子どもが常に最優先じゃなくてもいい。親が自分を大切にすべき理由

Amazonプライム映画『アイデア・オブ・ユー〜大人の愛が叶うまで〜』を見て考えた。子どもの幸せのために、親は自分の欲望を捨てなければならないという考え方は、うんざりするほど間違っている。
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Malte Mueller via Getty Images

妻のサムと私はこないだ、映画1本を最後まで一気に見られるという贅沢を味わった。日曜の夜、息子たちを早めに寝かしつけ、Amazon Primeで配信されているアン・ハサウェイ主演の「アイデア・オブ・ユー〜大人の愛が叶うまで〜」を鑑賞した。

セクシーでドラマチックで、ちょっとクサい映画だろうと、そこまで期待はしていなかった。少なくとも、主演の2人が美しいから見て損はない。結果、映画は期待以上だった。

※以下、ネタバレを含みます

ストーリーの始まりはこうだ。ハサウェイ演じる40歳のシングルマザーのソレーヌが、人気ボーイズグループのボーカルで20代のヘイズの控え室にトイレと間違えて入ったことから2人は恋に落ちる。だけど、ソレーヌはヘイズには年上すぎない…?

波乱に満ちた数カ月の間に、2人の恋は加速。ソレーヌはヘイズのヨーロッパツアーにこっそり同行し、バルセロナやローマ、パリなどあちこちでイチャつく。しかし、2人の年齢差やヘイズの世界的な名声が関係に軋轢を生むのにそう時間はかからなかった。ソレーヌはヘイズのバンド仲間や彼らの若い女友達にからかわれ、LAに戻ると家はパパラッチに囲まれ、娘は通っている高校でいじめに遭う。ソレーヌは結局、娘のためを思ってヘイズと別れることにーー。

映画が終わってエンディングロールが流れたところで、サムと私は「ここまでドラマチックにする必要なかったよね」という意見で一致した。「娘が高校を卒業するまでなら、2〜3年待てばいいだけ」とサムは指摘したが、そもそも待つ必要なんてあったのだろうか。なぜ別れが唯一の解決策だったのか。娘を守るためにヘイズと別れたソレーヌの決断は正しかったのかーー。私は疑問に思った。

『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』 Prime Video で独占配信中
『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』 Prime Video で独占配信中
© 2022 Amazon Content Services LLC

子どもの幸せのために、自分の欲望を捨てなければならない、という考え方にはうんざりする。そして正直言って、間違っている。特に母親は、子どものこととなると無私無欲の献身を求められる。

ソーシャルワーカーのサマンサ・ティンター氏は、親が自分自身を優先することが不可欠だと考える。「自分のことを疎かにし、全てを子どもに捧げてしまうと、イライラし、疲れ果て、怒りやすくなり、打ちのめされやすくなります。それが献身的な子育てをするための代償になって良いのでしょうか

子どもから離れ、大人の友人と過ごし、マニキュアや運動をする時間はすべてセルフケアに必要なものとティンター氏は主張する。「親としての役割に飲み込まれ、自分自身を認識できなくならないようにするために、これらはすべて重要なことです」

チャイルド・セラピストで児童心理学者のハンナ・サマハ氏は、「自分の欲求を優先させない唯一の状況は、子どもにとって危険で有害な状況になった時です」と語る。

「子どもたちは親に安全や安心を求めています。もし親が安全や安心を感じていないという行動を示せば、子どもたちは世界を危険な場所として認識するようになります」と加えた。

我が家では、妻のサムと私は、「私たちも人間なんだ」と自分たちに言い聞かせるようになった。時には声に出し子どもたちに聞かせ、私たち親も完璧ではなく、欲求やニーズがある人間だと知らせる。私にだって良い日もあれば悪い日もあるし、失敗もするし興奮もする。子ども以外の興味もあるし、全ての答えを持っているわけでもない。そうじゃないふりをする必要があるのだろうか?

子どもとの関わりを専門とする心理学者のタニカ・マッセ氏によると、親が自分の欲求を優先することは、子どもにとっても有益だという。

「自分を大切にすることは重要であり、贅沢でもオプションでもなく、むしろ自身の生存と幸福を確保するための手段なのです」

マッセ氏は親たちに対し、自身を慈しむことから始めるよう勧める。「自分に優しくし、時には自分の欲求を優先しても良いと認めてあげてください。常に子どもを優先しなければというプレッシャーや罪悪感を捨て、自分を大切にすることが、結果的に子どものためになることを忘れないでください」

『アイデア・オブ・ユー ~大人の愛が叶うまで~』 Prime Video で独占配信中
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映画「アイデア・オブ・ユー〜大人の愛が叶うまで〜」の場合、アイドルとの関係を終わらせるというソレーヌの選択は、親であることの難しさを示す、典型的な例ではない(だから映画なのだ)。しかし、重要な問題を浮き彫りにしている。ソレーヌは友人がいても、精神的に孤独を感じている。ソレーヌのように、「セルフケア」を可能にしてくれるようなサポートを得られない親はたくさんいる。しかし、マッセ氏が提案したように、罪悪感を取り除くことは感情的に有益であり、誰もができる。

私たちが個人として、またカップルとしての関係を大切にすることで、子どもたちにより深く寄り添うことができる。感情的に最も健康な自分を発揮することができるのだ。

だから、映画の中のソレーヌのように、子どもにとって何がベストかを常に心配するのではなく、自分たちのニーズを考えるべきだ。それによって、子どものためにより良い決断をし、家族のためにバランスをとることができるのだから。

ハフポストUS版の記事を翻訳・編集しました。

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