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2021年01月29日 07時35分 JST

SHELLY「性教育は人権教育。女性も悪い?と思っていた私は姉の言葉で目が覚めた」

「でもこれって女性のほうも悪いよね」。性犯罪のニュースを見た13歳のSHELLYさんが、何気なく口にした一言。それに対して姉がどんな言葉を返したのか? SHELLYさんへのインタビュー第3回では、「性教育は人権教育」だと考えるようになったきっかけについて聞きました。

KAORI NISHIDA/西田香織
SHELLYさん

被害者にも落ち度があったのでは?

性犯罪についてのニュースが報道されるたびに、漠然とそう感じていたという13歳のSHELLYさん。その思い込みを打ち破り、無意識の偏見に気付かせてくれたのは、2歳上の姉の言葉でした。

36歳になった今、SHELLYさんは「性について正しい知識を持つことは、人権を守ることと同じ」と考えるようになったといいます。

インタビュー第3回では、性教育の欠如がもたらすリスクと悪影響について、SHELLYさんに話を聞きました。

 

「彼女にも落ち度があったんじゃない?」 

KAORI NISHIDA/西田香織

中学生になったばかりの頃でした。リビングで家族とテレビを見ていたら、女性が性犯罪の被害に遭ったというニュースが流れたんです。強姦被害、つまりレイプされたという事件でした。 

その報道を見て、13歳だった私は何の気なしに思ったことを口に出しました。

「でもこれって、女性にも非があるかもしれないよね。例えば、ミニスカートで危ない場所を歩いてたとか?」

すると、一緒にテレビを見ていた2歳上の姉が、厳しい口調で突然怒り出したんですね。

「ミニスカート履いて危ない場所を歩いていたら、レイプされてもいいの?」

「えっ、そういうわけじゃないけど…。でも夜道や危ないところを歩くときは、きちっとした格好したほうがいいんじゃないかなって…」

「違う。レイプしようとする人は、相手がどんな服装をしていても関係ない。たとえ彼女が夜道を裸で歩いていたとしても、悪いのはレイプするほうだよ。被害者をそんな風に悪く言うのは間違っている」

バーン!って雷が落ちたような衝撃を受けました。

2歳しか違わない姉が、別世界にいる人に見えた瞬間です。そして、姉の言う通りだ、と思いました。

 

親の愛は偏見の温床にもなる 

KAORI NISHIDA/西田香織
SHELLYさん

じゃあ自分はなんでそんな見方をしてたんだろう? と考えてみたら、私の場合は親から普段かけられていた言葉、愛情がベースにあったんです。

「女の子が一人で夜道を歩くのは危険だからね」

「短いスカートや(肌の露出の多い)キャミソールを着ていると、男の人から“そういう目”で見られるからやめなさい」 

もちろん親として子どもを守るために、そう言ったのでしょう。愛情から発せられた言葉だということは理解しています。

でもそれらの愛の言葉も見方を変えると、「被害者にも落ち度がある」という意味にも取れてしまうんです。

姉の厳しい言葉で初めてそのことに気づきました。

性暴力・性犯罪を引き起こすトリガーになるのは、被害者側のメイクや服装、言動ではありません。仮に何かがトリガーになったのだとしても、それは完全に加害者側の認識の問題です。

 

部屋に行く=セックスOK?

カップルであっても同じこと。「相手の部屋に行く=セックスに同意した」ことにはなりません。どちらか一方が、どこかの段階で「NO」と言ったら、そこでストップ。服を脱いでいようが、どんな状況であろうともそこでストップするのが当たり前でしょう? 

性風俗で働いていた女性がレイプをされた。そういった事件が報道されると、ネット上では「でもそういう仕事をしてたんならしょうがないでしょ」という被害者に批判的な声が必ずあがりますよね。

被害者側も、性風俗に従事していることで警察や医療関係者から差別的な眼差しを向けられるのが嫌だから被害を訴えない、というケースも残念ながら少なくないと聞きます。

でもね、本当はそんなわけない。仕方なくなんかないんです。どんな職業、状況、関係性であろうとも、性的行為を強要していい理由にはならない。

 そういった感覚のズレを、少しずつでも修正していく作業が必要ですよね。

性的同意の大切さを、若い世代にこそちゃんと伝えていきたい。「SHELLYのお風呂場」がそのための情報を得る場になれたら、と思っています。

 

「寝てる子」なんていない 

KAORI NISHIDA/西田香織
SHELLYさん

性教育の行き過ぎはよくない。いずれは自然に覚えていくはず。思春期の子どもに余計な情報を与えると「寝た子を起こす」ことになる。

日本の性教育は、そんな風にずっとタブー視されてきました。

でもね、そもそも「寝てる子」なんていませんから。

自分たちが子どもの頃を思い出してみてください。性のことについて「知りたい」という気持ちがあったでしょう? それってごく自然なことだと思いませんか?

