間、その肌の色を理由に不当に扱われ、時にはひどく傷つけられることもありました」と語りかけた。

続けて、ニッキーは、「人から見たら私の人生は順調に見えるかもしれない。でも本当は、私も、そして他の黒人の人々も、常に差別にあっているのです。それは本当に傷つき、恐ろしく悲しいものです」と、自身の人種差別の経験について明かした。

ニッキーが語ったのは、2つの経験だ。

ニッキーは、ビーチで三度警備員に語られたと話す
ニッキーは、ビーチで三度警備員に語られたと話す
Barbie公式YouTubeチャンネルより

ひとつは、ビーチでステッカーをいくつ売れたか競うコンテストに、バービーと一緒に参加した時のこと。それぞれ別の場所で売っていると、ニッキーが何か悪いことをしていると思い込んだ警備員から、3回声をかけられ、あげく母親が呼び出されたという。同じくビーチでステッカーを売っていても、警備員に呼び止められなかったバービーはその話を聞き、「えっ!?」と驚きの表情を見せた。

また、もう一つは、フランス語のクラスの入学テストで満点をとった時に、ニッキーを知らなかった男性の先生から「君はラッキーだったね」と言われたというエピソード。

そのエピソードを聞いて、バービーはニッキーに、「あなたは誰よりもフランス語が上手だよ。なぜ彼が間違っていると指摘しなかったの?」と聞く。

フランス語の授業での経験も明かす
フランス語の授業での経験も明かす
Barbie公式YouTubeチャンネルより

それに対し、ニッキーは「私は、何か言われるたびにいつも自分の能力を示したり、あるいは否定したりすることをしたくなかったから」と答える。

ニッキーはこれらの経験を、「私が黒人だから、こういう扱いを受けるんだと思う。みんな、私について勝手な思い込みを持ってるんだ」と振り返った。

バービーはこの経験を聞き、「白人はそれだけで黒人よりも優遇されていて、黒人は不当に不利益を被っているんだね」とまとめた。

ニッキーは、人種差別への抗議運動の広がりを受け、「黒人の歴史について、学び続けることが大事。誰かが差別されているのを目撃したら、その人のために声を上げよう。黙っていたら何も変わらない。みんなで力を合わせれば、大きな変化は起こせる」と訴えている。

この動画を、アメリカのTwitterのユーザーが投稿すると、ネット上では、「人種差別について理解できなければ、このバービーの説明が教えてくれる」「子どもでもわかるような簡単な説明。子どもがわかるなら大人もわかるよね」などのコメントが相次ぎ、反響が広がった。

この動画のYouTubeの紹介文には、「人種差別に立ち向かうためには継続的な会話が重要」と書かれている。「良い友達になるためには、耳を傾け、理解し、他人が困っていることに気付き、それを解決するために行動することが大切です。ニッキーの話を聞いたあと、あなたも人種差別に反対する姿勢を持ち続けようと思ってくれることを望みます」と子どもたちに呼びかけている。

バービーシリーズは、これまでにも、肌の色や体型などダイバーシティーやインクルージョンをふまえた様々なタイプの人形を世に送り出してきた。USA TODAYによると、製造元のマテル社では、2019年にジェンダーニュートラルな人形や、白斑のあるバービーや義足のバービー、髪のないバービーなどを発表している。

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