「デシベル勝負ならどっからでもかかってこい!」さや香、5年ぶりカムバックで気迫【M-1グランプリ決勝9組インタビュー(5)】

漫才日本一を決める「M-1グランプリ2022」。12月18日の放送を前に決勝進出者のインタビューをお届けします。第5回は、5年ぶり2度目の決勝「さや香」です

漫才日本一を決める「M-1グランプリ2022」の決勝が12月18日、ABCテレビ、テレビ朝日系列で生放送される。史上最多の出場者7261組の中から勝ち進んだ、9組のファイナリストたちがM-1にかける思いとは━━。

インタビュー5回目は、5年ぶり2度目の決勝進出となる「さや香」。結成4年目で出場した2017年のM-1で注目を集めたが、翌年から3年連続で準々決勝での敗退も経験。だがこれまで、NHK上方漫才コンテストで優勝するなど着実に漫才を磨いてきた。

さや香の新山さん(左)、石井さん。2014年5月結成
さや香の新山さん(左)、石井さん。2014年5月結成
©M-1グランプリ事務局

━━「M-1グランプリ2022」 決勝進出を決めた今の率直なお気持ちをお聞かせ下さい。

石井 前回の決勝進出(2017年、今回5年ぶり二度目の決勝進出)から負け続けて芸歴も重ねてきた中で、“絶対に決勝に行ったるぞ!”っていう気負いより、“僕らにできることを全力でやりきったら結果はついてくる”という感覚でここまできたな、という感じです。

結果発表のときにコンビ名を呼ばれたときは「ヨシッ!」ってガッツポーズも出たんですが、嬉しさ以上に“選んでもらえた”っていう自信につながったことのほうが大きかったですね。

新山 これからやな、という気持ちですね。結果発表直後に、密着してくださっているスタッフさんから「もっと喜んで!」って言われたんですが(笑)。こっからという感覚のほうが強いです。

━━これまでの予選を振り返っていかがでしたか。

新山 今回の予選は、最初からずっとレベルが高くて、準々決勝ではすでに決勝戦ができるようなメンバーで、もうあっちこっちで拍手笑いが起きていて…。“どっかでレベル下げなアカンやろ”って感じたくらいでした。

面白さで勝ち負けを決めるというより、良いところを出すことのほうが大事やと考えていたので、準決勝に残ったときは、自分で“ようやった”って思いました。

石井 個人的には前回までのM-1の予選とは感覚が違っていて。今回はひたすらにM-1を意識して舞台にも立っていたし、ネタもたくさんやってきて、ちょっと自分で混乱してしまったこともあったんですが、勝ち進むたびに嬉しさ以上に安心感のほうが強かったですね。

新山 勝ち進んだときに手応えもないような感覚やったね。どのコンビも面白いので、笑いの量やウケで勝ち抜けようっていう考えがなかった。なので、とにかく自分たちのネタをやろうという気持ちが強かったです。

━━「ファイナリストの中で自分たちが一番○○だ!」・・・「○○」に入るのは?(自分たちの強み、持ち味はどこだと思いますか? )
 
新山 間違いなく声が一番デカいことですね。今年は、ロートーンのファイナリストが多い印象なので、声の大きさ…デシベルで点数をつけるのであれば、優勝は僕らで間違いないです。

石井 デシベル勝負ならどっからでもかかってこい!です。デシベル勝負ならね(笑)。

記者会見で話すさや香の新山さん(左)、石井さん
記者会見で話すさや香の新山さん(左)、石井さん
©M-1グランプリ事務局

━━ほかのファイナリストの中で意識しているコンビは? それはなぜ?

新山 ダイヤモンドさんちゃう?

石井 (真顔で)せやな。

新山 石井がNSCを卒業したてのときに『ハナガタ』っていう超人気コンビを組んでいて、僕らの同期の中でも圧倒的な人気を誇っていたんですよ。石井が踊りながらボケるっていうコンビやったんですが…、

石井 (遠い目をしながら)せやったな。

新山 その『ハナガタ』と、ダイヤモンドの小野(竜輔)さんがいた『アルドルフ』っていう超人気コンビ、さらに『しゃかりき』を合わせた若手コンビ3組で『ジャンピング☆ブラザーズ』っていうユニットライブをやっていたんです。お客さんが毎回パンパンに入る超人気ライブで、他の芸人たちは、「こいつらほんまにおもろいんか? ワーキャー言われてるだけちゃうんか!?」って悔しがってて。でも、当時の『ジャンピング☆ブラザーズ』ライブは、M-1の舞台の比にならないくらい“ワーキャー”がすごかったよな。

石井 (顔を赤らめて)もうえーて!

新山 あのときの二人がね。紆余曲折を経て、『M-1グランプリ』決勝という最高峰の舞台で会するという奇跡を見ました。なので、僕らとダイヤモンドさんが最終決戦に一緒に残ることができた暁には、石井と小野さんが二人でジャンプする姿を見たいですね。

石井 (感慨深げに)たしかに、あのときの二人が、よくぞここまできたと思います。

━━敗者復活で勝ち上がってきたら脅威になると感じるコンビはどこですか?それはなぜ?

新山 いや、もう全員が脅威です。…ただ、僕らの強みであるデシベル(声の大きさ)勝負なら、ハイテンション系のコンビは特に脅威になると思います。

石井 たしかにハイテンション系は意識してしまいますね。ただでさえ敗者復活で空気感が変わるのに、勢いをつけて出てきたら雰囲気ごともっていかれてしまう可能性もありますから。

新山 敗者復活…今年はなしでお願いします!

━━優勝賞金1000万円の使い道は?

新山 中古のポルシェです。「お客さん、笑かしたい」っていう芯から湧いてくる感情と同じで、「ポルシェ、乗りたい」っていうのは芯から湧いてくる感情なので。色は…やっぱり白ですね。白の中古のポルシェです。

石井 今年、80万円くらいかけて歯の治療をしたんですが、調子が悪くて治療が追いつかないんですよ。あと、顎の調子も悪いので、優勝したら賞金で下顎部分を全部取り替えたいです。

新山 500万円で全部取り替えるのはムリちゃうか?

石井 500万円でできるところまで取り替えます。全部が無理ならせめて下顎の右半分だけでも。

━━決勝に出場するにあたり、楽しみにしていること、期待していることは?

石井 前回の決勝は気が付いたら終わっていたんです。ただ、一言目にめちゃくちゃ噛んだことは鮮明に覚えていて。今回の決勝では、あの“噛んだ記憶”を更新したいですね。噛んだという事実を覆して、前回よりもいいネタを披露できることが、楽しみです。

新山 前回の決勝ですごく覚えているのが、出番が終わった後、廊下を歩いていたときに見かけた小部屋の存在なんです。スーツ姿の大人たちが座っていて、“この部屋はヤバいぞ”と思った記憶が残っていて(笑)。今年は、あの小部屋がなんの部屋だったのか突き止めたいですね。

━━最後に・・・M-1グランプリ・決勝へ向けた意気込みを一言で!

新山 今、体重が77キロくらいなんですよ。ベストが72~73キロなので、決勝に向けて絞ります!

石井 今、体重が65キロくらいなんですよ。決勝に向けてパンプアップして、ベストの69キロに仕上げます!

ハフポスト日本版を運営するバズフィードジャパンと朝日放送テレビ(ABCテレビ)は資本関係にあり、この記事は共同企画です。

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