にも関わらず、性のことは触れちゃいけないこと、タブーなこととされていた。そういった空気のまま、成長してセックスをするようになって、望まない妊娠をしてしまったら? 妊娠したことを親にも誰にも言えないまま、中絶手術が可能なタイミングを逃してしまったら?

リスクを負うのはどうしたって女の子側なんです。

 

予期せぬ妊娠というリスク 

昨年、就職活動中だった大学4年生の女性が、出産した赤ちゃんを公園に遺棄したという悲しいニュースが報道されましたよね。

なぜ相手の男性は避妊しなかったのか。

なぜ彼女は相手に避妊して欲しいと言えなかったのか。

なぜ彼女は妊娠したことを誰にも相談できなかったのか。

妊娠・出産は女性だけの責任ではありません。それなのに逮捕されて罪に問われるのは、いつも女性だけ。それっておかしいですよね?

もしも避妊が失敗した結果だったのなら、ふたりで産婦人科に行ってアフターピルを処方してもらうという手もあったはず。

それでも彼女は何カ月間もひとりで悩み続けて、ひとりで産み落とすことしかできなかったんです。

生理のメカニズム、避妊の方法やアフターピルのこと。そういった知識を正しく持っていたら、相談できる誰かが身近にいたら、そんな悲しい結末にはならなかったのではないでしょうか。

 

性と人権は繋がっている 

KAORI NISHIDA/西田香織
SHELLYさん

私は性教育は、道徳であり、人権教育でもあると思っています。

子どもたちに性教育をしないのは、「人権をおろそかにしていい」と教えているのと同じこと。これから大人になる子どもたちから武器を奪っている、と言ってもいい。

子どもは性について無知なままでいいという風潮や、予期せぬ妊娠を女の子側の自己責任と批判する社会を、私たち大人が変えていかなきゃいけない。性について正しい知識を得ること、自覚を持ってもらうことは、人権の基礎でもあるんです。

子育て中の人なら、子どもが幼児期のうちに「プライベートゾーンは自分だけの特別な場所だよ」と教えるところから始めていきましょう。そこから先は年齢に応じてわかる言葉で、少しずつ伝えていけばいい。

子どもが成長してより深く聞かれたときも、誤魔化さずにきちんと教えてください。その場でうまく答えられないときは、「あとでちゃんと調べて教えるね」といったん仕切り直せばいいんです。親自身も学び直すいいきっかけになるでしょう?

 

家庭の性教育でやってはいけないこと

家庭における性教育で一番よくないパターン、それは「あとで教えるから」と口先だけで誤魔化して、そのまま答えずに放っておくことです。

子どもって親の反応を敏感に感じ取りますよね。それが積み重なると、「答えないってことは、うちの親はこういう話がしたくないんだな」「家ではこういう話題を出しちゃだめなんだ」と考えるようになってしまいます。

思春期の変わっていく体のこと、セックスや避妊のこと…。「親子間では性の話はタブー」という空気が一度できてしまうと、そういう大切なことについて話し合うハードルがグッと上がってしまいます。

とはいえ、親が面と向かって話すには生々しい部分があるのも事実。そんなときはぜひ「SHELLYのお風呂場」をお子さんに繋げてください。

エッチの笑える失敗談から、アフターピル(緊急避妊薬)のことまで。親とも先生とも違う目線から、性のことをオープンに話せる場を用意していますから。

SHELLY(シェリー)

1984年生まれ、神奈川県出身。14歳でモデルとしてデビュー以後、タレント、MCとして幅広く活躍。4歳と2歳の娘の母。 

(取材・文:阿部花恵 編集:毛谷村真木/ハフポスト日本版)