NEWS
2022年01月11日 07時00分 JST

人種差別的な職務質問、東京弁護士会が調査へ【レイシャル・プロファイリング】

日本の警察官による「レイシャル・プロファイリング」をめぐっては、アメリカ大使館が日本で暮らす米国民に対し警告のツイートを投稿。波紋が広がっていた。

Anadolu Agency via Getty Images
人種や肌の色などを理由とした差別的な職務質問は、日本でも確認されている(イメージ写真)

外国にルーツを持つ人たちに対する差別的な職務質問の実態を明らかにするため、東京弁護士会(東弁)が1月11日、調査を開始した

「ドレッドヘアーの人は薬物を持っていることが多い」という警視庁の警察官の発言が波紋を呼ぶなど、捜査機関による「レイシャル・プロファイリング」が疑われる事案は国内でも確認されている。

こうした中、警察による人種差別的な職務執行の現状を把握し、改善につなぐことが調査の狙いという。

東弁のアンケートの回答は以下から⬇️(日本語・英語・ベトナム語)

2021年度 外国にルーツをもつ人に対する職務質問(レイシャルプロファイリング)に関するアンケート調査

Survey on Police Questioning of People with Foreign Roots in FY2021(Survey on Racial Profiling)

 

15年ぶりに再調査

警察などの法執行官が、人種や肌の色、民族、国籍、言語、宗教といった特定の属性であることを根拠に、個人を捜査の対象としたり、犯罪に関わったかどうかを判断したりすることは「レイシャル・プロファイリング」と呼ばれる。

日本のレイシャル・プロファイリングをめぐっては、アメリカ大使館が2021年12月、外国人が日本の警察官からレイシャル・プロファイリングの疑いのある職務質問などをされたとの報告があったとして、日本で暮らすアメリカ国民に対して公式Twitterで警告を出した

YOSHIKAZU TSUNO via Getty Images
アメリカ大使館(2014年撮影)=東京

 

調査は、東弁の「外国人の権利に関する委員会」が実施。同委員会は2006〜07年にも、外国人に対する差別的で違法性が疑われる職務質問に関するアンケートを行っており、約15年ぶり2回目の調査となる。1回目の調査では、有効回答数122人のうち直近の3年以内に職務質問を受けた人は63人で、10回以上は8人との結果になった。

同委員会によると、今回の調査のきっかけは2021年1月、バハマと日本のミックスルーツの男性が警察官から駅構内で職務質問を受けた際の動画がネット上で拡散したことだった

映像には、警視庁の警察官が男性に対し、「私の経験則として別にドレッドヘアーが悪いわけではない、悪いわけではないですけど、ドレッドヘアー、おしゃれな方で結構薬物を持っている方が私の経験上今まで多かった」などと発言する様子が写っていた。動画はSNS上でも広がり、「人種差別ではないか」という批判の声も上がった。

警察官職務執行法」(警職法)は、「警察官は異常な挙動その他周囲の事情から合理的に判断」し、犯罪を犯しているまたは犯そうとしていると疑うに足りる相当な理由がある場合に、相手を停止させて質問をすることができる、と定めている。

今回の調査では、上記のような警職法の要件を満たさず、“外国人風”の見た目や外国語で会話していることなどを理由とした、人種差別的で違法な職務質問の実態を明らかにすることを目的としている。

調査を担当する宮下萌弁護士は、「本来は“守ってくれるはず”の警察官から、人種や海外ルーツであることを理由に『犯罪者予備軍』とみなされ、日常的に監視の対象とされることの精神的不安とストレスは計り知れません。レイシャル・プロファイリングによって警察に対する不信感が広がれば、捜査の協力を得られにくくなったり、事件が起きても通報をためらったりと結果として社会の治安悪化を招く恐れもあります」と指摘する。

 

公権力による差別「悪質性高い」

人種差別撤廃条約(日本は1995年に加入)は、人種差別について次のように定義している

<この条約において、「人種差別」とは、人種、皮膚の色、世系又は民族的若しくは種族的出身に基づくあらゆる区別、排除、制限又は優先であって、政治的、経済的、社会的、文化的その他のあらゆる公的生活の分野における平等の立場での人権及び基本的自由を認識し、享有し又は行使することを妨げ又は害する目的又は効果を有するものをいう。>

これを踏まえ、宮下弁護士は「警察官に差別する意図がなかったとしても、人種など特定の属性であることを根拠とした職質で相手に不利益となる効果を与えていれば、それは差別です。権力を持つ警察官による差別は悪質性が特に高い」と強調する。

東京弁護士会のアンケートの質問項目は全35問で、日本語・英語・ベトナム語の3カ国語を用意している。調査期間は2022年2月10日までを予定。

回答は以下のリンク先から⬇️

2021年度 外国にルーツをもつ人に対する職務質問(レイシャルプロファイリング)に関するアンケート調査

Survey on Police Questioning of People with Foreign Roots in FY2021(Survey on Racial Profiling)

 

(國崎万智@machiruda0702/ハフポスト日本版)