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2021年02月26日 08時13分 JST | 更新 2021年02月26日 08時13分 JST

トランプ氏からバイデン氏へ。政権交代に伴い、日本企業が注意すべきこと

「同盟関係を修復し、再び世界と関わる」ことを約束しているバイデン大統領。新政権でいったい何が変わるのか?

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バイデン政権になったら、何が変わる?

アメリカは1月にバイデン政権が発足した。就任早々、バイデン新大統領はアメリカをトランプ政権以前の状態へ戻すために、膨大な数の書類にサインをしていると報じられている。 

バイデン大統領は上院議員、司法委員会委員長として長年のキャリアを有し、オバマ大統領の下で2期に渡って副大統領を務め、国際問題を担当していた。貿易を外交政策の「重要な柱」と表明しており、「同盟関係を修復し、再び世界と関わる」ことを約束している。

彼は共通の価値観や利益に基づく同盟国や同盟関係をより尊重し、確立された外交規範を支持するだろう。 同盟国、特にEUや日本との関係強化は、新しいホワイトハウスのプライオリティだと私は考えている。

また、専門家の間ではバイデン大統領は新型コロナウイルスの流行で打撃を受けたアメリカ経済の再生のために、貿易相手国に対して厳しい要求をする可能性が高いとの見解がある。

私の在籍する法律事務所はビジネス訴訟、国際仲裁に加えて政府調査を専門としている。アメリカ弁護士としてアメリカの新政権発足に伴う法的動向を眺めたとき、日本企業がより一層注意すべきは、与信調査(デューデリジェンス)であると考える。

今回はその理由をわかりやすく報告したい。

 

新政権は「世界の警察・アメリカ」の威厳を取り戻すか

新型コロナウイルス感染拡大によって、国際貿易の流通は大きく乱れ、産業が統合された分野もある。利益目標が圧迫された企業も少なくないだろう。このような混乱した状況下において、文化や商習慣の違う他国の企業と新たな取引を試みる際に発生しやすいのが「贈収賄」である。

バイデン大統領は選挙活動中、不正行為を報告した従業員を保護するための内部告発者法の強化を公約していた。これらを重ね合わせて眺めれば、新政権が腐敗防止と不正防止に重点を置き、取り締まりは強化されるという見方が自然であろう。

バイデン政権も新型コロナウイルスの感染拡大による全世界的な社会情勢の変化による影響は避けて通れないはずだ。

アメリカにはこうした腐敗行為を取り締まる法律がある。アメリカ海外腐敗行為防止法(FCPA The U.S. Foreign Corrupt Practices Act)はアメリカ企業の海外行政への贈収賄や不正取引を取り締まる法律で、アメリカ企業や提携先、取引先の企業による海外の行政機関や政権に影響力を持つ者への贈収賄を規制している。 

また、その予兆を確認するデューデリジェンス、取引において不正や粉飾のない会計記録の保存や管理も義務づけている。

 過去には日本企業もその適用対象となり、数億ドルの罰金を科せられたこともある。

Hanna Vashcula
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アメリカだけの話ではない

「アメリカの行政機関と関係のある企業のみが対象になるのだからうちは関係ない」と考えるかもしれないが、FCPAの適用範囲は極めて広いのだ。

もし、アメリカ出張中のホテルでメールやファックス、電話を使ってアメリカ国外の行政機関や取引先と贈収賄とみなされるやりとりをしたら、それが対象になると考えてほしい。

さらに、アメリカ企業が関係している海外にある委託企業や現地法人、アメリカ以外の法人がアメリカの金融機関を経由した取引も対象になる。

例えば、賄賂をドルで送金した場合、アメリカ国外からの送金であっても銀行間決済は必ずアメリカ国内で行われることから、司法省が管轄権を主張してFCPAが適用されることもある。過去にもアメリカとは関係が薄いであろう、あるいはまったくないと思われるアメリカ企業ではない企業や、アメリカ領域の外での行為にFCPAが適用されたこともあるのだ。

第一線から眺めると、FCPAの捜査には数年かかるがトランプ政権下においても捜査の手は緩まなかった上、現在は医療、航空宇宙、金融サービスなどの分野において一斉捜査の真っ只中にある。

コロナ禍にあって社会が混乱しているからこそ、不測の事態に巻き込まれないようデューデリジェンスに留意したい。専門家を頼ることは重要であるが、日頃の心がけも重要である。関わりを持とうとしている企業の登記、マスメディアの記事、役員のプロフィールから元官公庁職員という経歴の有無等をインターネット上でオープンソースから調べることもできる。

 

アメリカ以外に、イギリスや日本も

今回報告したアメリカ以外にも、イギリスや日本等にも同様に腐敗行為の防止法はある。

新型コロナウイルスの感染拡大によって様々な変革が起きている今、アメリカ市場でビジネスを展開する日本企業は何が贈収賄に値するかを理解し、繊細になってほしい。

今回は、わかりやすく伝えるために法律的な詳細を省いた。やや手前味噌になって恐縮ではあるが、少しでも心配があるなら私たちのような専門家を頼ってほしい。

 

  (文:ライアン・ゴールドスティン 編集:榊原すずみ/ハフポスト日本版)

 

Hanna Vashcula
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