国連が「性的暴力を受けた時、何を着ていたかは関係ありません」と警告。「女性に対する暴力を終わらせよう」と連投メッセージ

投稿した8月14日には、韓国出身の人気DJであるDJ SODAさんが、音楽フェスティバル「MUSIC CIRCUS’23」でのパフォーマンス中に、複数の観客から胸を触られたとSNSで訴えていた。

国連広報センターは8月14日、SNSの公式アカウントで、女性に対する性的暴力に関連する複数の投稿をした。

同センターは、国連事務総長の前日の投稿を翻訳・引用する形で、こうつづった。

「世界中の女性の3人にひとりがその生涯で、身体的、性的暴力を経験し、そのほとんどが、親しいパートナーによってです。 私たちは皆で、この人権侵害と重大な公衆衛生問題を根絶するために何かできるはずです」

続けて、2022年7月に国連本部で開催されたアート展「あなたは何を着ていたか?」の動画を紹介。「性的暴力のサバイバーが襲われた時、何を着ていたかは関係ありません」というメッセージを添えた。

国連によると、この展示は「性的暴力のサバイバーが襲われたときに着ていた服」を公開し、「あなたは何を着ていたか?」の質問の裏にある被害者への暗黙の非難に立ち向かい、反論するためのものだという。

動画でサバイバーの1人、ジェシカ・ロングさんがこう打ち明けた。

「何を着ていたか?お酒は飲んでいたか?踊っていたか?笑顔を多数に振り撒いたか?このような質問をしたあと警察は私に『起こったことはお気の毒ではありますが何も力にはなれません』と言ったのです」

また、別のサバイバーであるアマンダ・グエンさんは以下のように訴えた。

「これは私たちの物語です。みんなが共同で前に進むための物語です。つまり私たちが集まれば、誰も無力ではありません。自分の存在を主張すれば、誰も透明な存在ではないのです」

同センターは他にも「女性に対する暴力を終わらせよう。今すぐに」「性的ハラスメントをなくそう」「女性に敬意を」などのメッセージを画像とともに投稿したほか、「もうやめよう。被害女性を責めるのは」と、セカンドレイプへの警告もリポストした。

国連が一連の投稿をした8月14日、何があった?

同センターが一連の投稿をした14日は、韓国出身の人気DJであるDJ SODAさんが、音楽フェスティバル「MUSIC CIRCUS’23」でのパフォーマンス中に、複数の観客から胸を触られたとSNSで訴えていた。

DJ SODAさんは公演の最後にファンに近づいた際、「数人が突然私の胸を触ってくるというセクハラを受けました。あまりにも大きな衝撃を受けて未だに怖くて手が震えています···」と、恐怖心をつづった。

DJ SODAさんの投稿を巡り、加害者を非難する声が広がった一方で、DJ SODAさんの露出の多い服装やファンとの近すぎる距離を指摘する反応もあった。

だが、服装と性被害は関係なく、こうした性暴力を受けた被害者側を責める反応は二次加害に当たる。

DJ SODAさんは別の投稿で、「私がどんな服を着ていたとしても、私に対してのセクハラと性的暴行は正当化できないと言いたい」と訴えた。

「私は人々に私に触ってほしいから露出した服を着るのではない。 私は服を選ぶ時、自己満足で着たい服を着ているし、どの服を着れば自分が綺麗に見えるかをよく知っているし、その服を着る事で自分の自信になる」

「ウォーターフェスティバルで露出している服を着る事が間違っているの? 私は自分が着たい服を着る自由があるし、誰も服装で人を判断できない。私の体は自分のものであって、他人のものじゃない。私は露出した服を着るのが好きで、これからもずっと着ていくつもりです。だからみんな服装に干渉する人たちの顔色を窺わず、着たい服を思う存分着ながら生きよう!!」

DJ SODAさん(2018年)
DJ SODAさん(2018年)
Theodore Kaye via Getty Images

主催者のTryhard Japanは15日、「このような行為は性暴力、性犯罪であり、断じて許すわけにはいきません」とする声明を発表している。

「あなたは何も悪くありません」内閣府の相談窓口も投稿

内閣府が開設した性暴力に関するSNS相談窓口「Curetime」の公式X(旧Twitter)は15日、性暴力の被害者に向けて、「あなたは何も悪くありません」とのメッセージをイラストとともに投稿した。

「悪いのは性暴力の加害者なのに、その加害の理由がまるで、自分にあるように言われてしまった……。あなたは何も悪くありません。気持ちの整理がつかないもやもやをcuretimeに相談してください。被害に遭って傷ついているあなたを否定しません」

同アカウントでは、過去にも「注意すべき相手は被害者ではなく性犯罪者」であることや、周りの人は愛想笑いで流さずに注意するなど行動するよう発信しています。

▼性暴力について相談できる窓口

ワンストップセンター、性犯罪・性暴力に関する相談窓口の全国共通短縮番号「#8891」

警察庁の性犯罪被害相談電話全国共通番号「#8103」

・内閣府「性暴力に関するSNS相談支援促進調査研究事業」 Curetime

時間:24時間365日(17〜21時はチャット、それ以外の時間はメールで相談可能)

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